注文住宅の快適性を確保!断熱性に優れた窓ガラスの建築的な構造情報を徹底解説
注文住宅で快適さと光熱費を両立させるには、窓の断熱性能と建築基準(省エネ基準・断熱等性能等級)を正しく理解し、地域や暮らし方に合わせて窓種・ガラス構成・配置を設計段階から最適化することが重要です。
この記事のポイント
押さえるべき要点3つ
- 注文住宅の断熱性能は、壁よりも「窓の断熱性能と配置計画」が結果を大きく左右します。
- 建築物省エネ法と断熱等性能等級に基づき、Ua値と窓性能等級・サッシ種別(樹脂・アルミ樹脂複合・トリプルガラス等)をセットで検討することが必須です。
- 四方継では、建築×地域活性の視点から、住まい手の暮らし方と地域気候に合わせた窓の断熱設計を行い、世代を超えて価値が続く注文住宅づくりを実践しています。
この記事の結論
注文住宅の断熱性能を高める最短ルートは、「断熱等級5〜7相当」となる窓性能(サッシ種別+ガラス構成)を前提に、プラン段階から窓の位置と大きさを決めることです。
断熱性能の評価指標であるUa値・ηAC値は、窓の性能と面積比率が大きく影響するため、外皮設計の要として窓を優先的に検討すべきです。
高性能な樹脂窓+Low-E複層ガラス、もしくはトリプルガラスを適切に組み合わせることで、等級6以上の快適性と光熱費削減を実現できます。
2025年以降、国の省エネ基準(断熱等級4相当)を満たさない新築住宅は原則建てられなくなるため、注文住宅では基準を上回ることを前提に窓を選ぶのが現実的な選択です。
四方継では、住まい手が気づいていない望みもヒアリングし、建築基準への適合と「冬暖かく夏も過ごしやすい窓計画」を両立した提案を行っています。
注文住宅の窓と断熱:建築基準では何が求められる?
建築会社としての結論は、これからの注文住宅では「断熱等級5以上」を前提に窓を選定・設計しないと、長期的な快適性と資産価値の両立が難しくなる、という点です。
その根拠として、建築物省エネ法改正により、2025年以降は新築住宅に省エネ基準(断熱等級4以上)への適合が義務化され、国はさらなる高断熱化(等級5〜7)を推進している背景があります。
実際の設計現場では、断熱の等級やUa値の「数字」だけでなく、窓の位置・大きさ・開閉方式の組み合わせまで含めて検討することで、図面上の性能値と実際の体感温度のギャップを小さくすることができます。
建築物省エネ法と外皮性能(Ua値・ηAC値)
一言で言うと、窓の断熱性能は「外皮性能」の一部としてUa値とηAC値という指標で評価されます。
**Ua値(外皮平均熱貫流率)**は、屋根・外壁・床・窓などからどれだけ熱が逃げるか(または入るか)を示し、値が小さいほど断熱性能が高いと評価されます。
**ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)**は、日射によってどれだけ室内に熱が入るかを示し、特に夏の暑さ対策として窓のガラス種別や日射遮蔽の設計でコントロールすることが重要です。
断熱等性能等級と窓性能の関係
結論として、断熱等性能等級が4から7へと上がるほど、窓に求められる性能は大きく増し、樹脂サッシやトリプルガラスが事実上の標準となっていきます。
等級4は従来の省エネ基準レベルで、アルミサッシのペアガラスでも達成できていましたが、等級5(ZEH水準)、**等級6・7(HEAT20 G2・G3相当)**ではアルミ樹脂複合サッシや樹脂サッシ+高性能複層ガラスが前提となります。
たとえば東京など6地域の場合、等級5でUa値0.6以下、等級6で0.46以下、等級7で0.26以下という厳しい基準が設定されており、この水準を窓の性能と配置抜きで達成することは困難です。
