四方継の歴史と想い:創業から現在まで続く「丁寧なものづくり」の軌跡

こんにちは。株式会社四方継です。

私たちは「人、街、暮らし、文化を継ぎ、四方良しを実現する」という理念のもと、「受け継がれる価値のある丁寧なものづくり」を追求してきました。この想いは突然生まれたものではありません。1994年の創業から現在に至るまで、約30年にわたる現場での経験と、お客様との信頼関係の積み重ねによって、少しずつ形作られてきたものです。

今回は、四方継がどのような歩みを経て今の姿になったのか、創業からメンテナンスサービスまでの歴史を振り返りながら、私たちの「丁寧なものづくり」の原点をお伝えしたいと思います。

創業の原点:大工集団「高橋組」としてのスタート

1994年、すべてはここから始まった

株式会社四方継の歴史は、1994年4月1日に神戸市西区大津和で創業した大工集団「高橋組」から始まります。当時、私たちは大手住宅メーカーの特約工務店として活動していました。

「特約工務店って何ですか?」とよく聞かれるのですが、簡単に言えば、大手住宅メーカーから工事を請け負い、実際の施工を担当する工務店のことです。

この時期は、私たちにとって厳しくも貴重な修行の時代でした。大手メーカーが求める品質基準は非常に厳格です。少しのズレも許されない精密な施工、細部まで行き届いた仕上げ、そして何より「均一な品質」を保つための組織的な管理能力。これらすべてを、現場で叩き込まれました。

朝早くから夜遅くまで、一つひとつの作業に向き合い、先輩職人から技術を学び、時には失敗もしながら、確かな技術を身につけていった日々。この経験こそが、現在の四方継が掲げる「受け継がれる価値のある丁寧なものづくり」の土台となっています。

法人化という大きな一歩

2002年、私たちは大きな決断をしました。有限会社すみれ建築工房を設立し、法人として生まれ変わったのです。同時に一般建設業の許可を取得し、元請として新築工事の受注を開始しました。

元請とは、お客様から直接工事を請け負う立場のこと。それまでは大手メーカーの下請けとして働いていた私たちが、お客様と直接向き合い、プロジェクト全体の責任を負うようになったのです。

これは単なる組織変更ではありませんでした。作り手としての技術力だけでなく、お客様への説明責任、工事全体の品質保証、そして何より「信頼」を自分たちの手で築き上げる責任を背負うことになったのです。

当時を振り返ると、不安もありました。しかし、創業以来培ってきた確かな技術力への自信が、私たちを後押ししてくれました。

リフォーム事業への転換:お客様との直接的な絆

2003年、転機となった「職人による直接施工」

2003年、私たちはリフォーム事業に本格進出しました。そしてこの時、業界では珍しい「職人による直接施工」というスタイルを打ち出したのです。

「職人が直接?それって当たり前じゃないの?」と思われるかもしれません。しかし実は、建築業界では昔から多重下請け構造が一般的でした。お客様から元請けが受注し、それを下請けに発注し、さらにその下請けが別の業者に発注する…というように、何層もの業者が間に入ることが珍しくなかったのです。

この構造には大きな問題がありました。まず、中間マージンが積み重なることで、お客様の支払う費用が膨らんでしまいます。そして何より、実際に施工する職人とお客様の距離が遠くなり、想いが伝わりにくくなってしまうのです。

私たちは考えました。「もっとお客様と近い距離で、直接想いを受け取り、それを形にしたい」と。

職人が直接お客様と向き合い、話を聞き、提案し、そして自分の手で施工する。この透明性のあるスタイルは、お客様から大きな反響をいただきました。

「職人さんと直接話せて安心した」「中間マージンがない分、予算内でより良いものができた」「自分たちの想いをしっかり理解してもらえた」

こうした声をいただくたびに、私たちは確信しました。お客様と直接向き合い、ご縁を紡いでいくことこそが、私たちの目指す「四方良し」を実現する道なのだと。

設計力の強化で専門性をさらに深く

元請としての仕事が増えるにつれ、私たちはもう一つの課題に直面しました。それは「設計力の強化」です。

現場での施工技術は確かなものになってきました。しかし、お客様の想いを形にするためには、施工の前段階である設計の段階から関わることが重要だと気づいたのです。

そこで2005年、私たちは2級建築士設計事務所の登録を行い、確認申請業務や設計業務を自社で行えるようにしました。

これにより何が変わったのか。たとえば、現場を知り尽くした職人の視点から「この間取りだと、将来メンテナンスがしにくい」「ここはもう少し補強した方が、長持ちする」といった提案ができるようになりました。

