水害に強い地域社会を築く建築の力:防災のために今すぐ実践できる浸水対策の方法は?
水害に強い地域社会をつくるには、建築段階から浸水リスクを織り込んだ計画と、地域ぐるみの備えを組み合わせることが最も効果的な方法です。建物単体の対策だけでなく、ハザードマップを活用した敷地選定、基礎高さや設備配置の工夫、地域コミュニティの防災訓練までを一体で考えることで、浸水被害と復旧コストを大幅に抑えることができます。
【この記事のポイント】
今日の要点3つ
- 地域社会の安全は「建築×防災計画×コミュニティ」の三位一体で高めることができます。
- 浸水対策は「床下まで」「床上まで」「2階以上」と浸水深ごとに設計目標を決めると実務的に検討しやすくなります。
- ハザードマップと浸水想定区分に基づき、基礎高さ・設備高さ・避難経路をセットで設計することが被害軽減の近道です。
この記事の結論
- 地域社会の水害リスクは「建物設計の工夫+敷地選定+地域防災力」で総合的に下げることが必要です。
- 浸水対策は、ハザードマップで浸水深を確認し、基礎高さ・床高さ・設備位置を段階的に決めることが効果的です。
- 住宅は「住宅内への浸水を防ぐ」「浸水しても早く復旧できる」という二つの方針を組み合わせて設計するのが現実的です。
- 地域社会としては、雨水貯留・グリーンインフラ・土のう訓練など、行政のハード対策に頼り切らない備えが重要です。
- 建築会社は、地域イベント参加や情報発信を通じて「検索に頼らない安心な地域社会」の防災パートナーになることが求められます。
地域社会と建築が担う浸水対策の役割とは?
水害に強い地域社会づくりでは「どこに建てるか」と「どう建てるか」を切り離さずに考えることが重要です。私たち建築会社は、ハザードマップから浸水リスクを読み解き、地域の暮らしに合った防災レベルを一緒に決めていく役割を担います。
- 国や自治体は、洪水・内水・高潮ごとのハザードマップを整備し、浸水深や浸水継続時間の情報を提供しています。
- 建築実務では、その情報を「浸水想定区分1〜5(床下〜2階以上)」に整理し、被害と復旧費用の目安を把握したうえで設計目標を定めます。
- 地域社会では、自主防災組織や水防団が土のう設置・避難誘導訓練などを行い、行政の治水事業と住民の共助を組み合わせています。
たとえば同じ地域でも、「数十年に一度レベルまで対策する家」と「千年に一度レベルまで見据える家」では選ぶ浸水対策が変わるため、建築会社としてお客様と一緒に「どこまで備えるか」の線引きを明確にします。
地域社会の安全と建築の関係性
建築は単なる「建物づくり」ではなく、地域の暮らしの器を形づくる仕事であり、地域社会の安全性そのものを左右します。四方継でも「建築×地域活性化」を掲げ、イベントや学びの場を通じて、地域プレイヤーと一緒に防災・減災を考える取り組みを続けています。
- 地域防災計画では、建築物の不燃化や再開発だけでなく、水害リスクを踏まえた土地利用・住宅誘導が重視されています。
- 住宅単体の浸水対策に加え、雨水貯留施設や浸透ます、公園を活用したグリーンインフラなど、地域スケールの水害対策が広がりつつあります。
- こうしたまちづくりに建築会社が早い段階から関わることで、「安全性」と「住みやすさ」「地域のつながり」を両立しやすくなります。
実務的には、敷地調査の際に防災上の弱点を説明し、必要な盛土・排水計画・避難経路なども含めて提案することで、建物と地域社会の防災レベルを揃えていきます。
なぜ浸水対策を建築段階で考えるべきか?
