はじめに:私たちが大切にする「個性が光る家づくり」
神戸市西区を拠点に、ものづくり工務店「つむぎ建築舎」を運営する私たち株式会社四方継(しほうつぎ)は、「人、街、暮らし、文化を継ぎ、四方良しを実現する」ことを企業理念としています。
この「四方良し」とは、住み手、作り手、地域、そして未来の世代、すべてが良い状態であることを目指すという意味です。その中心にあるのは「住み手良し」。つまり、お客様一人ひとりの個性やライフスタイルに深く寄り添った、本当に価値ある住まいを創ることです。
この度、私たちは新しいプロジェクトを始動させました。若草物語のような賑やかで楽しい3人の女の子と、おしゃれなご夫婦のためのお住まいです。お子様たちの元気な笑い声が聞こえてきそうな、とても素敵な計画となっています。
本記事では、このプロジェクトを通じて、私たちがどのように「個性が光る家づくり」を実現しているのか、その設計の工夫や考え方について詳しくご紹介します。
お客様の個性を最大限に活かす設計哲学
まだ言葉にできていない望みを形にする
私たちの設計哲学の根底にあるのは、「住まい手がまだ気づいていない、知らない望みを形にする」という考え方です。
お客様ご自身も気づいていない潜在的なニーズを引き出し、それを設計に落とし込んでいく。これが私たちの最も大切にしているプロセスです。
例えば、「子供部屋が3つ欲しい」というご要望の裏には、「子供たちが成長しても家族で集まれる場所が欲しい」という想いが隠れているかもしれません。あるいは「おしゃれな家にしたい」という言葉の奥には、「友人を招いて楽しい時間を過ごしたい」という願いがあるかもしれません。
私たちは女性建築設計士と大工による細やかなコミュニケーションを通じて、お客様の言葉の奥にある本当の想いを汲み取っていきます。
賑やかな3人姉妹のための空間づくり
今回のプロジェクトで特に重要なのは、3人の女の子たちが伸び伸びと成長できる空間をどう創るかということです。
子供たちは成長とともに、それぞれの居場所を必要とします。しかし同時に、家族全員が自然に集い、コミュニケーションが生まれるような場所も必要です。
これを実現するには、単純に部屋数を増やすだけでは不十分です。空間を立体的に、そしてフレキシブルに活用する設計の工夫が求められます。
例えば、私たちが手がけている別のプロジェクト「スキップの家」では、段差を利用した空間構成を採用しています。フロアの高さを少しずつ変えることで、視覚的なつながりを保ちながら、それぞれの空間に独立性を持たせることができます。
このような立体的な空間構成は、賑やかな家族にぴったりの設計手法です。子供たちはそれぞれの場所で遊びながらも、親の気配を感じることができ、家族の一体感を失いません。
おしゃれなご夫婦の感性に応える
「おしゃれ」という言葉は抽象的ですが、お客様ごとに全く異なる意味を持っています。
ある方にとっては、シンプルでミニマルなデザインがおしゃれかもしれません。また別の方にとっては、温かみのある自然素材を使った空間がおしゃれと感じられるかもしれません。
私たちは、お客様との対話を重ねる中で、その方が本当に心地よいと感じる「おしゃれさ」を見極めていきます。外観のデザイン、内装のマテリアル選び、細部のディテールまで、お客様の感性に寄り添った提案を行います。
現代の家族のニーズに応える設計
共働き世帯の増加と家事効率化
当たり前のように共働き世帯が増えている昨今、家事の効率化は家づくりにおいて最も重要なテーマの一つとなっています。
特に3人のお子様がいるご家庭では、日々の家事負担は相当なものです。洗濯、料理、掃除、そして子供たちの世話。限られた時間の中でこれらをこなすには、住まいそのものが家事をサポートしてくれる必要があります。
ラク家事は、共働きママにとって時短を叶えるサバイバルツールとして優先度が増大しています。これは単なる便利さではなく、家族の時間を増やすための必須条件なのです。
洗濯動線の工夫
例えば、洗濯に関する動線を考えてみましょう。