図面を描く人と、実際に建てる人が同じ会社にいる。これは大きな強みです。設計段階から施工、そしてアフターメンテナンスまで、一貫して責任を持てる体制が整ったのです。

新たな挑戦:規格化住宅と飲食事業

すべての人に夢のマイホームを

2007年、私たちは新しい挑戦を始めました。規格化注文住宅「sumika(スミカ)」の開発です。

「規格化住宅」とは、ある程度の仕様やプランをパッケージ化した住宅のこと。完全な自由設計に比べると選択肢は限られますが、その分、設計や施工の効率が上がり、コストを抑えることができます。

しかし、私たちの目指した「sumika」は、ただ安いだけの家ではありませんでした。創業以来培ってきた高品質な職人技術を、規格化による効率性と組み合わせることで、「適正価格で高品質な家」を提供することが目標だったのです。

「すべての人に夢のマイホームを」という合言葉のもと、品質は妥協せず、でも無駄なコストは徹底的に削減する。この開発を通じて、私たちは高品質を安定的に供給し続けるための仕組みを確立しました。

この経験は、2012年に高性能ゼロエネルギー住宅「SUMIKA-ZERO」が国土交通省の認定を受けることにつながり、現在のGX志向型住宅の推進へと発展しています。

飲食事業という意外な展開

同じ2007年、私たちはもう一つ、一見すると不思議な事業を始めました。飲食事業部の設立です。

「建築会社が飲食?」と驚かれるかもしれません。しかしこれには明確な意図がありました。店舗設計やマネジメント提案の研究です。

建築とは「箱」を作ることではありません。その中で人々が暮らし、働き、幸せを感じる「場」を作ることです。飲食店という、まさに人々の暮らしが営まれる空間を、設計から運営まで自分たちで手がけることで、多くのことを学びました。

お客様の動線はどうあるべきか。居心地の良い空間とは何か。効率的な作業環境とは。こうした実地での学びは、後の住宅設計にも大きく活かされています。

たとえば、現在私たちが提案する「ラク家事」の住まいづくり。キッチンからの動線、洗濯物の干し場までの距離、収納の配置など、実際に生活する人の立場に立った設計は、飲食事業で培った「使う人の視点」が基になっています。

また、この経験は2013年に開講した「職人起業塾」での社内起業家精神の醸成にもつながりました。職人一人ひとりが、単なる作業者ではなく、お客様の暮らしを考える「経営者の視点」を持つ。そんな人材育成の土台となったのです。

お客様との永続的な関係:メンテナンスサービスの本格化

「家を建てて終わりじゃない」という想い

これまでの経験を経て、私たちは一つの確信に至りました。「本当に良い家づくりとは、建てて終わりではない」ということです。

2009年、私たちは「すべてのお客様に生活の安心・安全を」という合言葉のもと、無料巡回メンテナンスサービスを本格化させました(神戸近郊に限定)。

家は建てた瞬間から、少しずつ変化していきます。木材の収縮、設備の経年変化、ライフスタイルの変化に伴う使い勝手の変化。これらすべてに、私たち作り手が寄り添い続けることが、本当の意味での「責任」だと考えたのです。

実際、お客様からは「何かあった時にすぐ相談できるから安心」「定期的に見てもらえるから、家への愛着が増した」といった声をいただいています。

あるお客様は、こう話してくださいました。「家族が増えたり、子どもが成長したり、ライフスタイルが変わる中で、いつも相談できる人がいるのは心強い。まるで家族のかかりつけ医のような存在です」

メンテナンスが生み出す価値

このメンテナンスサービスには、二つの大きな意味があります。

一つは、品質の証明です。私たちが手がけた家が、適切な手入れによって何十年も美しく、快適に保たれる。それを実際に見ていただくことで、「世代を超えて受け継がれる価値ある建築」であることを証明し続けられます。