2025年以降の義務化と実務への影響
最も大事なのは、「最低基準をクリアする」から「将来を見越してワンランク上の断熱等級を目指す」方向に、注文住宅の窓選びもシフトしていることです。
2025年4月以降は、原則としてすべての新築住宅が省エネ基準に適合することが義務となり、建築士は省エネ基準への適否を施主に説明する責任を負うため、窓の断熱性能や等級の違いを図面と数値で説明することが当たり前になりつつあります。
四方継でも、建築×地域活性化を掲げる工務店として、地域の気候と住まい手の暮らし方を踏まえた断熱等級の提案とともに、窓の種類・配置・日射遮蔽の計画を丁寧に説明することを徹底しています。
注文住宅の窓断熱:構造と素材の選び方
結論から言うと、窓の断熱性能は「サッシの素材」と「ガラス構成」の掛け算で決まり、その組み合わせ方次第で、同じ間取りでも体感温度と光熱費が大きく変わります。
根拠として、一般的なアルミサッシ+単板ガラスと、樹脂サッシ+Low-Eトリプルガラスでは、窓部分の熱の出入り量に数倍の差が生じることが、各種メーカーや団体の実験データから示されています。
実務では、予算やデザインバランスを踏まえながら、「南面は日射取得型の高性能ガラス+庇」「東西北面は日射遮蔽型+小開口」といったゾーニングにより、コストを抑えつつ断熱性能を高める工夫を行います。
サッシの種類:アルミ・アルミ樹脂複合・樹脂
一言で言うと、断熱を重視するなら「樹脂サッシ > アルミ樹脂複合サッシ > アルミサッシ」の順で選ぶのが基本です。
アルミサッシは強度に優れますが熱を伝えやすく、結露やヒンヤリとした不快感につながりやすいため、現在の高断熱住宅では主流ではなくなりつつあります。
アルミ樹脂複合サッシは、外側にアルミ、室内側に樹脂を用いることで、耐久性と断熱性のバランスを取った仕様で、断熱等級5レベルの注文住宅で多く採用されます。
樹脂サッシは熱を伝えにくい素材で構成され、Low-E複層ガラスやトリプルガラスと組み合わせることで、等級6・7レベルの断熱性能を実現しやすいことから、今後のスタンダードとして位置付けられています。
ガラス構成:単板・複層・Low-E・トリプル
結論として、注文住宅で新築する場合は、単板ガラスではなく、少なくとも複層ガラス(ペアガラス)、できればLow-E複層ガラス以上を標準とするべきです。
複層ガラスは、2枚のガラスの間に空気層やガス層を挟むことで断熱性能を高めた構造で、さらにLow-Eガラスと呼ばれる金属膜コーティングを加えることで、冬は室内の熱を逃がしにくく、夏は日射熱を遮る効果が高まります。
トリプルガラスは3枚構成のガラスで、樹脂サッシと組み合わせることで、断熱等級7クラスの性能が期待でき、寒冷地や断熱重視の高性能住宅で採用が増えていますが、重量やコストとのバランスを検討する必要があります。
部位ごとの窓配置とサイズ計画
最も大事なのは、「どの面に、どの性能の窓を、どのくらいの大きさで設けるか」を、構造と断熱の両面から設計することです。
例えば、夏の日射負荷が大きい西面に大きな窓を設ける場合、日射遮蔽型Low-Eガラスや外付けブラインドを組み合わせないと、冷房負荷と不快な暑さが増えてしまいますが、窓を小さくする、位置をずらす、もしくは高性能なガラスに切り替えることで快適性が向上します。
一方で南面は、冬の日射取得がしやすい面なので、構造的に許す範囲で大きめの窓+日射取得型Low-Eガラスを用い、庇や軒で夏の日差しをコントロールする設計にすることで、暖房費削減と明るい室内を両立させることができます。
注文住宅の窓断熱構造:どのように設計・施工を進めるべきか?
