株式会社四方継では、つむぎ建築舎として「受け継がれる価値のある丁寧なものづくり」を、つない堂として「人を繋ぎ、ご縁を紡ぎ、いい街を継ぐ」ことをビジョンに掲げています。私たちが目指すのは「人、街、暮らし、文化を継ぎ四方良しを実現する」という理念です。
今回は、2025年3月22日に西神中央で開催された「こどもまんなか講演会」に参加したスタッフの体験を通じて、私たちが日々大切にしている「学び続ける姿勢」と「仕事への責任」について、正直にお伝えしたいと思います。
なぜ講演会に参加したのか — 地域の未来を考える責務
地域ハブとしての使命
つない堂は単なる建築会社の一部門ではありません。私たちは「信頼の輪を広げ、検索不要の安心安全な地域社会を作る」というビジョンのもと、地域のハブとして活動しています。
その活動の一つが、地域の子どもたちの学びを支えるしずく学習塾の運営支援です。2025年3月には進級ワークショップを経て募集人数いっぱいになるほど盛況で、地域から大きな期待を寄せていただいています。
子どもたちの未来を考えるとき、私たちは常に「今、地域の子育て環境で何が起きているのか」を知る必要があります。行政の動き、教育の現場の声、専門家の見解。これらの情報を得るために、私たちのスタッフは日常的にさまざまな場所へ足を運んでいます。
学び続ける文化
講演会への参加は、私たちの日常業務の一環です。
つない堂が運営する情報発信媒体「つないどう?」では、能登半島輪島市黒島地区の伝統的建築物修復レポートのような広域な社会貢献の話題から、地域の小さなイベント情報まで幅広く取り上げています。また西区役所主催のイベント、エニシミーツや伊川リバーフェスタ、西区もくいくなどにも積極的に参加し、行政や地域団体との繋がりを深めています。
「こどもまんなか講演会」もその延長線上にありました。子どもを中心とした社会づくりについて、最新の知見を得られる貴重な機会。当然、私たちは参加を決めたのです。
ただし、この日のスタッフには一つの葛藤がありました。それは「学びたい」という気持ちと「仕事を進めなければ」という責任感の間で揺れ動く時間との戦いでした。
途中で失礼した理由 — プロとしての判断
内容の見極めと時間の価値
講演会に参加したスタッフは、会場で話を聞きながら、ある判断を下しました。
「内容が私の必要としているものとはちょっと違う」
この一言は、決して講演会の質を否定するものではありません。むしろ、自分たちの業務にとって今すぐ必要な情報は何か、限られた時間の中で何を優先すべきかを冷静に見極めた結果です。
私たちは春の時期、特に多忙を極めていました。年度末の助成金報告、新年度の助成金申請、しずく学習塾の教室引越しに伴うホームページやチラシの更新、そして新たに立ち上げた「ご支援のお願い」ページの作成。どれも地域活動を継続するために欠かせない業務です。
スタッフは会場でこう考えたはずです。「今ここで得られる情報は貴重だけれど、今日中に仕上げなければならない仕事がある。この講演会の内容は、今すぐ私が取り組んでいる課題の解決には直結しない」
仕事への責任を選ぶ勇気
結果として、スタッフは講演会を途中で失礼しました。
「仕事が忙しいので途中で失礼させて頂きました」
この判断は簡単ではなかったはずです。せっかく足を運んだ講演会です。最後まで聞きたいという気持ちもあったでしょう。しかし、地域の子どもたちのために、助成金を確保する。学習塾の新しい教室情報を正確に伝える。これらの「今日やるべきこと」を優先する責任感が、スタッフの背中を押したのです。
ちなみに、講演会を出た後、スタッフは駐車場代をタダにすべく本屋さんに立ち寄ったそうです。こういった細かなコスト意識も、私たちが地域活動を持続可能にするために大切にしていることの一つです。真面目一辺倒ではなく、できる範囲で工夫しながら、効率的に業務を進める。それも私たちのスタイルです。
春の多忙な業務 — 私たちが優先したこと
