はじめに:建設業界が直面する課題と私たちの使命
建設業界は今、大きな転換期を迎えています。高齢化による職人不足、働き方改革への対応、そして環境への配慮など、様々な課題が山積しています。私たち株式会社四方継は、こうした時代の変化に対応しながら、建設業界に新しい価値を提供し続けることを目指しています。
私たちの社名「四方継」には、深い意味が込められています。それは近江商人が大切にしてきた「三方良し」の精神、すなわち「売り手良し、買い手良し、世間良し」という考え方をさらに発展させた「四方良し」の理念です。お客様、協力業者様、従業員、そして地域社会。この四方すべてが幸せになれる経営を実践することで、持続可能な建設業界の未来を創造していきたいと考えています。
建設業界では従来、発注者と受注者という縦の関係性が強調されがちでした。しかし本来、建築プロジェクトは多くの関係者が協力し合うチームワークによって成り立つものです。設計者、施工管理者、職人、資材業者など、それぞれの専門性を持った人々が力を合わせることで、初めて素晴らしい建物が完成します。私たちはこの「協働」の精神を大切にし、すべての関係者が対等なパートナーとして尊重される関係づくりを心がけています。
四方良しとは何か:伝統的な商人哲学の現代的解釈
「三方良し」という言葉を聞いたことがある方は多いかもしれません。これは江戸時代から明治時代にかけて活躍した近江商人が大切にしてきた経営哲学です。「売り手良し、買い手良し、世間良し」という考え方で、自分だけが利益を得るのではなく、取引相手も満足し、さらには社会全体にも貢献するビジネスを目指すという思想です。
私たちはこの「三方良し」にもう一つの要素を加えました。それが「従業員良し」です。どれだけ素晴らしい理念を掲げても、それを実現するのは現場で働く従業員一人ひとりです。従業員が誇りを持って働ける環境、成長を実感できる職場、そして公正な評価と待遇。これらが整って初めて、お客様に最高のサービスを提供することができます。
建設業界では長年、長時間労働や厳しい労働環境が問題視されてきました。「きつい、汚い、危険」というネガティブなイメージから、若い世代が建設業界を敬遠する傾向も見られます。私たちはこの状況を変えなければならないと考えています。最新の技術を導入して作業効率を上げ、安全管理を徹底し、働きやすい環境を整備する。そして何より、建設の仕事がいかにやりがいのある、社会に貢献できる素晴らしい仕事であるかを伝えていきたいのです。
具体的には、週休二日制の完全実施、残業時間の削減、資格取得支援制度の充実などに取り組んでいます。また、若手社員からベテラン社員まで、誰もが意見を言いやすい風通しの良い職場づくりを心がけています。月に一度の全体ミーティングでは、経営層と現場スタッフが直接対話する機会を設け、現場の声を経営に反映させる仕組みを作っています。
お客様との関係:信頼を築く誠実なコミュニケーション
建設プロジェクトは、お客様にとって人生における大きな決断の一つです。住宅の新築やリフォームであれば、そこで家族が長年暮らすことになります。店舗や事業所の建設であれば、事業の成否を左右する重要な投資です。だからこそ、私たちはお客様との信頼関係を何よりも大切にしています。
信頼関係の基本は、誠実なコミュニケーションです。お客様のご要望を丁寧にお聞きし、専門家としての知見を活かして最適な提案を行う。見積もりは明確に、わかりやすく。工期は現実的に設定し、約束は必ず守る。もし問題が発生したら、すぐに報告し、解決策を提示する。こうした当たり前のことを、当たり前に実行することが何より重要だと考えています。
建設業界では残念ながら、不透明な見積もりや追加費用の発生、工期の遅れなどがトラブルの原因になることがあります。私たちはこうした問題を防ぐため、契約前の説明を特に重視しています。使用する材料の種類とグレード、工事の具体的な内容、想定される追加費用が発生する可能性がある項目など、すべて書面で明示し、お客様が納得されるまで何度でもご説明します。
また、工事中は定期的に進捗報告を行い、お客様が現場の状況を把握できるようにしています。写真付きの報告書をお送りするだけでなく、ご希望があればいつでも現場をご覧いただけます。完成後も定期的にアフターフォローの連絡を入れ、小さな不具合でもすぐに対応できる体制を整えています。