浸水被害を受けた住宅は、一見元に戻せたように見えても、床下の泥出し・乾燥・消毒・断熱材や内装の交換など、多大な手間と費用がかかります。調査事例では、床下浸水であれば復旧費用は新築工事費の約1%程度で済む一方、床上浸水になると40〜70%に跳ね上がるケースも報告されています。
- 床下浸水では、基礎の換気口から水や泥が入り、床下清掃と断熱材交換が主な復旧内容です。
- 床上浸水では、床・壁・階段・設備・電気配線など広範囲な改修が必要となり、生活再開まで長期の仮住まいを強いられることがあります。
- 2階天井近くまで浸水するレベルでは、構造体や外装にも大きなダメージが及び、建て替えを検討せざるを得ない場合もあります。
こうした現実を踏まえると、「浸水してから直す」のではなく、「どこまで浸水させないか」「浸水してもどこを守るか」をあらかじめ設計に落とし込むことが、長期的なコストと地域社会の安心に直結します。
建築実務で押さえるべき浸水対策の3ステップ
浸水対策を次の3ステップに分けて考えることが最も大切です。これにより、地域ごと・ご家族ごとの事情に合わせた現実的な防災レベルを選びやすくなります。
ステップ1:浸水リスク情報の確認
- 国の「ハザードマップポータルサイト」で、洪水・内水・高潮の浸水想定区域と想定浸水深を確認します。
- 市町村の地域防災計画やハザードマップで、計画規模(数十年に一度)と想定最大規模(千年に一度)の両方の浸水深を把握します。
- 過去の浸水実績や、近隣住民からの聞き取り、浸水深標識なども参考情報として整理します。
ステップ2:浸水想定区分と設計目標の設定
- 浸水深を「床下まで(区分1)」「1階の一部(区分2)」「1階天井下まで(区分3)」「2階床まで(区分4)」「2階床以上(区分5)」に区分し、被害と復旧費用の目安を整理します。
- 「床上浸水は絶対避けたい」「万一の大水害でも2階で生活を続けたい」など、建築主の希望を踏まえて、設計用浸水深と目標レベル(浸水させない/浸水を許容して早期復旧)を決めます。
ステップ3:具体的な浸水対策方法の選定
- 住宅本体を高くする(盛土・高基礎・ピロティ)か、敷地を止水塀・止水板で囲うか、どの組み合わせが地域条件とコストに合うか検討します。
- 屋外設備機器のかさ上げ、配管の逆流防止、床下換気口へのフロート弁や塞ぎ板など、細部の対策を積み上げます。
- 2階への水回り配置や、2階以上に避難スペースを確保するなど、浸水後も生活継続が可能な間取りを検討します。
たとえば、計画規模の洪水で1.0mの浸水が想定される地域では、「床上浸水はさせない」「屋外設備を浸水させない」というレベルを目標に、高基礎と設備のかさ上げを組み合わせる設計が現実的な選択肢になります。
地域社会の防災力を高める建築的アプローチ
地域社会で共有すべき「浸水リスク情報」とは?
地域社会全体で「どこがどの程度水に浸かる可能性があるのか」を共通の前提として持つことが、防災の出発点になります。自治体が整備する地域防災計画とハザードマップを、建築会社が住宅計画に翻訳し、住民にわかりやすく伝えることが重要です。
- 地域防災計画では、想定される風水害の種類(外水氾濫・内水氾濫・ため池決壊・高潮)ごとに対策が整理されており、建築物への浸水対策も位置づけられています。
- ハザードマップポータルや内水ハザードマップでは、浸水深・浸水継続時間・家屋倒壊等氾濫想定区域などが確認でき、設計者が「どこまでが対策の対象になるか」を判断する材料になります。
- 四方継としては、敷地調査レポートにこれらの情報を整理して添付し、お客様や地域の方々に「図と数字」で直感的に理解いただける工夫を行っています。
たとえば、西区など既存市街地では小さな河川や内水氾濫の情報が見落とされがちですが、設計段階でまとめておくことで「思わぬ浸水リスク」を事前に共有できます。
建築×地域社会で実践できる浸水対策の方法
地域社会単位での浸水対策は「建物」「道路・公園」「コミュニティ」の三つの層を組み合わせることで、初めて効果を発揮します。建築会社としては、住まいづくりだけでなく、周辺環境の計画にも積極的に提案していきます。
建物レベル
- 基礎の高さ設定、高基礎やピロティによる床上浸水回避、止水板・土のう・床下換気口の塞ぎなどが代表的な手法です。
- 屋外設備機器のかさ上げや、浸水しにくい位置への移設などで、停電・給湯停止など生活への影響を軽減できます。
街区・地域レベル
- 雨水貯留施設や浸透ますの整備により、短時間強雨時のピーク流出を抑制し、道路冠水や内水氾濫リスクを下げられます。
- 公園や緑地を一時的な貯水空間とするグリーンインフラは、景観向上と浸水対策を両立させる方法として注目されています。
コミュニティレベル
- 自主防災組織による土のう設置訓練、避難経路の共有、声かけ体制の構築など、ソフト面の対策がハード対策を補完します。
具体例として、道路側からの浸水を懸念する住宅では、敷地の一部に雨水を一時貯留できるくぼ地と植栽を設けることで、道路側への流出と自宅側への侵入を同時に抑える計画が有効です。
地域イベントと情報発信で防災意識を高めるには?
