地域を守り次世代へ継ぐ―四方継が目指す「四方良し」の実現

はじめに

私たち株式会社四方継は、2020年の社名変更とともに、ある明確な理念を打ち出しました。それが「人、街、暮らし、文化を継ぎ、四方良しを実現する」という考え方です。

この「四方良し」とは、作り手である私たち、住み手であるお客様、協力会社の皆様、そして地域社会の四者すべてが満足し、利益を享受できる循環を生み出すことを意味しています。

一見すると、私たちが展開する「建築事業」と「地域活性化事業」は別々の事業のように思えるかもしれません。しかし実は、これらすべての活動は「地域を守り次世代に継なげる」という一つの大きな使命のもとに、深く結びついているのです。

今回のブログでは、私たち四方継の事業がどのように理念と結びつき、どのような形で地域と未来に貢献しているのかを、改めて皆様にお伝えしたいと思います。

創業からの歩み―職人の技術が育んだ「継承」への想い

大工集団「高橋組」からのスタート

私たちの歴史は、1994年4月に神戸市西区大津和で創業された大工集団「高橋組」から始まります。当時は大手住宅メーカーの特約工務店として、現場で技術を磨き、経験を積み重ねてきました。

この現場での経験こそが、後に私たちが掲げる「受け継がれる価値のある丁寧なものづくり」という考え方の土台となっています。職人として培った技術力は、お客様からの信頼を得る上で欠かせないものでした。

転機となったリフォーム事業への進出

2003年、私たちはリフォーム事業に進出しました。このとき、職人による直接施工が大きな反響を呼び、下請け中心から元請中心の営業へと大きく転換することになります。

この変化は単なる営業スタイルの変更ではありませんでした。職人がお客様と直接向き合うことで、技術だけでなく、お客様の生活全体に対する責任を持つようになったのです。これは「住み手」への貢献を強化する、私たちにとって非常に重要な経験となりました。

理念の明確化と社名変更

そして2020年、創立20周年を機に株式会社四方継へと社名を変更し、「人、街、暮らし、文化を継ぎ『四方良し』を実現する」という理念を正式に打ち出しました。

この理念を実現するために、私たちは二つのビジョンを軸に事業を展開しています。一つは「つむぎ建築舎」による建築事業、もう一つは「つない堂」による地域活性化事業です。どちらも「地域を守り次世代に継なげる」という使命を果たすための、大切な柱なのです。

つむぎ建築舎―未来の暮らしを見据えた家づくり

環境と経済を両立するGX志向型住宅

つむぎ建築舎では、常に時代の最先端技術を取り入れながら、高品質な住まいを提供しています。その中でも特に力を入れているのが、GX志向型住宅です。

GXとは「グリーントランスフォーメーション」の略で、温室効果ガスの排出を削減しながら経済成長も実現するという考え方です。具体的には、高い断熱性能と高効率設備によって一次エネルギー消費量を削減し、太陽光発電などの再生可能エネルギーを取り入れた住宅のことを指します。

環境への責任を果たすことは、お客様の未来の暮らしを守ることに直結します。これこそが、私たちの考える「暮らしの継承」なのです。

革新的な構法への挑戦

私たちは常に新しい技術に挑戦し続けています。現在、まだ一般的には広く知られていない構法を用いたプロジェクトに取り組んでおり、これは日本国内でも3棟目となる貴重な事例です。

また、愛知県の歯科クリニックのプロジェクトでは、KANSO構法を採用し、スイスのN11 Architektenという海外の設計事務所とも協働しています。このようにグローバルな水準で技術を探求し続けることで、常に最高品質の建築を追求しています。

丁寧なものづくりの実践

理念である「丁寧なものづくり」は、現場の細部にこそ現れます。

たとえば、スキップの家のプロジェクトでは、断熱気密工事において、すき間から空気が漏れないようにしっかりと丁寧に施工することを徹底しています。この細やかな作業の積み重ねが、快適で長持ちする住まいを実現するのです。

また、愛知の歯科クリニックでは、内部に天然乾燥の愛知県産杉材を使用するなど、自然のマテリアルを活かした価値ある建築を追求しています。素材一つひとつにこだわり、その良さを最大限に引き出すことが、私たちの仕事です。

お客様とのコミュニケーション

世代を超えて受け継がれる価値ある建築を実現するため、女性建築設計士と大工による細やかなコミュニケーションを大切にしています。

専門家としての提案や計画から施工プロセスまで、すべてを見える化することで「見て安心、さわって安心」を提供しています。お客様が安心して家づくりを任せられる、そんな関係性を築くことを何より大切にしているのです。

このように、つむぎ建築舎では単に建物を建てるのではなく、革新的な技術と丁寧な施工を通じて、お客様の未来と建築文化を次世代へと継承しています。

つない堂―信頼でつながる地域社会づくり

検索不要の安心安全な地域社会を目指して

つない堂の核となる考え方は、「信頼の輪を広げ、検索不要の安心安全な地域社会を作る」ことです。

現代社会では、何か困ったことがあるとすぐにインターネットで検索してしまいます。しかし、検索結果だけでは本当に信頼できる相手かどうかは分かりません。

私たちは、あらゆる分野で卓越した知見を持つ「人」「事業所」「サービス」を発掘し、信頼を軸に人と人を繋ぎ、ご縁を紡ぐリアルなネットワークを構築しています。インターネット検索を必要としないほどの高い信頼関係で結ばれた地域社会、それが私たちの目指す姿です。