もう一つは、お客様との継続的な関係です。家を建てた時だけの関係ではなく、その後も長く続くご縁。これこそが、私たちの理念である「人を繋ぎ、ご縁を紡ぎ、いい街を継ぐ」という想いの実現なのです。

あるご家族とは、もう15年以上のお付き合いになります。最初は新築をお手伝いし、その後、お子様の成長に合わせた改修、ご両親の二世帯住宅化、そして今では、お子様が独立されて、また夫婦二人の暮らしに合わせたリフォームを検討されています。

「家」という建物だけでなく、そこに住む「人」の人生に寄り添える。これほど幸せなことはありません。

技術と想いを次世代へ

職人起業塾という挑戦

長期的な責任を果たすためには、それを担う人材が必要です。2013年、私たちは「職人起業塾」を開講しました。

これは単なる技術研修ではありません。職人一人ひとりに、自分が建てた家への長期的な責任感を持ってもらうこと、そして社内起業家としての意識を醸成することを目的としています。

「自分が建てた家は、自分が守る」という意識。これがなければ、真の意味での長期メンテナンスは実現できません。職人起業塾では、技術はもちろん、お客様とのコミュニケーション、問題解決能力、そして何より「作り手としての誇りと責任」を伝えています。

マイスター高等学院という未来への投資

そして2023年、私たちはさらに大きな一歩を踏み出しました。マイスター高等学院の設立です。

高校生の段階から職人技術を学べる環境を整え、「モノづくりの担い手を子供の憧れの職業にする」ことを目指しています。

なぜ高校生からなのか。それは、技術だけでなく、「丁寧なものづくり」の文化そのものを、次世代に継承していきたいからです。

職人の仕事は、単なる作業ではありません。木と対話し、お客様の想いを形にし、何十年も先の暮らしを想像しながら、一つひとつの作業に魂を込める。そんな職人の仕事の尊さを、若い世代に伝えていきたいのです。

私たちの「丁寧なものづくり」とは

ここまで、四方継の歴史を振り返ってきました。最後に、私たちが大切にしている「丁寧なものづくり」について、改めてお伝えしたいと思います。

「丁寧なものづくり」とは、単に施工品質が良いということではありません。

それは、1994年の創業時に、厳しい現場で培った確かな技術力を基礎とし、2003年のリフォーム事業で実現したお客様との直接的な対話による透明性、2005年の設計事務所登録による設計から施工までの一貫した専門性、2007年の規格化住宅開発と飲食事業での実践的な学び、そして2009年からの無料巡回メンテナンスサービスによる長期的な責任。

これらすべてが積み重なって形作られた、私たちの哲学なのです。

石組みのような丁寧さ

私たちの仕事を、日本庭園の石組みに例えてみましょう。

まず、自然の厳しい環境で磨かれた石(創業時の現場経験)を選びます。その石が持つ本来の美しさ(職人による直接施工の技術)を最大限に活かし、しっかりとした土台(元請への転換)の上に配置します。

そして何より大切なのは、その石組みが何十年、何百年経っても崩れず、庭全体(お客様の暮らし)の景観と調和を保ち続けるよう、庭師(メンテナンスサービス)が定期的に手入れを続けることです。

この長期にわたる「手入れの責任」こそが、その庭園が持つ揺るぎない価値となっているのです。

おわりに

株式会社四方継は、1994年の創業から現在まで、一貫して「受け継がれる価値のある丁寧なものづくり」を追求してきました。

大工集団としてスタートし、元請への転換、リフォーム事業での成功、設計力の統合、新規事業への挑戦、そして長期メンテナンスサービスの確立。これらすべての経験が、今の私たちを作っています。

私たちがつくる家は、単なる「建物」ではありません。そこには、約30年にわたる現場での経験と、お客様との信頼関係、そして未来への責任が込められています。

「人、街、暮らし、文化を継ぎ、四方良しを実現する」

この理念のもと、これからも私たちは、お客様一人ひとりの想いに寄り添い、世代を超えて受け継がれる価値ある住まいづくりを続けていきます。

家づくりをお考えの方、リフォームをご検討の方、あるいは長く住んでいる家のメンテナンスが気になる方。どんなことでも、お気軽にご相談ください。

私たち四方継が、30年の経験と想いを込めて、お客様の暮らしをサポートさせていただきます。

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