2022年「未来創造企業」認定の軌跡:株式会社四方継が描く持続可能な未来への挑戦

はじめに:理念が現実になった瞬間

2022年、弊社にとって記念すべき年となりました。一般社団法人日本未来企業研究所より「未来創造企業」として認定をいただいたのです。

この認定は、弊社がこれまで大切にしてきた理念「人、街、暮らし、文化を継ぎ 四方良しを実現する」が、単なる言葉ではなく実際の成果として評価されたことを意味します。

「四方良し」とは、作り手・住み手・協力会社・地域社会の四者すべてが恩恵を受ける仕組みのことです。短期的な利益だけを追求するのではなく、長期的に持続可能な価値を創造することを弊社は目指しています。

2020年に有限会社すみれ建築工房から株式会社四方継へ社名変更を行ったのも、この理念を明確にするためでした。「継ぐ」という言葉には、単に受け継ぐだけでなく、より良い形で次世代に引き渡すという想いが込められています。

本記事では、なぜ弊社が未来創造企業として認定されたのか、その背景にある取り組みと今後の展望について詳しくご紹介します。

未来を担う「人材育成」への革新的な投資

職人起業塾:イントラプレナーシップの醸成

建築業界が抱える最大の課題の一つが職人不足です。しかし、弊社はこれを単なる人手不足の問題として捉えるのではなく、職人という職業の魅力向上と地域活性化の機会として考えました。

2013年、弊社は社員大工のキャリアアップと地域の職人活性化を目的として「職人起業塾」を開講しました。この塾の特徴は、技術指導だけでなくイントラプレナーシップ(社内起業家精神)の醸成に重点を置いている点です。

職人起業塾は、職人の独立開業を促進するものではありません。むしろ、組織の中で新しい価値を創造し、主体的に課題解決に取り組む姿勢を育てることを目的としています。「自分たちの仕事をどう革新していくか」「どうすれば地域や社会により貢献できるか」といった視点を持つ職人を育成することが目標でした。

この取り組みが評価され、2016年には一般社団法人職人起業塾として法人化し、全国展開を実現しました。代表の高橋が掲げる「モノづくりの担い手を子供の憧れの職業にする」というビジョンの具現化でもあります。

職人という仕事に誇りと創造性を取り戻し、次世代に魅力的な選択肢として提示する。この挑戦が、弊社の人材育成における重要な柱となっています。

マイスター高等学院:教育システムの革新

未来創造企業認定の翌年である2023年、弊社はさらなる挑戦としてマイスター高等学院を設立しました。これは建築業界の職人不足に歯止めをかけ、将来を担う人材育成を目的とした通信制高校です。

従来の教育制度では、大学進学を前提とした学習が中心でした。しかし、すべての子どもが同じ道を歩む必要はありません。手に職を持ち、ものづくりに情熱を注ぐ人材も社会には必要不可欠です。

マイスター高等学院では、高校卒業資格を取得しながら大工などの建設業における職人としての技術を身につけることができます。弊社はこれを「隠れている才能を見つけ、開花させる学校」として位置づけ、新しい教育のあり方を提示しています。

実際に入学した生徒たちは、座学だけでは学べない実践的な技術を身につけ、卒業後は即戦力として活躍しています。また、職人としての誇りを持ち、地域社会に貢献する人材として成長していく姿を見ることができます。

この教育事業は、単なる技術継承にとどまりません。職人という職業の社会的地位向上、若者のキャリア選択肢の拡大、地域経済の活性化といった多面的な価値を生み出しているのです。

持続可能な「技術革新」と「暮らし」の実現

ゼロエネルギー住宅SUMIKA-ZEROの開発

未来の暮らしを考える上で、環境への配慮は欠かせません。弊社は2012年に高性能ゼロエネルギー住宅「SUMIKA-ZERO(スミカゼロ)」を開発し、国土交通省のゼロエネルギー推進化住宅として認定をいただきました。

