はじめに:なぜ今、信頼のネットワークが必要なのか
インターネットで何でも検索できる便利な時代になりました。しかし、その一方で「本当に信頼できる情報なのか」「この業者は大丈夫なのか」という不安の声を、私たちは日々お聞きしています。
株式会社四方継が運営する「つない堂」は、まさにこの課題を解決するために立ち上げた事業部門です。私たちが目指すのは「検索不要の安心安全な地域社会」。困ったときにインターネットで調べる必要がなく、すぐに信頼できる専門家や事業者にアクセスできる地域づくりです。
これは理想論ではありません。四方継が1994年の創業以来、大工集団として培ってきた「人と人の信頼関係」を基盤にした、実現可能なビジョンです。
当社の企業理念「人、街、暮らし、文化を継ぎ 四方良しを実現する」は、お客様、地域社会、協力会社、そして私たち作り手の全てが満足できる状態を目指すものです。つない堂は、この理念を具現化する重要な事業として、地域社会に根ざした信頼のネットワークを日々構築しています。
つない堂が提供する価値:「検索不要」の本当の意味
情報の質と信頼性を保証するシステム
「検索不要」という言葉には、深い意味が込められています。これは単に検索する手間を省くということではなく、情報の質と信頼性を当社が保証するシステムを作るということです。
現在のインターネット社会では、情報は無数にありますが、その質はバラバラです。特に住宅リフォームや専門的なサービスについては、表面的な情報だけでは判断が困難です。口コミサイトの評価も、偏りがあったり真偽が定かでない場合があります。
つない堂のネットワークに参加している事業者は、すべて当社の厳しい基準をクリアした信頼できるパートナーです。技術力はもちろん、お客様への対応、アフターフォローの体制、そして何より「お客様の立場に立って考える」姿勢を重視して選定しています。
事前に品質が保証されたネットワークがあることで、地域の皆様は安心してサービスをご利用いただけます。これが当社の考える「検索不要」の本質です。
顔の見える関係性を重視したサービス提供
つない堂では、匿名的な情報が溢れる現代において、顔の見える関係性を何より大切にしています。お客様も、サービスを提供する事業者も、そして私たちつない堂も、お互いの顔が見える関係だからこそ、本当の信頼が生まれると考えています。
地域の皆様は、困ったときにつない堂にご相談いただければ、すぐに適切な専門家をご紹介できます。そして、その専門家は当社が責任を持って選定した、信頼できるパートナーです。
四方継の DNA:大工集団から生まれた信頼の基盤
創業からの歩みと価値観の形成
当社の歴史は、1994年に「大工集団 高橋組」として始まりました。創業当時から、私たちは単なる建設業者ではなく、お客様の暮らしを豊かにする「作り手」としてのプライドを持って事業を行ってきました。
2003年には大きな転機を迎えます。それまでの下請け中心の業務から、職人による直接施工を前面に打ち出した営業スタイルに転換しました。この変化により、お客様との直接的なコミュニケーションが増え、より深い信頼関係を築けるようになりました。
中間マージンを省くことで、お客様により良いサービスを適正価格で提供できるようになったこの経験が、現在のつない堂における「信頼を軸とした直接的なネットワーク」の原点となっています。
職人文化が育んだ選球眼
長年にわたって職人集団として事業を行ってきた当社には、独特の「選球眼」があります。これは、本当に信頼できる技術者や事業者を見極める能力のことです。
職人の世界では、技術の良し悪しは隠せません。実際の仕事ぶりを見れば、その人の技術レベルや仕事に対する姿勢がすぐに分かります。このような厳しい環境で培われた目利きの力が、つない堂のパートナー選定に活かされています。
私たちが重視するのは、単に技術が優秀であることだけではありません。お客様のことを第一に考え、長期的な関係を大切にする姿勢を持っているかどうかを見極めています。
「丁寧なものづくり」の精神