結論として、窓断熱の成功は「設計段階での性能シミュレーション」と「施工品質の管理」にかかっており、仕様選びだけでは十分ではありません。
その理由は、同じ性能等級の窓を使っていても、取り付け方法やまわりの断熱処理・気密処理が不十分だと、カタログ値どおりの性能が発揮されないためです。
四方継では、大工と設計士が一体となって施工プロセスを「見える化」し、気密測定や断熱施工のチェックを行うことで、図面上の性能と実際の暮らし心地の差を小さくする取り組みを行っています。
設計段階:外皮計算と窓仕様の確定ステップ
一言で言うと、注文住宅の窓計画は「外皮性能設計」の一部として、以下の手順で整理すると失敗しにくくなります。
ステップ1:建築地の地域区分を確認し、目標とする断熱等級(5〜7等級など)を設定する
日本は1〜8地域に分かれており、それぞれの地域で求められる断熱性能が異なります。建築予定地がどの地域に該当するかを確認し、将来的な快適性や資産価値を考慮して目標等級を決定します。
ステップ2:Ua値・ηAC値の目標値を決め、壁・屋根・床の断熱仕様と同時に窓の性能グレード(サッシ種別・ガラス構成)を仮決定する
外皮全体でバランスを取りながら、各部位の断熱仕様を検討します。特に窓は熱損失が大きい部位なので、早い段階で性能グレードを決めることが重要です。
ステップ3:間取りプランから窓の面積・配置を割り出し、外皮計算ソフトなどでUa値とηAC値を算出して調整する
実際の図面をもとに窓の面積を算出し、専用ソフトで外皮性能を計算します。目標値に届かない場合は、窓の性能アップや面積調整を検討します。
ステップ4:コストとのバランスを見ながら、窓性能を上げるのか、窓面積を調整するのか、外付け日射遮蔽を追加するのかを検討する
予算内で最大限の性能を引き出すため、優先順位をつけながら仕様を決定します。全ての窓を最高グレードにするのではなく、重要な箇所に予算を集中させる戦略も有効です。
ステップ5:最終仕様を確定し、図面に窓の性能区分や型番レベルまで落とし込む
決定した仕様を図面に明記し、施工時の混乱を防ぎます。型番まで指定することで、想定した性能が確実に実現されます。
このプロセスを踏むことで、「なんとなく良さそうな窓」を選ぶのではなく、「必要な性能を満たす窓」を合理的に選ぶことができます。
施工段階:窓の取り付けと気密・断熱処理
結論として、窓周りの施工品質は、高断熱住宅になるほど重要度が増します。
窓枠まわりに隙間が残っていたり、断熱材の充填が不十分だと、そこが「熱橋」となって冷気や結露の原因になるため、現場では気密テープや断熱材の連続性を意識した納まりと、施工後のチェックが不可欠です。
四方継では、社員大工の育成を通じて現場実務者の技術向上に力を入れてきた歴史を持ち、職人起業塾などの研修を通じて、断熱・気密・窓施工の品質を高める文化を育ててきました。
高性能な窓を採用しても、施工が適切でなければその性能は発揮されません。特に以下のポイントが重要です。
- 窓枠と構造躯体の間の気密処理
- 断熱材の連続性確保
- 防水・防湿処理の徹底
- 施工後の気密測定による検証
暮らし方と窓性能のフィッティング事例
最も大事なのは、断熱性能だけでなく、「そのご家族の暮らし方」と「地域の気候」に窓性能をフィットさせることです。
例えば、在宅時間が長く、冬も日中暖房を緩やかに使いたいご家庭では、南面に大きな日射取得型の高断熱窓を配置し、夕方以降はカーテンや内窓で放熱を抑える設計を採用することで、光熱費と体感温度のバランスが取りやすくなります。
一方、夏の暑さが厳しい地域で、共働きで日中不在が多いご家庭では、東西面の窓を小さくし、日射遮蔽型Low-Eガラスや外付けシェードを標準化することで、帰宅時の室温上昇を抑えることができます。
このように、画一的な「高性能窓」を提案するのではなく、お客様一人ひとりのライフスタイルと地域特性に合わせた窓計画を提案することが、四方継の強みです。
よくある質問
Q1. 注文住宅で窓の断熱性能はどの等級を目標にすべきですか?
