はじめに:地域の子どもたちとともに歩む私たちの想い
神戸市西区で活動する私たち株式会社四方継は、ものづくり工務店「つむぎ建築舎」と地域活動拠点「つない堂」を運営しています。この春、つない堂が運営する「しずく学習塾」が新しい場所へとお引越しをしました。それに伴い、ホームページやチラシを全面的に更新し、新たに「ご支援のお願い」ページも開設いたしました。
年度末から新年度にかけて、助成金の報告や申請、学習塾の引越し対応など、スタッフ一同がてんやわんやの忙しさの中で取り組んだこの更新作業。しかし、地域の皆様に正確な情報をお届けし、安心して子どもたちを預けていただける環境を整えることは、私たちにとって何よりも大切な責任だと考えています。
今回の記事では、なぜ私たちがホームページ更新にこだわったのか、そして地域学習支援に注ぐ熱意について、これまでの活動実績とともに詳しくお伝えします。私たちが目指すのは、人と人を信頼で繋ぎ、子どもたちが安心して学べる地域社会の実現です。この想いが皆様に届けば幸いです。
ホームページ更新へのこだわり:透明性と正確性を追求する理由
新しい地図と写真で伝える安心感
学習塾が新しい場所に移転したとき、まず必要になるのは正確な場所の情報です。保護者の方々が子どもたちを安心して通わせるためには、どこにあるのか、どんな環境なのかを明確に知っていただく必要があります。
そこで私たちは、ホームページの地図を最新のものに更新し、教室内外の写真も新しく撮影し直しました。単なる住所の変更だけではなく、実際の教室の雰囲気や周辺環境が分かる写真を掲載することで、初めて訪れる方にも安心していただけるよう心がけています。
地図を見れば迷わずたどり着ける、写真を見れば教室の様子がイメージできる。こうした細やかな配慮が、地域の皆様との信頼関係を築く第一歩だと私たちは考えています。実際、更新後には「場所がすぐ分かりました」「写真を見て安心しました」といった声をいただき、スタッフ一同、努力が報われたと感じています。
多忙な時期でも妥協しない姿勢
年度末から新年度にかけては、どの組織も多忙を極める時期です。私たちも例外ではありません。助成金の報告書作成、新年度の準備、学習塾の引越し作業、さらには次年度の助成金申請と、やるべきことが山積みでした。
それでもホームページの更新作業を優先したのは、地域の皆様への情報提供を疎かにしてはならないという強い信念があったからです。正しい情報を正しいタイミングで届けることは、地域活動を行う私たちの基本的な責任です。
忙しさを理由に情報発信を後回しにすれば、利用者の方々に不便をかけるだけでなく、信頼を損なうことにもなります。だからこそ、どんなに忙しくても、この作業には手を抜かずに取り組みました。スタッフの中には夜遅くまで写真の選定や文章の推敲に時間を費やした者もいます。こうした地道な努力の積み重ねが、地域社会からの信頼につながると信じています。
新たな支援体制:継続可能な活動のために
ご支援のお願いページを開設した背景
しずく学習塾の活動は、地域の多くの子どもたちに学びの機会を提供する重要な取り組みです。しかし、この活動を継続していくためには、安定した運営資金が必要不可欠です。これまでも助成金や寄付に支えられてきましたが、より多くの方々に活動を知っていただき、支援の輪を広げていきたいと考えていました。
そこで今回、ホームページに「ご支援のお願い」というページを新設しました。このページでは、学習塾の活動内容や運営状況を詳しく説明し、支援を希望される方が簡単に手続きできるよう配慮しています。
私たちは、支援をお願いする以上、活動の透明性を高めることが何よりも大切だと考えています。どのように資金が使われているのか、どれだけの子どもたちが学習塾を利用しているのか、こうした情報を隠さずに公開することで、支援者の方々に安心していただきたいのです。
銀行振込とカード決済で利便性を向上
支援の方法についても、できるだけ多くの方が利用しやすい形を整えました。従来の銀行振込に加えて、カード決済にも対応しています。これにより、インターネットから手軽に支援していただくことが可能になりました。