あるお客様からは「他社と比べて金額は少し高かったけれど、説明が丁寧で信頼できると感じたので依頼した。結果として大満足で、友人にも紹介している」というお言葉をいただきました。このように長期的な信頼関係を築くことこそが、私たちの目指す「お客様良し」の実現だと考えています。
協力業者様との関係:対等なパートナーシップの構築
建設プロジェクトは、一社だけで完結することはありません。専門工事業者、資材メーカー、設計事務所など、多くの協力業者様との連携によって初めて実現します。私たちは協力業者様を単なる「下請け」ではなく、対等なパートナーとして尊重することを基本方針としています。
建設業界では長年、元請けと下請けという上下関係が強く、不公平な取引慣行が問題視されてきました。無理な値引き要求、一方的な工期短縮、支払いの遅延など、こうした慣行は業界全体の健全な発展を阻害します。私たちはこうした古い慣習を改め、公正で透明性の高い取引を心がけています。
具体的には、適正な価格での発注、明確な契約内容の提示、約束した期日での確実な支払いを徹底しています。また、協力業者様の技術力向上を支援するため、定期的な勉強会や情報交換会を開催しています。新しい工法や材料についての情報を共有し、ともに成長していける関係を目指しています。
ある協力業者様からは「四方継さんとの仕事は、お互いを尊重し合える関係があるので安心して仕事ができる。困ったときは相談にも乗ってもらえるし、長く付き合っていきたいパートナー」という言葉をいただいています。こうした信頼関係があるからこそ、品質の高い施工が可能になり、結果としてお客様に満足していただける成果を生み出せるのです。
また、協力業者様との良好な関係は、緊急時の対応力にもつながります。突発的なトラブルや急な工期変更が必要になった場合でも、日頃から信頼関係があれば柔軟に対応していただけます。これは一朝一夕には築けない、長年の積み重ねによる財産だと考えています。
地域社会への貢献:持続可能な未来づくりへの責任
建設業は地域に根ざした産業です。私たちが手がける建物は、その地域の景観を形作り、人々の生活を支える基盤となります。だからこそ、私たちは地域社会の一員として、その発展に貢献する責任があると考えています。
地域貢献の取り組みは多岐にわたります。まず、地域の雇用創出です。できる限り地元の人材を採用し、また地元の協力業者様に発注することで、地域経済の活性化に寄与しています。建設業は地域の雇用を支える重要な産業であり、この役割をしっかりと果たしていきたいと考えています。
環境への配慮も重要なテーマです。建設業は資源を大量に使用し、廃棄物も発生させる産業です。私たちは環境負荷を最小限に抑えるため、廃材のリサイクル推進、省エネルギー施工の実践、環境に優しい材料の積極的な採用などに取り組んでいます。また、お客様に対しても、長期的な視点で環境とコストの両面からメリットのある提案を行っています。
例えば、初期投資は少し高くなっても、ランニングコストが抑えられる高断熱・高気密の住宅や、太陽光発電システムの導入などを提案しています。こうした取り組みは、個々の建物の環境性能を高めるだけでなく、地域全体のCO2削減にもつながります。
さらに、地域の防災力向上にも貢献したいと考えています。建物の耐震性能向上はもちろん、災害時には私たちの技術と機材を活用して復旧作業に協力する準備も整えています。地域の皆様が安心して暮らせる環境づくりに、建設会社として貢献していきます。
地域の子どもたちへの教育支援も行っています。小学校での出前授業では、建設業の仕事内容や建物ができる過程を紹介し、ものづくりの楽しさを伝えています。将来、建設業に興味を持つ子どもが一人でも増えれば、業界の未来にもつながると信じています。
従業員の幸せ:働きがいのある職場環境の実現
冒頭でも触れましたが、私たちが「三方良し」に「従業員良し」を加えて「四方良し」とした理由は、従業員こそが会社の最も重要な財産だと考えているからです。どれだけ理念や戦略が素晴らしくても、それを実現するのは人です。従業員一人ひとりが誇りを持って働き、成長を実感できる環境を整えることが、経営者の最大の責務だと考えています。
働き方改革は建設業界にとって大きな課題です。従来の建設業界では、長時間労働が常態化し、休日も少ないという状況が続いてきました。しかし、こうした働き方は持続可能ではありません。従業員の健康を損ない、家族との時間を奪い、結果として離職率の上昇や若手人材の確保難につながります。