当社が大切にしている「丁寧なものづくり」の精神は、つない堂のネットワーク全体に受け継がれています。これは、目に見えない部分も手を抜かず、長期的に価値を提供し続けるという考え方です。
例えば、住宅建築において、完成後には見えなくなる構造部分や断熱材の施工も、手を抜くことなく丁寧に行う。これと同様に、つない堂のネットワークパートナーも、お客様が直接確認できない部分まで責任を持って対応する姿勢を持っています。
ネットワーク構築の実際:どのようにパートナーを選定しているのか
厳格な選定基準
つない堂のネットワーク構築は、優秀な専門家の発掘から始まります。表面的な実績や資格だけでなく、その人の人柄や仕事に対する姿勢を総合的に判断しています。
当社の選定基準は以下の通りです。
第一に、技術的な能力です。その分野における専門知識や技術力が十分であることは基本条件です。
第二に、お客様への対応力です。専門用語を使わずに分かりやすく説明できるか、お客様の不安や疑問に真摯に向き合えるかを重視します。
第三に、継続的な学習姿勢です。技術や知識は日々進歩しています。常に最新の情報をキャッチアップし、自己研鑽を怠らない姿勢があるかどうかも重要な判断基準です。
第四に、地域への貢献意識です。単に利益を追求するだけでなく、地域社会をより良くしたいという想いを持っているかを確認します。
実際の選定事例
具体的な事例をご紹介します。ある電気工事業者の方は、技術力の高さはもちろん、お客様への説明の丁寧さが評価されてネットワークに加わっていただきました。
この業者の方は、電気工事の見積もりを出す際に、なぜその工事が必要なのか、どのような材料を使うのか、工事後のメンテナンスはどうするのかまで、図解を使って丁寧に説明してくださいます。また、工事完了後も定期的にアフターフォローの連絡をくださり、何か不具合があればすぐに対応してくださいます。
このような姿勢は、まさに当社が求める「お客様第一」の考え方と一致しており、安心してお客様にご紹介できるパートナーです。
建築業界を超えた幅広い分野への展開
つない堂のネットワークは、建築関連だけにとどまりません。地域住民の生活全般をサポートするため、様々な分野の専門家とのネットワークを構築しています。
税理士、弁護士、医療関係者、教育関係者、飲食店経営者など、生活に密着した幅広い分野の専門家が参加しています。これにより、住民の方々の多様なニーズに対応できる体制を整えています。
重要なのは、どの分野の専門家も「お客様のために何ができるかを常に考える」という共通の価値観を持っていることです。
リアルなネットワークの強み
対面コミュニケーションによる深い信頼関係
現代はデジタル化が進み、多くのことがオンラインで済ませられる時代になりました。しかし、私たちは信頼関係の構築においては、対面でのコミュニケーションが重要だと考えています。
つない堂では、定期的に参加メンバーが集まる勉強会や交流会を開催しています。これらの場では、単に情報交換をするだけでなく、お互いの人柄を知り、より深い信頼関係を築くことを目的としています。
例えば、ある勉強会では、住宅の省エネ技術について専門家による講演が行われました。参加者は建築関係者だけでなく、電気工事業者、設備業者、さらには金融関係者まで幅広い分野の方々が参加しました。このような場を通じて、異なる分野の専門家同士がつながり、お客様により良いサービスを提供するための連携が生まれています。
緊急時の迅速な対応
リアルなネットワークの価値は、緊急時にこそ発揮されます。例えば、住宅で水漏れが発生した場合、まずは応急処置が必要です。つない堂のネットワークでは、このような緊急時に対応できる信頼できる業者との連携体制を構築しています。
連絡を受けた業者は、可能な限り迅速に現場に駆けつけ、応急処置を行います。その後、必要に応じて他の専門家との連携を取りながら、根本的な解決策をご提案します。
このような対応ができるのも、日頃からリアルなコミュニケーションを取り、お互いの得意分野や対応可能な範囲を把握しているからです。
地域密着だからこそできるサービス