支援額についても、無理のない範囲で続けていただけるよう、様々な選択肢を用意しています。一回限りの支援でも、継続的な支援でも、どちらも大変ありがたく受け取らせていただきます。
地域の子どもたちの学びを支えるという活動は、決して私たちだけで完結するものではありません。地域の皆様、支援してくださる方々、そして子どもたち自身、すべての人が一つの輪となって初めて成り立つものです。ご支援のお願いページは、その輪をさらに大きく、強固なものにするための新たな一歩なのです。
地域の熱い支持に応える:満席御礼の嬉しい悲鳴
募集開始と同時に定員に達する人気
昨年度、三年生の生徒たちが卒業しました。毎年この時期は少し寂しい気持ちになりますが、同時に新しい生徒たちとの出会いを楽しみにする時期でもあります。
今年は新二年生と三年生の募集を開始したところ、すぐに定員いっぱいの申し込みをいただきました。この反響の大きさに、スタッフ一同、驚きと同時に大きな喜びを感じています。地域の保護者の方々が、しずく学習塾の活動を信頼し、大切なお子さんを預けてくださることほど、私たちにとって励みになることはありません。
水曜日の授業日は毎週満席の状態が続いています。子どもたちが真剣に勉強に取り組む姿、分からなかった問題が解けるようになって笑顔を見せる瞬間、そうした日常の中に、私たちの活動の意義を実感しています。
もっと多くの子どもたちを受け入れたい願い
正直なところ、私たちとしては場所を広げて受け入れ人数を増やしたいというのが本音です。申し込みをお断りしなければならないことは、本当に心苦しく感じています。
学習支援を必要としている子どもたちは、まだまだ地域にたくさんいます。経済的な理由で塾に通えない子、学校の授業についていけず困っている子、家で一人で勉強する環境がない子。そうした子どもたち全員に手を差し伸べられればと願っています。
現在の教室のスペースや人手の関係で、すぐに受け入れ人数を増やすことは難しい状況ですが、将来的には規模を拡大していきたいと考えています。そのためにも、今回開設したご支援のお願いページを通じて、より多くの方々に活動を知っていただき、協力を得られればと思っています。
心温まる卒業パーティーの思い出
先日、卒業生を送り出すパーティーをつない堂のテラスで開催しました。運営スタッフ、ボランティアの方々、卒業生、そして在校生を合わせて総勢十八名が集まり、とても盛り上がりました。
この日は勉強を離れて、みんなで楽しい時間を過ごしました。卒業生たちからは「学習塾に通えて本当に良かった」「ここで出会えた仲間は一生の友達」といった言葉をもらい、スタッフの目には思わず涙が浮かびました。
学習塾は単に勉強を教える場所ではありません。子どもたち同士のつながりが生まれ、大人との信頼関係が育まれる、そんな温かいコミュニティの場でもあります。卒業パーティーでの子どもたちの笑顔は、私たちの活動が確かに地域に根付いていることを実感させてくれる、かけがえのない瞬間でした。
地域との絆を深める様々な活動
西区役所との連携で広がる活動の輪
しずく学習塾の運営だけでなく、私たちは地域の様々なイベントにも積極的に参加しています。昨年九月には、西区役所の方からお声掛けをいただき、「伊川リバーフェスタ」と「西区もくいく」というイベントにデビューしました。
これらのイベントでは、地域の子どもたちや家族連れの方々と直接触れ合う機会を持つことができました。私たちの活動について説明し、興味を持っていただいた方には学習塾の案内もさせていただきました。
また、西区役所が主催する「エニシミーツ」というイベントにも参加しています。この名前は「E-NISHI」と「縁」を掛け合わせたもので、地域の人と人との縁を繋ぐことを目的としています。まさに私たちが目指している活動理念と重なる素晴らしいイベントです。
こうした行政との連携は、私たちの活動が地域社会から認められている証だと感じています。公的な機関からお声掛けをいただけることは、活動の信頼性を高めることにもつながります。