結論として、これから建てるなら断熱等級5以上を推奨し、可能であれば地域と予算に応じて等級6や7も検討すべきです。
等級4は2025年以降の最低基準となりますが、長期的な快適性と光熱費削減を考えると、それを上回る性能を目指すことが賢明です。
Q2. 樹脂サッシとアルミ樹脂複合サッシはどちらが良いですか?
断熱性を最優先するなら樹脂サッシ、コストとバランスを重視するならアルミ樹脂複合サッシが現実的な選択肢になります。
地域の気候や目標とする断熱等級、予算を総合的に考慮して選択することをお勧めします。
Q3. Low-Eガラスは全ての窓に必要ですか?
すべてに必須ではありませんが、日射の強い面や大きな窓にはLow-E複層ガラスを優先的に採用すると、夏冬の快適性と光熱費削減に効果的です。
特に南面や西面など日射の影響を受けやすい窓には、Low-Eガラスの採用を強くお勧めします。
Q4. トリプルガラスは日本のどの地域に向いていますか?
寒冷地や高断熱住宅を志向する地域で特に効果が高く、等級6〜7レベルの断熱性能を目指す場合に有力な選択肢となります。
ただし、重量やコストが増加するため、必要性と予算のバランスを見極めることが大切です。
Q5. 窓の断熱性能はUa値とどう関係しますか?
Ua値は外皮全体の平均値ですが、窓の面積と性能が大きく影響するため、高性能窓を採用することでUa値を効率的に改善できます。
窓は壁などに比べて断熱性能が低いため、窓の仕様を変えることがUa値改善の最も効果的な手段となります。
Q6. 2025年の省エネ基準義務化で、施主側は何に注意すべきですか?
新築住宅が最低限等級4レベルの断熱性能を満たすことになるため、それを上回る等級5〜6レベルを視野に、窓の性能・配置・日射遮蔽を具体的に確認することが重要です。
建築士から説明を受ける際は、数値だけでなく実際の暮らしでどのような快適性が得られるかを確認しましょう。
Q7. 工務店に窓の断熱性能についてどう相談すれば良いですか?
「目標とする断熱等級」「採用する窓の性能グレード」「Ua値とηAC値」「南・東西・北面それぞれの窓計画」の4点を具体的に質問し、数値と図面で説明してもらうと安心です。
曖昧な説明ではなく、具体的な数値と根拠を示してもらうことで、信頼できる提案かどうかを判断できます。
四方継が考える、これからの窓断熱設計
四方継では、単に建築基準を満たすだけでなく、「この家に住む方々が、30年後も快適に暮らせるか」という視点で窓の断熱設計に取り組んでいます。
地域の気候特性を熟知し、住まい手一人ひとりのライフスタイルに寄り添いながら、最適な窓の性能・配置・デザインを提案することが、私たちの使命だと考えています。
高性能な窓を採用することは、初期コストの増加を意味します。しかし、それは光熱費の削減、快適性の向上、資産価値の維持という形で、長期的には必ず施主様に還元されます。
私たちは、目先の費用だけでなく、ライフサイクル全体でのコストパフォーマンスを重視した提案を心がけています。
まとめ
注文住宅の断熱性能を左右するのは、壁だけでなく「窓の断熱性能と配置」であり、断熱等級5〜7と窓性能をセットで設計することが重要です。
建築物省エネ法に基づくUa値・ηAC値は、窓の性能と面積比率で大きく変わるため、外皮設計の初期段階から窓の仕様と位置を検討すべきです。
樹脂サッシ+Low-E複層ガラスやトリプルガラスなどの高性能窓を、南北・東西で役割分担させることで、快適性と光熱費削減を両立できます。
2025年以降は省エネ基準の適合が義務化されるため、四方継では「基準クリア」ではなく「一歩先の快適性」を見据えた窓断熱設計を標準としています。
窓は住宅の断熱性能を決定づける重要な要素です。設計段階から十分な検討を行い、施工品質を確保することで、快適で省エネルギーな住まいを実現できます。
四方継は、建築×地域活性という独自の視点から、世代を超えて価値が続く注文住宅づくりをお手伝いいたします。窓の断熱性能についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
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―― 会社情報 ――
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おもな事業:建築 × 地域活性化
登録番号
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