この活動は、地域の皆様に安心できる生活インフラと、人との温かい繋がりを提供することで、「いい街を次世代に継ぐ」ことを目指しています。

子どもたちの学びを支える

つない堂では、地域の子どもたちの「学び」を支えるため、しずく学習塾の運営支援を積極的に行っています。

この学習塾は地域からの信頼が厚く、募集人数がいっぱいになるほどの盛況ぶりです。私たちのスタッフは、教室の引越しに伴うホームページやチラシの更新、助成金申請といった専門的な事務作業をサポートしています。

また、卒業パーティーの開催や「ちびっこ応援!木工教室」の実施を通じて、子どもたちの成長を直接支援しています。木工教室では、実際にものづくりを体験することで、子どもたちに職人の技術や創造する喜びを伝えることができるのです。

地域イベントへの参加と文化継承

私たちは地域イベントにも積極的に参加しています。西区役所主催の「エニシミーツ」や、「伊川リバーフェスタ」「西区もくいく」への参加は、行政や地域団体とのリアルな連携を強化する貴重な機会です。

また、情報誌「つないどう?」では、「能登半島輪島市黒島地区【重要伝統的建築物】修復レポート」を特集するなど、地域文化の継承や災害復興という広域な社会課題にも関心を寄せています。

これらの活動を通じて、物理的な建築だけでなく、地域コミュニティという「街」の質そのものを高め、地域社会への貢献という理念を実践しているのです。

人材育成事業―技術と文化を次世代へ

職人起業塾による人材育成

日本の建築業界は深刻な職人不足に直面しています。この課題に対して、私たちは真剣に取り組んでいます。

2013年に開講した職人起業塾は、2016年に一般社団法人職人起業塾として全国展開しました。この塾の特徴は、職人の独立開業を支援するのではなく、イントラプレナーシップ、つまり社内起業家精神の醸成を目的としている点です。

イントラプレナーシップとは、組織の中にいながら起業家のような視点と行動力を持つことを指します。職人に経営視点を持たせることで、現場で品質、コスト、お客様満足に責任を持つプロフェッショナルを育成しています。

継続的な学びの場

研修「継塾」では、令和7年3月に「持続可能なビジネスモデル探求」、令和7年6月には「CSVモデル(社会課題解決型ビジネス)に焦点を合わせる」ダイアログが実施される予定です。

CSVとは「Creating Shared Value(共通価値の創造)」の略で、企業が社会課題の解決と経済的価値の創出を同時に実現するビジネスモデルのことです。常に社会性を意識した教育を施すことで、私たちの理念を体現できる人材を育成しています。

マイスター高等学院―未来への投資

理念に基づいた教育への最大の投資が、2023年に設立・開校されたマイスター高等学院です。

この通信制高校では、高校卒業の資格を取りながら、大工など建設業における「職人」としての技術を身につけることができます。学業と実技の両立により、次世代の職人を育成する革新的な教育機関です。

代表の高橋剛志は、「モノづくりの担い手を子供の憧れの職業にすることを目指す」という強い決意のもと、この学院を設立しました。建築業界の職人不足に歯止めをかけ、技術と文化を次世代へと確実に継承する、これが私たちの使命なのです。

すべてが一つの理念でつながっている

三つの事業が織りなす「四方良し」

ここまでお読みいただいて、私たちの事業がどのように繋がっているかお分かりいただけたでしょうか。

つむぎ建築舎は、GX志向型住宅や革新的な構法を通じて、高品質な「暮らし」と「文化」を次世代に継承します。これは住み手であるお客様と、作り手である私たちへの貢献です。

つない堂は、検索不要の安心安全な地域社会という強固な「街」のインフラを構築し、子どもたちの教育支援を通じて未来の「人」を育成します。これは地域社会と住み手への貢献です。

そして職人育成事業は、作り手の専門性と意識を向上させ、理念達成のための持続的な人材基盤を保証します。これは作り手と文化の継承です。

木組みの家のような事業構造

私たちの事業は、まるで職人の手による伝統的な木組みの家のようだと考えています。

つむぎ建築舎による高性能な家づくりは、家そのものという「文化」を継ぎます。つない堂による地域活性化は、家を建てる場所、すなわち「街」という土台と環境を強固にします。そして職人起業塾やマイスター高等学院は、その木組みを組み上げる「人」と「技術」を絶えず育成し、「文化」を次の世代へ伝えます。

これらの活動が一つになることで、理念である「四方良し」という、何世代にもわたって安全で豊かな生活を支える強固な構造体が完成するのです。

おわりに―未来への約束

株式会社四方継の事業は、単なる建築工務店の枠を超えています。私たちは技術と理念に基づいた活動を通じて、地域社会への真摯な貢献と、未来への確固たる責任を果たし続けています。

「人、街、暮らし、文化を継ぎ、四方良しを実現する」という理念のもと、すべての事業が「地域を守り次世代に継なげる」という一つの大きな使命に向かって進んでいます。

作り手である私たち、住み手であるお客様、協力会社の皆様、そして地域社会の四者すべてが満足し、共に豊かになる循環を生み出すこと。それが私たちの変わらぬ目標です。

これからも私たちは、この一貫した事業戦略を通じて「四方良し」の輪を広げ、「いい街を継ぐ」という使命を果たし続けてまいります。地域の皆様とともに、次世代に誇れる街と暮らしを創造していく、その一翼を担えることを誇りに思っています。

今後とも、株式会社四方継をどうぞよろしくお願いいたします。

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