木工教室で育むものづくりの心
昨年八月には、地域の子どもたちを対象に「ちびっこ応援木工教室」を開催しました。三家族にご参加いただき、インテリア棚やキーフックづくりに挑戦しました。
猛暑の中での開催となったため、冷風機を用意するなど、子どもたちの安全と快適さに配慮しながら進めました。初めてのこぎりや金槌を使う子も多く、最初は恐る恐るでしたが、だんだんと慣れてくると目を輝かせながら作業に没頭していました。
私たちの本業は建築業です。ものづくりの楽しさ、完成したときの達成感、そして何かを自分の手で作り上げることの価値を、次の世代に伝えていきたいという想いがあります。将来、この中から建築業界を志す子が現れたら、これ以上の喜びはありません。
木工教室のような体験型のイベントは、学習塾での勉強とはまた違った学びの機会を提供します。手を動かすこと、試行錯誤すること、完成まで諦めないこと。こうした経験は、子どもたちの成長にとって非常に大切な要素だと考えています。
建築のプロとしての専門性を地域貢献に活かす
マイスター高等学院で未来の職人を育成
私たちは二〇二三年四月に「マイスター高等学院」を設立し、開校しました。これは通信制高校の仕組みを活用し、高校卒業の資格を取得しながら、大工などの建設業における職人としての技術を身につけることができる教育機関です。
建設業界は今、深刻な人手不足に直面しています。特に若い世代の職人が不足しており、技術の継承が大きな課題となっています。この問題を解決するためには、若い世代に職人という仕事の魅力を伝え、育成していく必要があります。
マイスター高等学院は、まさにその役割を担う場所です。学業と技術習得を両立できる環境を整えることで、将来建築業界を担う人材を育成しています。この取り組みは、しずく学習塾での子どもたちへの学習支援と同じく、次世代への投資であり、地域社会の未来を創る活動なのです。
職人起業塾で広げる社内起業家精神
二〇一六年からは「職人起業塾」を一般社団法人として全国展開しています。この塾では、職人たちに技術だけでなく、イントラプレナーシップ、つまり社内起業家精神を育むことを目的としています。
職人という仕事は、技術を磨くことが何よりも大切です。しかし同時に、自分の仕事に誇りを持ち、新しい挑戦を恐れない起業家的な精神も必要だと私たちは考えています。優れた技術と高い職業意識を持った職人を育てることが、建築業界全体の質を高めることにつながります。
職人起業塾での取り組みは、私たちが持つ教育に関するノウハウの蓄積にもなっています。このノウハウは、しずく学習塾での子どもたちへの指導にも活かされています。年齢は違っても、一人ひとりに寄り添い、その人の可能性を引き出すという教育の本質は変わりません。
能登半島での修復活動に見る社会貢献の姿勢
私たちは、能登半島輪島市黒島地区で伝統的建築物の修復活動にも取り組んでいます。大工たちが泊まり込みで作業にあたり、地震で被害を受けた貴重な建築物の復旧に尽力しました。
この活動は、私たちが持つ専門技術を社会のために役立てる実践です。伝統的な建築技術を次世代に継承していくことも、私たちの重要な使命の一つです。被災地での修復活動を通じて、技術の継承だけでなく、社会貢献の意識も若い大工たちに伝えることができました。
建築の技術は、単に建物を作るためだけのものではありません。人々の暮らしを支え、文化を守り、地域社会に貢献するためのものです。この考え方は、しずく学習塾での活動にも通じています。子どもたちの学びを支えることも、建物を修復することも、根底にあるのは「人と地域を大切にする」という同じ想いなのです。
四方良しの理念が導く、これからの地域づくり
株式会社四方継という社名に込めた想い
私たちの会社名「四方継」には、「人、街、暮らし、文化を継ぎ、四方良しを実現する」という理念が込められています。二〇二〇年にこの社名に変更したのは、地域を守り、次世代に継なげる事業を本格的に展開していくという決意の表れでした。
