【インタビュー】注文住宅で採用される内断熱工法:建築の基本と断熱に関するFAQ

注文住宅における内断熱の正しい知識:建築の専門家が答える断熱に関するFAQ

この記事のポイント

  • 注文住宅を建てる際に注目される「内断熱工法」の特徴と仕組みを専門的に解説
  • 外断熱との違いや、性能を最大化するための工夫を具体例で紹介
  • 株式会社四方継が実際に採用する断熱の考え方と現場の取り組みを伝える

押さえるべき要点3つ

  1. 内断熱工法はコスト効率と施工性に優れ、気密施工の精度が鍵となる
  2. 外断熱とのハイブリッド化で省エネ・快適性を両立できる
  3. 断熱性能は材料ではなく、「施工クオリティ×設計思想」で決まる

この記事の結論

内断熱工法は日本の気候と建築構造に適した断熱方法といえます。適切な気密施工と断熱材選定により、省エネ性と居住快適性を高めることができます。

注文住宅では、外断熱やハイブリッド断熱との比較検討が重要です。建築会社選びのポイントは「施工の見える化」と「断熱設計の透明性」にあります。

四方継では「受け継がれる家」を実現するため、断熱を基礎とした家づくりを行っています。


注文住宅における内断熱工法とは?

内断熱工法の基本構造

結論から言うと、内断熱工法は建物の「内側」から断熱材を施工する方法です。

柱や梁の間に断熱材を充填することで、室内の熱を逃しにくくします。グラスウール・ロックウール・発泡ウレタンなど、軽量で熱伝導率の低い素材が使用されます。

内断熱は以下の点で優れています。

  • コストが比較的低く、施工が容易
  • 改修工事にも対応しやすい
  • 壁体内の湿気管理が行いやすい

一方で、気密性の精度が性能を大きく左右するという課題もあります。小さな隙間があるだけで断熱効果が半減するため、施工品質の管理が重要です。

内断熱と外断熱の違い

最も多い質問が「外断熱と何が違うのか?」というものです。

一言で言えば、内断熱は躯体内部から守る方法、外断熱は建物全体を”包む”方法です。

比較項目内断熱工法外断熱工法
コスト低い高い
施工の難易度比較的簡単高度な技術が必要
熱橋(ヒートブリッジ)リスクやや高い低い
メンテナンス室内側で容易外壁更新時に必要
向いている建物木造住宅RC・鉄骨系住宅

近年では、両者の長所を組み合わせた**「充填+外張りのハイブリッド断熱」**が増えています。株式会社四方継でも、地域の気候や予算に合わせて、最適な断熱手法を提案しています。

施工クオリティが断熱性能を左右する

断熱材の厚みや種類よりも、どれだけ丁寧に施工されたかが性能の決定要因となります。

四方継では、女性設計士と大工が協働で、現場の見える化・気密測定・断熱施工チェックを実施しています。「図面では描けない温かさ」を実現するための現場対話を大切にしています。


内断熱工法のメリットとデメリットを徹底解説

メリット:コスト効率と柔軟性

内断熱はコストを抑えながら断熱性能を確保しやすい点が最大の利点です。

標準的な木造住宅であれば、施工費を20〜30%程度抑えることができます。また、間取り変更やリフォーム時も内側から補修・改修が容易なため、長く使う家にも向いています。

デメリット:結露・熱橋リスク

デメリットとしては、柱や梁を通じて熱が伝わりやすい「熱橋(ヒートブリッジ)」が発生しやすいことが挙げられます。

また、内壁側に断熱層があるため、壁体内での結露リスクにも注意が必要です。これを防ぐためには、防湿シートの施工精度と換気設計が欠かせません。

最新技術による改善

近年では、**吹付断熱材(現場発泡ウレタンなど)**の普及により、内断熱の弱点が大きく改善されました。

隙間を埋めて空気層を均質化することで、高い気密性を実現しています。結果として外断熱に近い体感温度を得られるケースも多くなっています。


断熱性能を高めるための実践ポイント

1. 断熱材の選定

まずは、断熱材の「熱伝導率λ(ワット/メートル・ケルビン)」を比較します。数値が低いほど断熱性能が高いことを意味します。

断熱材熱伝導率特徴
グラスウール0.038前後価格が安く施工しやすい
ロックウール0.036前後防火・防音性能に優れる
発泡ウレタン0.028前後気密性・耐久性が高い

地域の気候・方位・日射量などを考慮し、断熱材+工法の最適化を図ることが大切です。

2. 気密測定の実施

断熱効果を最大化するためには、**C値(相当隙間面積)**を定期的に測定し、目標値を0.5以下に保つことが理想です。

四方継の現場では、気密測定士の立ち会い検査を行い、目視+数値で「快適の根拠」を保証しています。

3. 通気と換気計画

断熱性能が高くなるほど、換気性能の設計が重要です。

気密性の高い住宅では、熱交換型換気システム(第1種換気)を採用することで、エネルギーロスを防ぎながら新鮮な空気を供給します。


よくある質問(断熱FAQ)

Q1. 内断熱と外断熱、どちらが良いですか?