防災を「特別なテーマ」ではなく、地域の暮らしを語るうえで自然に話題になる状態をつくることが最も大切です。四方継では、自治体主催の交流会や地域イベントへの参加を通じて、「建築×地域社会」をテーマにした対話の場づくりに取り組んでいます。
- 交流会やワークショップで、簡単な模型やパネルを使い、「床下浸水」「床上浸水」でどのくらい復旧費用と時間が変わるかを視覚的に共有すると、防災の必要性が実感しやすくなります。
- 暮らしの学校や見学会では、「浸水対策を組み込んだ住宅」の事例紹介や、土のう積み・止水板設置の実演など、体験型のコンテンツが有効です。
- ブログや公式サイトでは、「検索に頼らない安心な地域社会」をめざし、地域の方が知りたい浸水対策の方法を、建築会社の目線で分かりやすく発信していきます。
防災の話題をイベントや記事の中に少しずつ埋め込み、日常の延長線上で「自分ごと」として考えていただくことが、地域社会全体のレジリエンス向上につながります。
よくある質問
Q1. 地域社会の浸水対策で、建築会社がまずやるべきことは何ですか? ハザードマップで浸水深と浸水想定区分を整理し、お客様と共有したうえで基礎高さや設備位置などの設計方針を決めることが第一歩です。
Q2. 床下浸水と床上浸水では、どれくらい復旧費用が違いますか? 床下浸水は新築費の約1%程度ですが、床上浸水では40〜70%程度まで増える事例が多く、被害の重さが大きく異なります。
Q3. 自宅がハザードマップで浸水想定区域外なら、浸水対策は不要ですか? 完全に安全とは限りません。小河川や内水氾濫がマップに反映されていない場合もあるため、過去の浸水履歴や地形も確認して判断するべきです。
Q4. 住宅の浸水対策で、もっとも簡単に始められる方法は何ですか? 床下換気口と玄関まわりの止水対策(土のう・止水板・塞ぎ板)を準備し、設置手順を家族で確認しておくことが手軽で効果的です。
Q5. 地域社会としてできる浸水対策にはどんなものがありますか? 雨水貯留施設や浸透ます、グリーンインフラ、自主防災組織による土のう訓練・避難訓練など、ハードとソフトを組み合わせる方法があります。
Q6. 浸水対策をしっかりしても、避難は必要ですか? 住宅の浸水対策は時間を稼ぐためのものであり、命を守るうえでは気象情報に応じた早めの避難を最優先すべきです。
Q7. 既存住宅でも浸水対策を後から追加できますか? 止水板や床下換気口の塞ぎ、屋外設備のかさ上げなどは後施工が可能であり、浸水経路ごとに優先度を決めて順次対策を追加できます。
Q8. 浸水対策のレベルはどう決めればよいですか? 想定浸水深、発生頻度、許容できる復旧費用、予算を踏まえ、「床上浸水を防ぐのか」「浸水を許容して早期復旧を目指すのか」を建築会社と相談して決めます。
まとめ
- 地域社会の安全は、「建築設計」「敷地選定」「地域防災活動」を組み合わせることで、初めて水害に強い状態に近づきます。
- 浸水対策は、ハザードマップから浸水想定区分を把握し、「どの浸水深まで」「何を守るか」という設計目標を決めるプロセスが重要です。
- 建築会社として、浸水経路ごとの具体的な対策と、地域イベント・情報発信を通じた防災意識の向上を両輪で進めていくことが、検索に頼らない安心な地域社会づくりへの近道です。
―― 会社情報 ――
株式会社四方継(しほうつぎ)
おもな事業:建築 × 地域活性化
登録番号
・兵庫県知事許可[般-3]第113647号
・建築士事務所登録[二級]第02A02681号
・住宅性能保証制度登録 第21016945号
所在地
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兵庫県神戸市西区池上3-6-7
SUMIRE.COmplex 2F(Office)
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