つない堂のネットワークは、特定の地域に根ざしています。これにより、その地域特有のニーズや課題に対応できるサービスをご提供できます。
例えば、神戸近郊という地域特性を活かし、海や山に近い立地ならではの住宅メンテナンスのノウハウを蓄積しています。海に近い地域では塩害対策が重要ですし、山に近い地域では湿気対策が必要になります。このような地域特有の課題について、ネットワーク内の専門家が豊富な経験と知識を共有することで、より効果的な解決策をご提案できます。
社内人材育成との連携:未来の信頼できる専門家を育てる
職人起業塾によるイントラプレナーシップの醸成
当社では、単に既存の専門家とのネットワークを構築するだけでなく、社内人材の育成にも力を入れています。その中心となるのが「職人起業塾」です。
職人起業塾は、社内起業家精神(イントラプレナーシップ)を醸成する研修プログラムです。参加者は技術力の向上はもちろん、経営ノウハウや顧客対応のスキルなども学びます。当社の理念である「丁寧なものづくり」の精神を深く理解し、それを自身の業務に活かしていくことを目指しています。
例えば、ある大工は職人起業塾で学んだ顧客コミュニケーションのスキルを活かし、お客様への説明資料を工夫するようになりました。工事の工程を写真付きで分かりやすく説明した資料を作成し、お客様から高い評価をいただいています。
このように、職人起業塾は独立開業を促進するものではなく、社内で新しい価値を創造できる人材を育成するプログラムです。ここで育った人材が、つない堂のネットワークを支える重要な担い手となっています。
マイスター高等学院での実践的教育
さらに発展的な教育機関として「マイスター高等学院」があります。ここでは、より高度な技術と経営知識を学ぶことができます。
マイスター高等学院の特徴は、実践的な教育にあります。座学だけでなく、実際の現場で経験を積みながら学ぶことができます。また、当社のネットワーク内の先輩職人がメンターとして指導に当たります。
このような教育を受けた人材は、技術力だけでなく、お客様への配慮や地域貢献への意識も高く、つない堂のネットワークにとって貴重な戦力となっています。
モノづくりの価値を社会に発信
当社が取り組む人材育成は、単に自社のためだけではありません。「モノづくりの担い手を子供の憧れの職業にすることを目指す」という大きな目標があります。
つない堂のネットワークを通じて、優秀な職人の活躍を広く社会に発信することで、モノづくりの価値を再認識していただきたいと考えています。子どもたちが「将来は職人になりたい」と思えるような、魅力的な職業として確立することが私たちの願いです。
情報発信とメディア機能:信頼を維持し続けるために
地域社会全体の知識レベル向上を目指して
つない堂では、構築したネットワークの価値を最大化するため、積極的な情報発信を行っています。これは単に宣伝のためではなく、地域社会全体の知識レベルを向上させることを目的としています。
例えば、季節ごとの住宅メンテナンスのポイントや、エネルギー効率を向上させるリフォーム方法など、住民の方々にとって有用な情報を定期的に発信しています。これらの情報は、ネットワーク内の専門家の知識や経験に基づいた、信頼性の高いものです。
継塾での知識共有とネットワーク強化
当社では「継塾」という勉強会を定期的に開催しています。これは、持続可能なビジネスモデルや社会課題解決型ビジネス(CSVモデル)について学び、議論する場です。
継塾には、つない堂のネットワークメンバーも多数参加し、互いの知識や経験を共有しています。例えば、令和7年6月に開催された継塾では、有限会社森衛生の川内友太氏がプレゼンを行い、参加者全員でビジネスモデルの改善について議論しました。
このような学習の場があることで、ネットワーク全体のレベルアップが図られ、結果として地域住民により良いサービスをご提供できるようになっています。
透明性の高い情報共有
つない堂の情報発信は、透明性を重視しています。サービスの内容や料金体系、対応可能な範囲などを明確に示し、住民の方々が安心してご利用いただける環境を整えています。