私たちは週休二日制の完全実施を目指し、工程管理の効率化に取り組んでいます。また、ICT技術の活用により、書類作成などの事務作業を効率化し、現場での実働時間を確保できるようにしています。ドローンを使った測量、タブレットでの図面確認、クラウドでの情報共有など、最新技術を積極的に導入することで、作業効率を向上させています。
キャリア開発支援も重視しています。建設業では様々な資格が必要とされますが、資格取得には時間と費用がかかります。私たちは資格取得にかかる費用を全額補助し、勉強時間の確保にも配慮しています。資格を取得すれば給与にも反映され、キャリアアップの道筋が明確に見えるようにしています。
また、ベテラン社員から若手社員への技術継承にも力を入れています。建設業の技術は、現場での実践を通じて身につけるものが多くあります。マンツーマンでの指導体制を整え、若手が安心して技術を学べる環境を提供しています。
社内コミュニケーションの活性化も重要です。定期的な全体ミーティングに加えて、部門を超えた交流の機会も設けています。飲み会などの強制参加ではなく、業務時間内での昼食会や勉強会など、誰もが参加しやすい形での交流を促進しています。
未来への展望:建設業界の新しいスタンダードを目指して
建設業界を取り巻く環境は、今後さらに大きく変化していくでしょう。人口減少による市場縮小、デジタル技術の急速な進展、脱炭素社会への移行など、様々な変化に対応していく必要があります。
私たちは、こうした変化を脅威ではなく機会と捉えています。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、業務効率を大幅に向上させることができます。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用により、設計から施工、維持管理まで一貫したデータ管理が可能になります。こうした技術革新は、より高品質な建物をより効率的に提供することを可能にします。
環境問題への対応も、新たなビジネスチャンスを生み出します。ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)といった環境性能の高い建物へのニーズは今後も高まるでしょう。私たちはこうした先進的な建築技術の習得に努め、お客様に最新の価値を提供していきます。
また、既存建築物のリノベーションやメンテナンスの重要性も増していきます。新築だけでなく、既存の建物を長く使い続けるための技術とサービスを充実させることで、持続可能な社会の実現に貢献します。
人材育成も継続的な課題です。建設業界全体で若手人材の確保が難しくなっていますが、私たちは魅力的な職場環境を整えることで、優秀な人材に選ばれる会社を目指します。そして、入社した社員が長く働き続けられるよう、成長の機会とやりがいを提供し続けます。
「四方良し」の理念は、単なる理想論ではありません。それは持続可能な経営の実践であり、すべてのステークホルダーとともに成長していくための具体的な行動指針です。お客様に満足していただき、協力業者様との信頼関係を深め、従業員が誇りを持って働き、地域社会に貢献する。この好循環を生み出すことで、私たちは建設業界の新しいスタンダードを作っていきたいと考えています。
おわりに:すべての関係者とともに未来を創る
建設業は、人々の生活を支える社会基盤を作る重要な産業です。私たちが手がける建物は、何十年にもわたって使われ続け、多くの人々の暮らしや仕事を支えます。この責任の重さを常に意識し、一つひとつの仕事に誠実に向き合っていきたいと考えています。
株式会社四方継は、「四方良し」の理念のもと、すべての関係者が幸せになれる建設業のあり方を追求し続けます。お客様、協力業者様、従業員、地域社会。この四方すべてが満足し、ともに成長していける関係を築くことで、持続可能な未来を創造していきます。
建設業界には解決すべき課題が多くありますが、それは同時に改善の余地が大きいということでもあります。私たちは変化を恐れず、常に前進し続けます。そして、建設業が若い世代にとっても魅力的な仕事であることを証明し、業界全体の発展に貢献していきたいと思います。
これからも株式会社四方継は、お客様に最高の品質とサービスを提供し、協力業者様との強固なパートナーシップを築き、従業員が誇りを持って働ける環境を整え、地域社会の発展に貢献してまいります。すべての関係者とともに、より良い未来を創っていく。それが私たちの使命です。
