地域とのご縁を大切に。西区役所主催「エニシミーツ」に参加しました

はじめに:私たちが大切にする「ご縁」という考え方

こんにちは。神戸市西区でものづくり工務店「つむぎ建築舎」と地域活動拠点「つない堂」を運営する、株式会社四方継です。

私たちは「人、街、暮らし、文化を継ぎ、四方良しを実現する」という企業理念のもと、日々の活動を行っています。この理念の中でも特に大切にしているのが、地域社会とのつながりです。

2025年1月19日、西区役所が主催する地域交流イベント「エニシミーツ」に参加させていただきました。このイベント名には「E-NISHI(いい西)と縁(エニシ)」という二つの意味が込められています。この素敵なネーミングに私たちは深く共感しました。

なぜなら、私たちが掲げるビジョンの一つが「人を繋ぎ、ご縁を紡ぎ、いい街を継ぐ」だからです。まさにこのイベントのコンセプトと重なり合うものでした。

現代社会では、インターネットで何でも検索できる便利さがある一方で、人と人とのつながりが希薄になりがちです。私たちは、顔の見える関係、信頼に基づく深いつながりこそが、本当に安心して暮らせる地域社会を作ると信じています。

今回の記事では、この「エニシミーツ」への参加を通じて、私たちが地域とどのように向き合っているのか、そしてどんな想いで活動しているのかをお伝えします。

「エニシミーツ」参加の経緯と、行政との信頼関係

西区役所との最初のご縁は、2024年9月に遡ります。この時、私たちは「伊川リバーフェスタ」と「西区もくいく」という二つのイベントに参加させていただきました。これらのイベントへの参加は、西区役所の方からお声掛けをいただいたことがきっかけでした。

地域行政から直接お声掛けをいただけるということは、私たちにとって大きな意味があります。それは単に「イベントに参加してほしい」という依頼以上のものです。地域に根付いた活動を続けてきた私たちの姿勢を、行政の方々が認めてくださった証だと感じています。

そして今回の「エニシミーツ」への参加依頼。継続的にお声掛けをいただけることは、私たちが地域社会において信頼される存在として認識されている何よりの証明です。

私たちは単なる建設会社ではありません。地域を守り、次世代に継いでいく事業を目指しています。だからこそ、地域行政との協働は非常に重要な意味を持つのです。

イベントでは、地域の皆様と直接お話しする機会をたくさんいただきました。「つない堂のことは知っていたよ」「しずく学習塾、うちの子も通わせたいんです」といった温かいお言葉をいただくたびに、日々の活動の意義を実感します。

また、イベントの様子は知り合いのYouTuberであるデネブさんに動画として記録していただきました。こうした形で情報を広く共有することも、私たちの活動の一部です。後から見返すことで、参加できなかった方にも雰囲気が伝わり、次回の参加につながることを期待しています。

地域イベントへの参加は、一見すると本業とは関係のない活動に思えるかもしれません。しかし私たちにとっては、これこそが本業そのものなのです。なぜなら、地域との信頼関係があってこそ、私たちの建築事業も成り立つからです。

「つない堂」が目指す、検索不要の安心社会

私たちが運営する「つない堂」は、地域活動拠点として様々な活動を展開しています。その目標は「インターネット検索を必要としない安心安全な循環地域型社会のハブ」になることです。

この目標について、もう少し詳しく説明させてください。

今の時代、何か困ったことがあればすぐにスマホで検索します。レストランを探すとき、修理業者を探すとき、習い事を探すとき。確かに便利です。しかし、検索結果の中から本当に信頼できる相手を見つけるのは簡単でしょうか。

レビューはたくさんあっても、それが本当に信頼できる情報なのか判断が難しい。実際に会ったこともない相手に、大切な家のことや子どもの教育のことを任せるのは不安が残ります。

私たちが目指すのは、そうした不安がない社会です。「困ったときは、あそこに聞けば誰か紹介してくれる」「つない堂に行けば、信頼できる人につないでもらえる」。そんな安心感のある関係性を地域に築きたいのです。

具体的には、あらゆる分野で卓越した知見を持つ人、事業所、サービスを発掘し、リアルなネットワークを構築しています。そしてそれを地域の皆様と共有するメディアとして機能することを目指しています。