四方良しとは、売り手良し、買い手良し、世間良し、そして未来良しという考え方です。目先の利益だけを追求するのではなく、関わるすべての人が幸せになり、その幸せが未来にも続いていく。そんな社会を作りたいという想いが、この理念には詰まっています。
しずく学習塾の運営も、この四方良しの理念に基づいています。子どもたちが学べて良し、保護者の方々が安心できて良し、地域社会が豊かになって良し、そして未来を担う人材が育って良し。この好循環を生み出すことが、私たちの目標です。
未来創造企業としての認定と責任
二〇二二年、私たちは一般社団法人日本未来企業研究所より「未来創造企業」として認定されました。これは、私たちの事業活動が社会の持続可能性に貢献していると評価されたことを意味します。
この認定は大変名誉なことであり、同時に大きな責任も感じています。未来創造企業として、私たちは常に先を見据えた活動を行わなければなりません。しずく学習塾での子どもたちへの支援も、単なるボランティア活動ではなく、未来の地域社会を創るための重要な事業なのです。
企業として利益を上げることも大切ですが、それと同じくらい、いやそれ以上に、社会に対して何ができるかを考え続けることが必要です。私たちは建築というものづくりを通じて培った技術と経験を、地域社会の様々な課題解決に活かしていきます。
つない堂が目指す地域社会のハブ機能
地域活動拠点「つない堂」は、「インターネット検索を必要としない安心安全な循環地域型社会のハブ」を目指しています。これは、顔の見える関係性の中で、信頼を基盤とした地域社会を作りたいという想いから生まれたビジョンです。
現代社会では、何か困ったことがあればインターネットで検索して情報を探すのが当たり前になっています。しかし、検索して出てくる情報が本当に信頼できるものなのか、自分に合っているのか、判断が難しいこともあります。
私たちが目指すのは、困ったときに顔見知りの誰かに相談できる、そんな地域社会です。子どもの教育について悩んでいたら学習塾のスタッフに相談できる、家の修理が必要なら信頼できる工務店を紹介してもらえる。そうした人と人との繋がりが、本当の安心安全を生み出すと信じています。
しずく学習塾は、そのハブ機能の一部を担う重要な拠点です。子どもたちとその家族が集まり、交流が生まれ、信頼関係が育まれる。そこから新しい繋がりが広がっていく。そんな循環を作り出すことが、つない堂の役割なのです。
まとめ:未来へ継ぐための一歩一歩
今回のホームページ更新は、単なる情報の書き換え作業ではありませんでした。それは、私たちが地域の皆様に対して負っている責任を果たし、信頼に応えるための大切な取り組みでした。新しい地図と写真で正確な情報を提供し、ご支援のお願いページで活動の透明性を高める。こうした一つひとつの積み重ねが、地域からの信頼を築いていくのです。
しずく学習塾に通う子どもたちの笑顔、満席になるほどの地域の支持、そして様々な活動を通じて広がる人の輪。これらすべてが、私たちの活動が地域に必要とされている証です。忙しい中でも手を抜かず、丁寧に情報発信を続けてきたことが、今の信頼関係につながっています。
私たちは、建築というものづくりを本業としながら、その専門性と経験を地域貢献に活かしています。マイスター高等学院での人材育成、職人起業塾での起業家精神の醸成、能登半島での修復活動。これらはすべて、技術を社会のために役立てるという想いから生まれた取り組みです。
四方良しの理念のもと、私たちはこれからも地域社会の一員として、子どもたちの学びを支え、人と人を繋ぎ、未来へと継いでいく活動を続けてまいります。場所を広げてもっと多くの子どもたちを受け入れたいという願いを胸に、私たちは一歩一歩、着実に前進していきます。
地域の皆様、支援してくださる皆様、そして何より子どもたちとともに、いい街を継いでいく。それが私たち株式会社四方継の使命であり、誇りです。これからも温かく見守っていただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