SUMIKA-ZEROは、単にエネルギー消費量を削減するだけでなく、住み心地の向上も同時に実現しています。高い断熱性能により夏涼しく冬暖かい住環境を提供し、光熱費の大幅な削減も可能です。

ある施主様からは「光熱費が以前の家の3分の1になった。それでいて快適性は格段に向上している」というお声をいただいています。経済性と快適性を両立させることで、真の意味で持続可能な住まいを弊社は実現しています。

環境負荷の低減と生活の質の向上を同時に達成する。これこそが、弊社が考える未来の住まいのあるべき姿です。

電磁波対策:見えない健康リスクへの対応

同じく2012年から、弊社は電磁波への対策にも取り組み始めました。スマートフォンやWi-Fi機器が普及する中、電磁波による健康への影響が懸念されています。

目に見えないリスクだからこそ、住まいづくりにおいて適切な対策を講じることが重要です。弊社では電磁波シールド材の使用や配線方法の工夫により、安心して暮らせる住環境を提供しています。

住まい手の健康を第一に考え、最新の知見に基づいた対策を講じる。これも弊社の「住み手良し」の理念を体現する取り組みの一つです。

長期サポート体制:「継ぐ」ための責任

「世代を超えて受け継がれる価値ある建築」を実現するため、弊社は2009年から無料巡回メンテナンスサービスを本格化しました。建物は完成がゴールではなく、そこからが真のスタートです。

定期的な点検により小さな不具合を早期発見し、大きな修繕になる前に対処することで建物の寿命を延ばします。また、住まい方のアドバイスも行い、より快適で安全な暮らしをサポートしています。

「家を建ててもらって10年以上経つが、今でも気にかけてもらえて安心」というお客様の声は、弊社の大きな励みになっています。

建てて終わりではなく、建ててからが本当のお付き合いの始まり。この姿勢こそが、弊社の「継ぐ」という理念の実践なのです。

地域社会の未来を創る「つない堂」の挑戦

信頼のネットワーク構築

弊社の事業部門である「つない堂」は、「信頼の輪を広げ、検索不要の安心安全な地域社会を作る」というビジョンを掲げています。

現代社会では情報があふれ、何が信頼できるかわからない状況が続いています。インターネットで検索すれば情報は得られますが、その情報の信頼性を判断するのは困難です。

つない堂では、各分野で卓越した知見を持つ「人」「事業所」「サービス」を発掘し、リアルなネットワークを構築しています。弊社スタッフが実際に足を運び、直接話を聞き、信頼できるパートナーかどうかを見極めています。

循環型地域社会のハブとして

つない堂の目標は、インターネット検索を必要としない安心な循環地域型社会のハブになることです。例えば、「美味しいお米を作っている農家さんを知りたい」「信頼できる電気工事業者を探している」といったニーズに対し、顔の見える関係で紹介できる仕組みを弊社は作っています。

地域の中で経済が循環し、人と人がつながることで、より豊かで持続可能な社会が実現できると弊社は信じています。これは単なるビジネスモデルではなく、社会システムそのものの再構築を目指す壮大な挑戦です。

実際に、つない堂を通じて出会った事業者同士が新たなコラボレーションを生み出すケースも増えています。地域の中で新しい価値が創造される循環が生まれているのです。

暮らしの学びと文化の継承

2020年の社名変更を機に、従来「すみれ暮らしの学校」として展開していた活動は、つない堂の取り組みに統合されました。「住環境に食、学びを通して日々の暮らしを豊かにしよう」というコンセプトはそのままに、より幅広い地域ネットワークの中で展開しています。

料理教室や健康講座、子育てセミナーなど、暮らしに関わる様々なテーマで学びの場を提供しています。参加者同士の交流も生まれ、地域コミュニティの活性化にもつながっています。

建物というハードだけでなく、その中で営まれる生活の文化を豊かにする。これも弊社が目指す「暮らしを継ぐ」という理念の実現です。

継続的な学びと持続可能なビジネスモデルの探求

継塾:CSV型ビジネスモデルの実践

弊社が定期的に開催している「継塾」は、持続可能なビジネスモデル探求の場です。特にCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)モデルに焦点を当て、社会課題解決型ビジネスについて議論を重ねています。

