地域の子どもたちと共に歩む「しずく学習塾」卒業パーティー開催レポート

はじめに:地域と共に成長する私たちの想い

こんにちは。株式会社四方継です。

私たちは神戸市西区を拠点に、ものづくり工務店「つむぎ建築舎」と地域活動拠点「つない堂」を運営しています。企業理念は「人、街、暮らし、文化を継ぎ、四方良しを実現する」こと。この四方良しとは、お客様良し、地域社会良し、働く仲間良し、会社良しという4つの視点を大切にする考え方です。

中でも私たちが最も力を入れているのが「地域社会良し」の実現です。単に建物を建てるだけではなく、地域の方々と深く関わり、共に成長していく。そんな関係性を築くことを大切にしています。

その想いを形にしたのが、地域活動拠点「つない堂」で運営する「しずく学習塾」です。この学習塾は、地域の子どもたちが安心して学べる場所として、多くのご家庭から信頼をいただいています。

2025年3月29日、私たちはしずく学習塾の卒業生を祝う「卒業パーティー」を開催しました。今回のブログでは、その賑やかな一日の様子と、日々の運営を支えるスタッフの奮闘、そして私たちが地域教育に取り組む理由について、詳しくお伝えしたいと思います。

卒業パーティー当日の様子:18名が集った賑やかな一日

テラスでの温かな交流

卒業パーティー当日は、予想通り少し肌寒い日でしたが、テラスには温かな笑顔と活気があふれていました。

参加してくださったのは、運営スタッフ、ボランティアの皆さん、そして卒業生と在校生を合わせて総勢18名。想像以上の大人数が集まり、本当に盛り上がりました。子どもたちの元気な声、保護者の方々との語らい、そしてボランティアの皆さんとの交流。テラスは笑顔と感謝の気持ちでいっぱいになりました。

実はこのパーティー、一昨年の年末から準備を始めていました。どんな内容にすれば子どもたちが喜んでくれるか、保護者の方々にも楽しんでいただけるか。スタッフ全員で何度も話し合いを重ねてきました。

当日は少し寒かったものの、参加者の皆さんの熱気で寒さなんて吹き飛んでしまうほど。卒業生たちは、これまでお世話になった先生やボランティアの方々に感謝の言葉を伝え、在校生たちは先輩の門出を温かく見送りました。

別れと新しい出会いが交差する場所

卒業パーティーは、確かに別れの場でもあります。長く通ってくれた子どもたちが巣立っていく寂しさは、スタッフ全員が感じています。

しかし同時に、新しい始まりの場でもあります。卒業生たちはこれから新しい環境で頑張っていく。その成長を見守れることは、私たちにとって大きな喜びです。

さらに嬉しいことに、三年生が卒業した後すぐに、新しい二年生、三年生からの申し込みをいただきました。そして、あっという間に募集人数いっぱいになってしまったのです。

これは本当にありがたいことです。地域のご家庭から、しずく学習塾を信頼していただいている証だと感じています。お子さんの大切な学びの時間を私たちに託してくださる。その責任の重さと同時に、大きなやりがいを感じています。

正直なところ、場所を広げて受け入れ人数を増やしたいという想いは常にあります。もっと多くの子どもたちに学びの場を提供したい。でも今は、目の前の子どもたち一人ひとりと丁寧に向き合うことを最優先にしています。

地域活動への取り組み:行政との連携と広がるネットワーク

西区役所との協力関係

私たちの地域活動は、学習塾の運営だけにとどまりません。地域行政とも積極的に連携を深めています。

2025年1月19日には、西区役所主催の「エニシミーツ」というイベントに参加させていただきました。このネーミング、素敵ですよね。E-NISHIと「縁」を掛け合わせているんです。西区で活動する様々な団体が集まり、お互いのご縁を深める場となりました。

そして2025年9月には、西区役所の方からお声掛けをいただき、「伊川リバーフェスタ」と「西区もくいく」というイベントにデビューすることができました。こうした公的なイベントに参加させていただけることは、私たちの活動が地域に認められている証だと感じています。

「ご縁を紡ぐ」という理念の実践

私たちが大切にしているのは「人を繋ぎ、ご縁を紡ぎ、いい街を継ぐ」という考え方です。

卒業パーティーのようなイベントも、まさにご縁を紡ぐ場です。子どもたち同士のつながり、保護者の方々との信頼関係、ボランティアの皆さんとの協力関係。こうした一つひとつのご縁が、地域全体の絆を強くしていくと信じています。

地域のイベントに参加することで、私たちは新しい方々とのご縁もいただいています。そこで出会った方が学習塾に興味を持ってくださったり、別の形で協力してくださったり。ご縁がご縁を呼び、地域のネットワークは少しずつ広がっています。