この活動の根底にあるのは「信頼を軸に人と人を繋ぎ、ご縁を紡ぐ」という哲学です。私たちが誰かを紹介するときは、必ず自分たちがその人や事業所と直接関わり、信頼できると確信した相手だけです。

実は、この信頼の基盤には長い歴史があります。私たちは2009年から「すべてのお客様に生活の安心・安全を」を合言葉に、無料巡回メンテナンスサービスを本格化させてきました。神戸近郊のお客様のもとを定期的に訪問し、家の状態を確認する。これを15年以上続けてきたことが、今の信頼関係につながっています。

一軒一軒のお宅を訪問し、顔を合わせて話をする。手間のかかることですが、この積み重ねが何よりも強い信頼を生むのです。

次世代とのご縁を育む「しずく学習塾」の取り組み

地域との縁を次世代に継いでいくことも、私たちの重要な使命です。その一環として運営しているのが「しずく学習塾」です。

この学習塾は、地域の子どもたちへの学習支援を目的としています。単に勉強を教えるだけでなく、子どもたちが安心して学べる場所、居場所としての役割も果たしています。

水曜日の授業日、今年度は三年生が卒業したばかりでしたが、すぐに新二年生、三年生からの申し込みをいただき、募集人数がいっぱいになりました。この盛況ぶりは、地域の保護者の皆様からの信頼の証だと感じています。

保護者の方からは「子どもが楽しみにしています」「勉強だけでなく、いろんなことを学んでいるようです」といった嬉しいお言葉をいただいています。

また、2024年8月2日には「ちびっこ応援!木工教室」を開催しました。午前の部に3家族様にご参加いただき、子どもたちと一緒にものづくりを楽しみました。

この木工教室には特別な想いがあります。私たちは「モノづくりの担い手を子供の憧れの職業にすること」を目指しています。大工や職人という仕事の素晴らしさ、ものづくりの楽しさを、子どもたちに直接体験してもらいたいのです。

実際に木を切って、組み立てて、自分の手で何かを作り上げる。その達成感は、子どもたちの目の輝きを見れば一目瞭然です。「将来、大工さんになりたい」という子どもが一人でも増えれば、私たちの願いは叶います。

こうした活動を通じて、子どもたちやその家族との新しい縁が生まれています。そして何より、子どもたちが大人になったとき、地域への愛着を持ち、この街を大切にする人になってくれることを願っています。

スタッフの献身的な努力が支える地域活動

地域活動は華やかに見える部分だけではありません。その裏には、スタッフの地道で献身的な努力があります。

2024年10月13日に開催した「tunaidoワークショップマルシェ」の準備期間、担当スタッフは「胃が痛い」と言いながらも、「今の自分の全力を出し切れ」という強い気持ちで準備に取り組んでいました。

イベントを成功させるためには、出展者との調整、会場設営、広報活動、当日の運営計画など、やるべきことが山のようにあります。初めての試みも多く、不安もあったでしょう。それでも、地域の皆様に喜んでもらいたいという一心で、全力を尽くしました。

また、年度末になると助成金の報告や申請、学習塾のお引越しと新年度対応など、「なんとなくてんやわんや」な状況になります。本業の建築事業も忙しい時期と重なることも多く、正直なところ大変です。

それでも続けられるのは、地域の皆様の笑顔と「ありがとう」という言葉があるからです。イベントに参加した方が「楽しかったです」と言ってくださる。学習塾の子どもたちが「先生、また来週ね」と元気に帰っていく。こうした瞬間が、私たちの原動力になっています。

スタッフ一人一人が、単なる仕事としてではなく、地域への貢献として活動に取り組んでいる。この姿勢こそが、私たちが地域から信頼される理由だと思います。

建築の専門性を活かした社会貢献

私たちの本業は建築です。そしてこの専門性を、社会貢献にも活かしています。

地域情報誌「つないどう?」では、「能登半島輪島市黒島地区 伝統的建築物 修復レポート」を特集しました。これは、能登半島地震で被災した歴史的建造物の修復活動に、私たちの大工が泊まり込みで参加した報告です。

伝統的な建築技術は、現代の建築とは異なる高度な技能が必要です。しかし、それを持つ職人が減少しています。私たちの大工がこうした活動に参加することで、技術の継承にも貢献できます。そして何より、困っている人の役に立てることが嬉しいのです。