地域教育を支えるための準備
スタッフが講演会を途中で抜けて戻った先には、山積みの業務が待っていました。
まず助成金関連の業務です。年度末の報告書作成は、一年間の活動をまとめ、成果を数字とエピソードで示す重要な作業です。そして次年度の申請書も同時進行で準備しなければなりません。助成金は地域活動の資金源です。これを確保できなければ、しずく学習塾の継続も、つない堂の活動も危うくなります。
次に、しずく学習塾の教室引越しに伴う情報更新です。ホームページの写真を新しくする、地図を更新する、チラシのデザインを刷新する。これらは単なる見た目の問題ではありません。保護者の方々に正確な情報を届け、安心して子どもを預けていただくための信頼構築です。
さらに、新たに「ご支援のお願い」というページを作成し、銀行振込やカード決済でご支援いただける体制を整えました。地域活動を長く続けるためには、資金面での持続性が不可欠です。多くの方に支えていただける仕組みを作ることも、私たちの重要な仕事なのです。
建築の最前線でも走り続ける
つない堂の業務だけではありません。つむぎ建築舎としても、この時期は非常に重要なプロジェクトが動いていました。
2025年5月には、GX志向型住宅である「スキップの家」の地鎮祭が執り行われました。GX志向型住宅とは、環境性能を重視した次世代の住宅のことです。私たちは単に家を建てるのではなく、環境にも配慮した持続可能な住まいづくりを追求しています。
また2025年4月には、愛知の歯科クリニックの現場チェックに遠征しました。このプロジェクトはスイスのN11 Architektenなど海外の設計事務所と協働する国際的な案件で、高い専門性が求められる現場です。
さらに2025年1月からは、日本国内でも3棟目となる新しい構法のプロジェクトが始まっていました。スタッフ自身も「始めてのことだらけで、手探りで少しずつ進めている状態」と公開しているように、挑戦的な取り組みです。
これらの業務は、どれも私たちのお客様、そして地域社会への責任そのものです。講演会で得られる知識も大切ですが、今進行中のプロジェクトを確実に前に進めることが、私たちの最優先事項なのです。
学びの姿勢を支える教育哲学
代表・高橋剛志の考え方
私たちの行動の根底には、代表である高橋剛志の揺るぎない教育哲学があります。
「人生を変える体験が人生を変える」
この言葉は、単なるスローガンではありません。高橋は職人起業塾やマイスター高等学院といった次世代育成の場を通じて、若い世代に「人生を変える体験」を提供し続けています。
職人起業塾では、職人にイントラプレナーシップ、つまり社内起業家精神を醸成することを目指しています。技術者であっても経営視点を持つこと。これが持続可能なビジネスを作るために不可欠だと考えているのです。継続的な研修である継塾では、CSVモデル、つまり社会課題解決型ビジネスについて学びます。
「こどもまんなか講演会」を途中で退席したスタッフの判断も、この教育哲学の延長線上にあります。受動的に知識を吸収するよりも、自分たちのミッションを果たすための行動を優先する。それこそが「人生を変える体験」だと、私たちは考えています。
いい街を継ぐという使命
つない堂の活動は、地域全体で子どもを育て、安心して暮らせる環境を作るという使命を帯びています。
しずく学習塾の卒業パーティーや木工教室といったイベントの実施、地域の子どもたちに関わる情報の収集。すべては「モノづくりの担い手を子供の憧れの職業にする」という高橋の挑戦と連動しています。
講演会で得られる知識も大切です。しかし、それ以上に大切なのは、学習塾の運営を継続し、子どもたちに実際の学びの場を提供し続けることです。助成金を確保し、情報を正確に発信し、地域の方々との信頼関係を築くこと。これらの実践的な責任を果たすことが、私たちの「いい街を継ぐ」という使命の核心なのです。
プロフェッショナルとしての時間管理
全体最適を考える