CSVとは、企業が社会課題を解決することで事業の競争力を高め、同時に社会価値と経済価値を創造するアプローチです。短期的な利益追求ではなく、長期的な視点で社会と企業の両方に価値をもたらすことを目指します。

偶数月には参加者のビジネスモデルをブラッシュアップする「ホットシート」を実施しています。例えば、令和7年6月の継塾では、ゴミ収集運搬業を営む有限会社森衛生の川内友太氏にプレゼンをいただきました。

従来は「ゴミを処理する」という視点でしたが、「資源として活用する」「地域の美化に貢献する」といった新たな価値創造の可能性を議論しました。このように、既存事業の新たな価値を発見し、社会課題解決につなげるのが継塾の役割です。

弊社自身も継塾での議論を通じて、事業の方向性を常にアップデートしています。社内外の知見を集め、より良い社会の実現に向けて学び続ける。これが弊社の成長の原動力となっています。

未来への展望:さらなる価値創造に向けて

社会課題解決への貢献

未来創造企業として認定された今、弊社の責任はさらに大きくなりました。建築業界の枠を超え、社会課題解決に貢献できる企業として成長し続けることが求められています。

少子高齢化、環境問題、地域経済の活性化など、日本が抱える課題は多岐にわたります。弊社はこれらの課題を事業機会として捉え、解決策を提供することで社会価値と経済価値の両方を創造していきます。

職人育成を通じた雇用創出、ゼロエネルギー住宅による環境負荷低減、つない堂による地域経済循環の促進。これらすべてが社会課題解決に直結する取り組みです。

次世代への継承

「人、街、暮らし、文化を継ぐ」という理念のもと、次世代により良い社会を引き渡すことが弊社の使命です。職人育成、技術革新、地域活性化の取り組みを通じて、持続可能な社会基盤の構築に貢献していきます。

マイスター高等学院で学ぶ生徒たちが将来の建築業界を担い、つない堂のネットワークが全国に広がり、SUMIKA-ZEROのような技術が標準となる。弊社はそんな未来を描きながら、日々の活動に取り組んでいます。

四方良しの実現を目指して

弊社が目指すのは、作り手・住み手・協力会社・地域社会のすべてが幸せになる仕組みです。一方だけが利益を得るのではなく、関わるすべての人が恩恵を受ける。そんな循環を生み出すことが、真の意味での持続可能な経営だと弊社は考えています。

作り手である職人が誇りを持って働ける環境、住み手が安心して快適に暮らせる住まい、協力会社が共に成長できる関係性、地域社会が活性化し次世代に継承できる文化。これらすべてを同時に実現することが弊社の目標です。

まとめ:理念の実現が評価された未来創造企業認定

2022年の未来創造企業認定は、弊社の理念「四方良し」の実現が公的に評価された結果です。作り手・住み手・協力会社・地域社会のすべてが恩恵を受ける持続可能なビジネスモデルを構築し、実際に成果を上げてきたことが認められました。

職人起業塾によるイントラプレナーシップの醸成、マイスター高等学院での次世代人材育成、SUMIKA-ZEROによる環境配慮型住宅の実現、つない堂による地域ネットワーク構築と暮らしの文化継承、継塾でのCSVモデル探求。これらすべての取り組みが一体となって、未来創造企業としての地位を確立しました。

しかし、認定はゴールではありません。むしろ、より大きな責任を担うスタートラインに立ったと弊社は考えています。これからも「継ぐ」という理念のもと、次世代により良い社会を引き渡すため、挑戦を続けてまいります。

弊社の取り組みに共感していただける方々と共に、持続可能で豊かな未来を創造していきたいと思います。四方良しの理念を実現し、真の意味で価値ある社会を次世代に継いでいくことが、私たち株式会社四方継の使命です。


株式会社四方継は、これからも「人、街、暮らし、文化を継ぎ 四方良しを実現する」という理念のもと、持続可能な未来の創造に全力で取り組んでまいります。

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