従来の間取りでは、洗濯機は脱衣所、物干しはベランダ、収納はクローゼットと、それぞれが離れた場所にありました。これでは、洗濯という一連の作業のために、何度も家の中を行き来しなければなりません。
私たちは、洗濯・収納の動線を集約した設計を提案しています。洗う、干す、たたむ、しまうという一連の作業が一箇所で完結できれば、家事の時間は大幅に短縮されます。
また、室内干しをメインとした間取りの検討も行っています。天候に左右されず、花粉やPM2.5の心配もない室内干しは、現代の生活スタイルに非常にマッチしています。
将来を見据えた柔軟な設計
住宅プランでは、老後を見据えた平屋が人気を集めています。これは、将来的なバリアフリー化や生活スタイルの変化に対応しやすいためです。
私たちは、世代を超えて住み継ぐことを前提に設計を行います。今は元気な3人の女の子たちも、いずれ成長して家を出ていくかもしれません。その時、ご夫婦二人の暮らしに合わせて空間を変えられる柔軟性が必要です。
間仕切りを変更しやすい構造にする、将来的に手すりを取り付けられる下地を入れておくなど、見えない部分での配慮が長く住み続けられる家づくりには欠かせません。
高度な技術と専門性で実現する家づくり
特殊な構法への挑戦
お客様の個性が光る「素敵なお住まい」を実現するには、時に高度な技術への挑戦が必要です。
実は、このプロジェクトの近くで、私たちは非常に特殊な構法を用いた住宅建築に取り組んでいます。まだ一般的には広く知れ渡っていない構法で、日本国内でも3棟目になるという希少なものです。
初めてのことだらけで、手探りで少しずつ進めている状態ですが、たくさんの方々の協力をいただきながら前に進んでいます。
このような挑戦は、決して目新しさを追求するためではありません。お客様の個性的で高度な要望に応えるため、そして将来にわたって価値ある住まいを提供するために必要な探求なのです。
国際的な知見の活用
私たちは、スイスのN11 Architektenと連携したKANSO構法を扱っており、また高性能ゼロエネルギー住宅SUMIKA-ZEROは国土交通省のゼロエネルギー推進化住宅に認定されています。
これらの実績は、私たちが持つ技術力の証です。国際的な最新技術と、日本の気候風土に合わせた工夫を組み合わせることで、お客様の複雑な要望にも確実な品質でお応えすることができます。
丁寧なものづくりへのこだわり
「見て安心、さわって安心」をお届けするためには、細部にわたる丁寧なものづくりが不可欠です。
断熱気密工事では、すき間から空気が漏れないようにしっかり丁寧に施工していきます。これは快適で健康的な住環境を実現するための基本です。
わずかな隙間でも、そこから熱が逃げたり、冷気が入り込んだりします。冬の寒さや夏の暑さから家族を守るため、私たちは一つ一つの作業を丁寧に行っています。
素材を活かす職人の技
家具や造作材の製作においても、私たちは素材を最大限に活かす工夫を行っています。
例えば、コンパクトなワークデスクを製作する際には、シナの共芯合板を使用します。3×6判の合板1枚から、なるべく無駄のないように部材を取る「木取り」という技術を使います。
木取りは、木材の木目や色合いを見極めながら、最も美しく、かつ効率的に部材を切り出す職人の技です。この技術により、コストを抑えながらも美しい仕上がりを実現できます。
また、左官の下地である「木摺り(きずり)」を施工する際も、最終的に隠れてしまうのがもったいないくらい美しく仕上げます。お客様の目に触れない部分にこそ手を抜かない。これが私たちの職人の美意識です。
お客様との信頼を築くコミュニケーション
女性建築設計士と大工の連携
「賑やかで楽しい3人の女の子」の成長を見据えた家づくりには、家族の未来のニーズを深く汲み取る対話が必要です。
私たちは、女性建築設計士と大工による細やかなコミュニケーションを大切にしています。女性設計士の視点により、特に子育てや家事動線に関する細やかなニーズを拾い上げることができます。
「ここにちょっとした棚があると便利」「子供が宿題をするスペースはキッチンから見える場所がいい」といった、日々の生活の中から生まれる細かな要望。これらは実際に子育てを経験した視点がなければ気づきにくいものです。