スタッフの判断は、個人的な都合ではなく、組織全体の最適解を考えた結果です。
私たちは小さな組織です。一人ひとりが複数の役割を担い、限られた時間の中で最大の成果を出す必要があります。講演会に最後までいることで得られる知識と、その時間を使って進められる業務の価値。両者を天秤にかけたとき、スタッフは後者を選んだのです。
これはレースカーのドライバーがピットインのタイミングを判断する瞬間に似ています。コースを走り続けたい気持ちはあっても、エンジンの状態が最適でなければ、一度コースを離れて整備する必要があります。そうしなければ、レース全体で勝利を収めることはできません。
私たちのスタッフは、常に全体最適を考えて行動する、プロフェッショナルなのです。
学び続けながら責任を果たす
誤解してほしくないのは、私たちが学びを軽視しているわけではないということです。
むしろ逆です。私たちは日常的に学び続けています。西区役所のイベントに参加し、他の団体の取り組みを知り、新しい建築技術を研究し、海外の事例を学んでいます。
ただし、学びには優先順位があります。今すぐ必要な情報と、将来的に役立つかもしれない情報。自分たちのミッションに直結する学びと、一般的な教養としての学び。これらを見極め、限られた時間の中で最も価値の高い選択をする。それがプロフェッショナルの時間管理です。
「こどもまんなか講演会」での判断は、決して学びを放棄したわけではありません。今このタイミングで必要な学びは、講演会の内容ではなく、実際に地域の子どもたちと向き合い、助成金を確保し、次の活動を準備することだと判断したのです。
私たちが大切にしていること
正直であること
今回、スタッフが講演会を途中で失礼したことを、私たちはあえてブログで公開しています。
なぜでしょうか。それは、私たちが正直であることを大切にしているからです。
美化された成功談だけを語るのは簡単です。しかし、私たちは日々の業務の中で、さまざまな葛藤や選択に直面しています。学びたいけれど時間がない。全てに参加したいけれど物理的に無理。そんな現実の中で、私たちは最善の選択を模索しています。
この正直さこそが、地域の皆様との信頼関係の基盤だと考えています。
地域への貢献を最優先に
私たちの選択基準は常にシンプルです。「それは地域のためになるか」という問いです。
講演会に最後まで参加することも、一つの学びです。しかし、その時間を使って助成金を確保し、学習塾の運営を継続することの方が、今この瞬間、地域の子どもたちのために直接的に貢献できる。だから私たちはそちらを選びました。
つむぎ建築舎としても、つない堂としても、私たちのすべての活動は「四方良し」の実現に向かっています。お客様良し、地域良し、社会良し、そして私たち自身も良し。この四方が調和する状態を作るために、私たちは日々、小さな選択を積み重ねているのです。
まとめ — 学びと責任の両立
2025年3月22日の「こどもまんなか講演会」への参加と途中退席は、私たちのスタッフにとって象徴的な出来事でした。
学び続ける姿勢を持ちながらも、目の前の責任を優先する。これは簡単なバランスではありません。しかし、限られた時間と資源の中で最大の価値を生み出すためには、この判断が必要です。
私たちは完璧ではありません。すべての講演会に最後まで参加できるわけでもありません。でも、私たちには明確なビジョンがあります。「人を繋ぎ、ご縁を紡ぎ、いい街を継ぐ」こと。この実現のために、今何が最も重要かを常に考え、行動しています。
講演会で学んだこと、そして学ばなかったこと。どちらも私たちの成長の糧です。そして何より、この経験を通じて、私たちは改めて自分たちの使命を確認することができました。
地域の皆様、いつも私たちの活動を支えてくださりありがとうございます。これからも私たちは、学び続け、挑戦し続け、そして地域社会への責任を果たし続けます。
「人生を変える体験が人生を変える」
この言葉を胸に、私たちは今日も前を向いて進んでいきます。