結論:どちらにも一長一短があります。木造住宅では内断熱、RC造では外断熱が主流です。予算や建物の構造、お住まいの地域の気候条件を総合的に判断して選択することが重要です。

Q2. 吹付断熱はカビやすいですか?

いいえ。適切な防湿層施工と換気設備があれば、カビのリスクは極めて低くなります。むしろ隙間なく施工できるため、結露を防ぎやすい工法といえます。

Q3. 内断熱は省エネ住宅に不利ですか?

いいえ。断熱材の種類と施工精度によってはZEH基準を十分満たすことができます。内断熱だから省エネ性能が低いということはありません。

Q4. 結露対策はどうすれば良いですか?

防湿層の施工・気密測定・通気層設計を丁寧に行うことが鍵です。特に気密シートの継ぎ目処理と、換気経路の確保が重要になります。

Q5. 内断熱と外断熱を併用できますか?

はい。ハイブリッド断熱として性能を補完し合う設計が可能です。それぞれの長所を活かし、より高性能な住宅を実現できます。

Q6. リフォームで内断熱を導入できますか?

可能です。壁を一部解体して充填する工法が主流です。施工時間は3〜5日程度で、既存住宅の断熱性能を大幅に向上させることができます。

Q7. 四方継の家づくりで重視していることは?

「見えない部分こそ丁寧に」。構造・断熱・設備といった基盤を信頼で支えています。完成後は見えなくなる部分だからこそ、手を抜かない施工を心がけています。


四方継が考える断熱の重要性

株式会社四方継では、断熱を単なる「暖かさ・涼しさ」を提供する技術としてだけでなく、住まい手の健康と家族の未来を守る基盤として捉えています。

健康を守る断熱性能

適切な断熱性能は、室温の安定をもたらします。急激な温度変化によるヒートショックのリスクを低減し、特に高齢者や小さなお子様がいるご家庭にとって安心の住環境を提供します。

エネルギーコストの削減

高い断熱性能は、冷暖房費の削減に直結します。初期投資として断熱にかけるコストは、長期的な光熱費削減として必ず回収できる投資です。

環境への配慮

省エネルギー住宅は、CO2排出量の削減に貢献します。一軒一軒の住宅が環境に配慮した性能を持つことで、地域全体の持続可能性を高めることができます。


四方継の施工事例から学ぶ断熱の実践

事例1:木造2階建て住宅での内断熱施工

神戸市内の木造2階建て住宅において、グラスウール充填工法による内断熱を採用しました。

施工のポイント:

  • 柱間への断熱材の隙間ない充填
  • 気密シートの丁寧な施工と継ぎ目処理
  • 気密測定によるC値0.4の達成

結果として、冬季の暖房費が従来比で約40%削減され、夏季の冷房費も30%削減を実現しました。

事例2:ハイブリッド断熱による高性能住宅

予算に余裕のあるお客様からのご要望で、内断熱と外断熱を組み合わせたハイブリッド断熱を採用した事例です。

施工のポイント:

  • 充填断熱(内断熱)で基本性能を確保
  • 外張り断熱で熱橋を徹底排除
  • 第1種換気システムによる熱回収

この住宅ではZEH基準を大きく上回る断熱性能を達成し、年間を通じて快適な室内環境を実現しています。


断熱工事を成功させるためのチェックポイント

施工前の確認事項

  1. 設計図面での断熱仕様の確認:断熱材の種類・厚み・施工方法が明記されているか
  2. 気密計画の有無:どのように気密性を確保するか計画されているか
  3. 換気計画との整合性:断熱と換気がバランスよく設計されているか

施工中の確認事項

  1. 断熱材の正しい充填:隙間なく均一に充填されているか
  2. 気密シートの施工精度:継ぎ目の処理が適切か
  3. 貫通部の処理:配管・配線部分の気密処理がされているか

施工後の確認事項

  1. 気密測定の実施:C値が目標値を達成しているか
  2. サーモグラフィー検査:熱橋や断熱欠損がないか
  3. 完了検査での最終確認:設計通りの施工がされているか

四方継では、これらすべての工程でお客様とともに確認を行い、「見える化」を徹底しています。


まとめ

内断熱工法は、施工性とコストの両立を実現する断熱方法です。外断熱とのハイブリッド化により、快適性と省エネ性を最大化できます。

断熱性能は「材料」よりも「施工品質と設計思想」で決まります。どれだけ高性能な断熱材を使用しても、施工が不適切であれば本来の性能は発揮されません。

株式会社四方継は、断熱を通じて”いい街を継ぐ”建築を実現しています。見えない部分こそ丁寧に、次の世代に受け継がれる家づくりを目指しています。

注文住宅をご検討の際は、断熱性能について納得できるまで説明を受け、施工の透明性を重視した建築会社を選ぶことをお勧めします。四方継では、お客様との対話を大切にし、一棟一棟に真摯に向き合う家づくりを続けています。



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―― 会社情報 ――

株式会社四方継(しほうつぎ)
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