そして、これらのアイデアを現場の大工の専門的な知見と融合させることで、お客様の個性に最適な解決策を導き出します。
施工プロセスの見える化
お客様が安心して家づくりを進められるよう、私たちは施工プロセスの見える化を行っています。
例えば、「スキップの家」の上棟前には、お施主様と材木を製材・プレカットしてくださっている「しそうの森の木」さんへ見学に行きました。
実際に自分の家に使われる木材が、どこで育ち、どのように加工されているのかを見ていただく。これは建築に使われる素材への信頼性を高めるための、私たちの取り組みです。
家づくりは、完成した建物だけでなく、そこに至るまでのプロセス全体が大切です。一つ一つの工程を丁寧に説明し、お客様に確認していただくことで、安心と信頼を積み重ねていきます。
大切な節目を一緒に
家づくりにおける一つ一つの節目は、お客様との「ご縁」を紡ぐ大切な機会です。
「スキップの家」の地鎮祭は、建築吉日を選定し、神主様に四方を祓っていただき、おごそかに執り行われました。お施主様が「大事なイベントごとはいつもいいお天気に恵まれる」とおっしゃる通り、当日は雲一つない晴れ晴れとしたいいお天気でした。
このような儀式を大切にすることで、私たちはお客様との深い信頼関係を築いています。家づくりは単なる建築工事ではなく、お客様の人生の大切な節目に寄り添う仕事なのです。
長期的な安心を支える企業基盤
完成後も続くサポート体制
私たちは2009年より、「すべてのお客様に生活の安心・安全を」を合言葉に、無料巡回メンテナンスサービスを本格化させています(神戸近郊に限ります)。
家は完成したら終わりではありません。むしろ、そこから本当のお付き合いが始まります。定期的に訪問し、小さな不具合も早期に発見・対応することで、お客様の大切な住まいを長く守り続けます。
この長年のサポート体制は、お客様の個性に合わせた家が、世代を超えて受け継がれるための基盤となっています。
地域社会への貢献
私たちは「地域を守り次世代に継なげる事業を目指す」という理念のもと、地域社会との関わりも大切にしています。
伊川リバーフェスタや西区もくいく、エニシミーツへの参加など、地域行政との連携を積極的に行っています。また、しずく学習塾の運営では、募集人数いっぱいになるほど多くのお子様たちに学びの場を提供しています。
これらの活動は、私たちが単なる建築会社ではなく、地域社会の一員として責任を果たしていることの証です。
未来創造企業としての認定
2022年、私たちは一般社団法人日本未来企業研究所より「未来創造企業」として認定されました。
これは、「人、街、暮らし、文化を継ぎ、四方良しを実現する」という理念のもと、社会的責任を果たし、持続可能な事業運営を行っていることが評価されたものです。
お客様に長期的な安心を提供するためには、企業そのものが持続可能でなければなりません。この認定は、私たちが未来に向けて責任ある経営を行っていることの証明です。
まとめ:個性が光る家づくりで、未来へ投資を
若草物語のような賑やかで楽しい3人の女の子と、おしゃれなご夫婦のための新しいプロジェクト。このお住まいは、私たち株式会社四方継が持つ専門性と、お客様との信頼関係を統合した、未来への投資です。
女性建築設計士と大工による細やかなコミュニケーションを通じて、お客様の潜在的な望みを汲み取ります。日本国内でも3棟目となるような特殊な構法への挑戦や、国土交通省認定の高性能住宅実績に裏打ちされた技術力をもって、その個性を形にしていきます。
私たちが目指すのは、単に快適な住まいを提供することだけではありません。お客様の家族の物語と価値観が、世代を超えて受け継がれていくような、本当に価値ある家づくりです。
3人の女の子たちが成長し、それぞれの道を歩み始めても、「あの家で育った」という思い出が心の支えになる。ご夫婦が年を重ねても、変わらず快適に暮らせる。そして、次の世代へと受け継がれていく。
そんな「受け継がれる価値のある丁寧なものづくり」を、私たちはこれからも提供し続けてまいります。