また、実際にサービスをご利用された方々の声も積極的にご紹介しています。ただし、プライバシーに配慮し、承諾を得た範囲でのご紹介に留めています。このような透明性の高い情報共有により、地域の方々との信頼関係をより深めることができています。
地域循環型社会の実現:当社が目指す社会的価値
地域内経済の活性化
つない堂のネットワークは、地域内での経済循環を促進する効果があります。住民の方々が地域内の事業者をご利用いただくことで、得られた収益が再び地域内で使われ、経済の好循環が生まれます。
このような経済循環により、地域全体の活力が向上し、雇用機会の創出にもつながっています。当社としても、地域社会の一員として、この好循環を生み出すことに貢献できることを誇りに思っています。
社会課題解決への貢献
つない堂の取り組みは、現代社会が抱える様々な課題の解決にも貢献しています。高齢化が進む中、住民の方々が安心して地域で暮らし続けるためには、信頼できるサービス提供者の存在が不可欠です。つない堂のネットワークは、このような社会ニーズに応えています。
また、情報格差の解消にも貢献しています。インターネットを使いこなせない方々でも、つない堂にご相談いただければ適切なサービスをご提供できます。
環境への配慮
つない堂のネットワークでは、環境に配慮したサービス提供も重視しています。省エネリフォームのご提案や、環境負荷の少ない材料の使用など、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを積極的に行っています。
地域内でのサービス提供により、輸送に伴うエネルギー消費も抑制できます。これは、環境負荷の軽減につながる重要な効果です。
未来創造企業としての展望
未来創造企業認定の意味
当社は2022年に一般社団法人日本未来企業研究所より「未来創造企業」として認定されました。これは、単に現在のビジネスが成功しているということではなく、将来の社会課題を見据えた事業展開を行っていることが評価されたものです。
つない堂の取り組みは、まさにこの未来創造企業としての理念を具現化したものです。単に利益を追求するだけでなく、地域社会の持続可能な発展に貢献することを目指しています。
長期的なビジョンの実現に向けて
つない堂の長期的なビジョンは「検索不要の安心安全な地域社会」の実現です。これは、住民の方々が困ったときに、すぐに信頼できる専門家にご相談いただける社会のことです。
このビジョンの実現により、住民の方々の生活の質が向上し、地域全体の活力が増すことを期待しています。また、このモデルが他の地域にも広がることで、日本全体の地域力向上にも貢献したいと考えています。
次世代への継承
当社の社名にも込められた「継ぐ」という理念は、つない堂の活動においても重要な要素です。現在構築しているネットワークや培っているノウハウを、次世代に継承していくことが私たちの責任だと考えています。
人材育成の取り組みはその一環であり、技術や知識だけでなく、「お客様第一」という価値観も含めて次世代に伝えていきたいと思います。
おわりに:ともに築く地域社会の未来
つない堂が目指す「信頼でつながる地域社会」は、決して夢物語ではありません。当社が長年にわたって培ってきた信頼関係の構築ノウハウと、地域に根ざした事業展開により、着実に実現に向けて歩みを進めています。
現代社会は便利になった一方で、人と人とのつながりが希薄になっているという課題があります。つない堂の取り組みは、この課題を解決し、より豊かで安心な地域社会を実現するための重要な取り組みです。
私たちは、これからも「信頼を軸に人と人を繋ぎ、ご縁を紡ぐ」活動を続けてまいります。地域の皆様が安心して暮らせる社会の実現に向けて、一歩ずつ着実に前進してまいります。
どんな小さなことでも構いませんので、困ったことがあればお気軽にご相談ください。信頼できる専門家とのネットワークを活かし、必ず解決策を見つけてご提案いたします。つない堂は、地域の皆様とともに歩む、信頼のパートナーであり続けます。