また、私たちは2012年に高性能ゼロエネルギー住宅「SUMIKA-ZERO」が国土交通省のゼロエネルギー推進化住宅に認定されました。環境に配慮した住宅づくりは、単なる事業ではなく、持続可能な社会を作るための活動です。

現在推進している「GX志向型住宅」も、同じ考え方に基づいています。高性能で快適、しかも環境負荷が少ない住宅。それが当たり前になる社会を目指しています。

こうした専門的な知識や技術を、地域社会に還元していく。それが私たちの使命だと考えています。

職人育成への情熱が未来を創る

地域の未来を考えるとき、職人の育成は欠かせません。2023年4月、私たちは「マイスター高等学院」を開校しました。

これは通信制高校でありながら、高校卒業の資格を取ると同時に、大工など建設業における職人としての技術を身につけることができる革新的な教育機関です。

若い人たちに職人という選択肢を提示し、その道のプロとして育てていく。これは簡単なことではありません。しかし、技術を持った職人が減り続ける今、誰かがやらなければならないことです。

また、2016年には「職人起業塾」を一般社団法人として全国展開しました。これは既に職人として働いている人たちの、社内起業家精神を育てることを目的としています。

技術だけでなく、経営感覚や社会的な視野を持った職人を育てる。それが業界全体の発展につながると信じています。

偶数月に開催している研修会「継塾」では、協力会社の皆様と共に、CSVモデル(社会課題解決型ビジネス)について議論しています。単に利益を追求するだけでなく、社会の課題を解決しながら事業を行う。この考え方を共有することで、サプライチェーン全体で高い倫理観を持って活動できます。

こうした教育事業への投資は、短期的には利益になりにくいかもしれません。しかし、長期的に見れば、これこそが地域社会と業界の未来を創る最も重要な活動だと確信しています。

社名に込めた「継ぐ」という決意

2020年、私たちは創立20周年を機に、社名を「有限会社すみれ建築工房」から「株式会社四方継」へと変更しました。

この「四方継」という名前には、深い想いが込められています。「四方良し」すなわち、お客様、地域社会、協力会社、そして私たち自身。この四者すべてが良い状態であることを目指すという理念です。

そして「継」という字。これは単に事業を継続するという意味だけではありません。地域を守り、文化を継ぎ、技術を継ぎ、そして次世代に継いでいく。その決意の表れです。

「エニシミーツ」のテーマである「縁」を、私たちは企業理念として永続的に継いでいく。そう決めたのです。

この理念に基づいた事業運営が認められ、2022年には一般社団法人日本未来企業研究所より「未来創造企業」として認定されました。この認定は、私たちの活動が社会的に意義のあるものとして評価された証です。

お客様との縁も大切にしています。例えば「スキップの家」の地鎮祭では、建築吉日を選定し、神主様に四方を祓っていただきました。こうした儀式を大切にすることで、家づくりへの真摯な姿勢を示しています。

また、上棟前にはお施主様と一緒に、材木を製材・プレカットしてくださっている「しそうの森の木」さんへ見学に行きます。自分の家がどんな木で、どのように作られるのか。その過程を知っていただくことで、より深い信頼関係が生まれます。

おわりに:これからも地域とともに

「エニシミーツ」への参加は、私たちにとって大きな意味を持つ出来事でした。「E-NISHI(いい西)と縁(エニシ)」というメッセージへの共感。それは、私たちが日々大切にしている「ご縁を紡ぐ」という理念そのものだからです。

西区役所という地域行政から継続的に信頼をいただき、こうしたイベントに参加できること。それは私たちの活動が、地域社会に根付いたものとして認められている証だと感じています。

私たちが運営する「つない堂」を通じて、検索不要の安心安全な循環地域型社会を実現する。それは簡単な目標ではありません。しかし、一つ一つの縁を大切に、地道に活動を続けていくことで、必ず実現できると信じています。

マイスター高等学院や職人起業塾といった教育事業、無料巡回メンテナンスサービスといった地域密着の活動、そしてしずく学習塾や木工教室といった次世代育成。これらすべてが、「人、街、暮らし、文化を継ぎ、四方良しを実現する」という理念の実践です。

これからも私たちは、地域社会との縁を大切に、活動を続けてまいります。皆様との新しい出会い、新しい縁を楽しみにしています。

どうぞこれからも、株式会社四方継をよろしくお願いいたします。

ページの先頭へ