スタッフの奮闘記:多忙な業務と熱い想い

年度末から新年度にかけての繁忙期

卒業パーティーの成功は、スタッフの日々の地道な努力があってこそです。特に年度末から新年度にかけては、本当に忙しい時期でした。

2025年4月頃を振り返ると、春だというのに仕事も私生活もなんとなく「てんやわんや」な状況でした。具体的には、年度末の助成金報告、学習塾の新年度対応とお引越し、そして2025年度の助成金申請。これらの業務が一度に押し寄せてきたのです。

助成金の報告書作成は、想像以上に細かい作業が必要です。活動内容を詳細に記録し、会計報告をまとめ、成果を数値化する。普段の運営業務に加えて、こうした事務作業をこなすのは本当に大変でした。

さらに学習塾のお引越しも重なりました。新しい場所への移転に伴い、教材や備品の整理、新しい教室のレイアウト決め、保護者への連絡など、やることは山積みでした。

プレッシャーと向き合いながら

別のエピソードをご紹介します。10月13日に予定されている「tunaido*ワークショップマルシェ」の準備では、担当スタッフが「胃が痛い」と感じるほどのプレッシャーに直面しました。

大規模なイベントを成功させるには、細部まで気を配る必要があります。参加者の安全確保、タイムスケジュールの管理、トラブル発生時の対応計画。考えるべきことは無数にあります。

でも、そのスタッフは「今の自分の全力を出し切れ」という強い気持ちで取り組んでいます。こうした一人ひとりの献身的な姿勢が、私たちの活動を支えているのです。

正直なところ、楽な仕事ではありません。でも、子どもたちの笑顔を見たとき、保護者の方から感謝の言葉をいただいたとき、すべての苦労が報われる気がします。

透明性の高い運営体制づくり

活動を持続的に続けていくためには、運営の透明性も大切です。

教室のお引越しに伴い、ホームページも全面的にリニューアルしました。地図や写真を最新のものに更新し、アクセス方法をわかりやすく説明しています。

さらに新たに「ご支援のお願い」というページも作成しました。銀行振込だけでなく、カード決済でもご支援いただける体制を整えたのです。これにより、しずく学習塾の活動を応援してくださる方々に、より気軽に支援していただけるようになりました。

助成金だけでは運営が難しいのが現実です。地域の皆様からのご支援があってこそ、継続的な活動ができています。いただいたご支援は、教材の購入や設備の充実など、すべて子どもたちのために使わせていただいています。

子どもたちへの多様な学びの提供

木工教室での実践的な体験

私たちは学習塾だけでなく、様々な形で子どもたちに学びの機会を提供しています。

2025年8月2日には「ちびっこ応援!木工教室」を開催しました。参加してくださったのは3家族。一緒に「インテリア棚」と「キーフック」を製作しました。

当日は猛暑でしたが、作業場に冷風機を投入して、できる限り快適な環境を整えました。子どもたちの安全を第一に考え、スタッフが常に目を配りながら作業を進めました。

木工教室では、ただ作品を作るだけではありません。木材の種類や特性、道具の使い方、安全な作業方法など、様々なことを学べます。自分の手で何かを作り上げる達成感も味わえます。

参加した子どもたちは、最初は慣れない道具に戸惑っていましたが、徐々にコツをつかんで上手に作業できるようになりました。完成した作品を手に、誇らしげな表情を見せてくれたのが印象的でした。

机の上では学べないこと

私たちが木工教室のような体験型イベントを大切にしているのには理由があります。

現代の子どもたちは、デジタル機器に触れる機会は多いものの、実際に手を動かして何かを作る経験は少なくなっています。でも、実際に体を動かし、素材に触れ、試行錯誤しながら作り上げる経験は、子どもたちの成長にとって本当に大切だと考えています。

木工教室に参加した保護者の方からは「家では危ないからなかなかやらせられない」「こういう機会は本当にありがたい」という声をいただきました。

私たちは工務店として、ものづくりの専門知識と技術を持っています。その強みを活かして、子どもたちに本物の体験を提供できる。これも地域貢献の一つの形だと考えています。

本業の専門性を活かした社会貢献

マイスター高等学院という挑戦

私たちの教育への取り組みは、さらに大きな広がりを見せています。

2023年4月、私たちは「マイスター高等学院」という通信制高校を設立・開校しました。この学校の特徴は、高校卒業の資格を取りながら、大工など建設業における「職人」としての技術を身につけられることです。

なぜこのような学校を作ったのか。それは「モノづくりの担い手を子供の憧れの職業にする」という大きな目標があるからです。

現在、建設業界は深刻な職人不足に直面しています。高齢化が進み、若い担い手が不足している。このままでは日本の伝統的な建築技術が失われてしまうかもしれません。

でも、職人という仕事は本当に素晴らしいものです。自分の手で何かを作り上げる喜び、技術を磨いていく充実感、完成した建物を見たときの達成感。こうした魅力を若い世代に伝えたい。そんな想いから、マイスター高等学院を立ち上げました。

職人起業塾の全国展開

教育事業はこれだけではありません。2013年に開講した「職人起業塾」は、2016年には一般社団法人として全国展開を果たしています。

この塾は、職人のイントラプレナーシップ、つまり社内起業家精神を育てることを目的としています。技術だけでなく、経営的な視点や、自ら考え行動する力も身につけてもらう。そんな教育プログラムです。

こうした本業での教育ノウハウが、しずく学習塾の運営にも活きています。子どもたちに教える際も、ただ知識を詰め込むのではなく、自分で考える力、主体的に学ぶ姿勢を大切にしています。

能登半島での復興支援活動

私たちの専門技術は、緊急時の社会貢献にも活用されています。

地域情報誌「つないどう?」で特集した「能登半島輪島市黒島地区伝統的建築物修復レポート」では、大工の石田が泊まり込みで復旧作業に携わった様子を報告しました。

伝統的な建築物の修復には、高度な技術と知識が必要です。現代の建築とは異なる工法や材料を理解し、昔ながらの技術を駆使して修復していく。こうした専門性を持つ職人が、災害からの復興を支えているのです。

この活動は、私たちが掲げる「文化を継ぐ」という理念の実践でもあります。建築物を単なる建物として見るのではなく、地域の歴史や文化を伝える大切な財産として捉える。そんな視点を大切にしています。

環境への取り組みと未来への責任

ゼロエネルギー住宅からGX志向型住宅へ

私たちは2012年、高性能ゼロエネルギー住宅「SUMIKA-ZERO」が国土交通省のゼロエネルギー推進化住宅に認定されました。

エネルギーをできるだけ使わず、使うエネルギーも自然エネルギーで賄う。環境に優しく、住む人にも優しい住宅。これが私たちの目指す家づくりです。

現在は、さらに進化した「GX志向型住宅」を推進しています。GXとはグリーントランスフォーメーションの略で、環境と経済の両立を目指す考え方です。

省エネ性能が高く、快適で、しかも経済的。そんな住宅を提供することで、持続可能な社会の実現に貢献したいと考えています。

子どもたちに残したい未来

環境への取り組みは、実は子どもたちへの教育と深くつながっています。

しずく学習塾に通う子どもたちが大人になったとき、どんな世界で生きているのか。私たちが今、どんな選択をするかで、その未来は変わってきます。

環境に配慮した住宅を作ること、エネルギーを大切に使うこと、自然との共生を考えること。こうした一つひとつの取り組みが、子どもたちの未来を守ることにつながります。

木工教室で木材の大切さを伝えるのも、同じ想いからです。木は適切に管理すれば再生可能な資源です。森を守り、木を大切に使う。そんな循環型社会の考え方を、体験を通じて学んでもらいたいのです。

未来創造企業としての責任

公的な認定と信頼

2022年、私たちは一般社団法人日本未来企業研究所より「未来創造企業」として認定されました。

これは「地域を守り次世代に継なげる事業を目指す」という私たちの理念が、社会的に評価された証です。単に利益を追求するのではなく、地域社会の発展に貢献し、持続可能な経営を行っている企業として認められたのです。

この認定は私たちにとって大きな励みになっています。同時に、その責任の重さも感じています。認定された企業として、これからも地域のために、子どもたちのために、誠実に活動を続けていかなければなりません。

長期的なサポート体制

私たちは2009年から「すべてのお客様に生活の安心・安全を」を合言葉に、無料巡回メンテナンスサービスを実施しています(神戸近郊に限ります)。

家を建てたら終わりではありません。建てた後も長く、お客様との関係は続いていきます。定期的に訪問し、家の状態をチェックし、必要なメンテナンスを行う。こうした地道なサポートを続けています。

この姿勢は、しずく学習塾の運営にも共通しています。子どもたちが卒業したら終わりではなく、その後も見守り続けたい。いつでも相談に乗れる関係でいたい。そんな想いで活動しています。

おわりに:これからも地域と共に

2025年3月29日に開催した「しずく学習塾の卒業パーティー」。テラスに集った18名の笑顔は、私たちにとってかけがえのない宝物です。

卒業生たちの成長を見守れたこと、新しい生徒さんを迎えられること、そして地域の皆様から信頼していただいていること。すべてが私たちの喜びであり、誇りです。

「人、街、暮らし、文化を継ぎ、四方良しを実現する」という理念のもと、これからも地域の子どもたちと共に歩んでいきます。

場所を広げて、もっと多くの子どもたちを受け入れたいという想いは変わりません。でも焦らず、一歩ずつ。目の前の子どもたち一人ひとりと丁寧に向き合いながら、着実に前進していきます。

私たちの活動は、スタッフだけでは成り立ちません。ボランティアの皆様、保護者の皆様、そして地域の皆様のご支援とご協力があってこそです。

これからも株式会社四方継は、本業であるものづくりと、地域活動の両輪で、豊かな地域社会の実現に貢献してまいります。

地域の子どもたちの笑顔のために、そして持続可能な未来のために、私たちは走り続けます。

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