はじめに:なぜ今、「信頼の輪」が必要なのか
私たち株式会社四方継は、神戸市西区を拠点に、地域活性化事業「つない堂」を展開しています。
現代社会では、何か困ったことがあればすぐにインターネットで検索する。これが当たり前になりました。しかし、その情報は本当に信頼できるのでしょうか。検索結果の上位に表示されているからといって、それが地域の実情に合った、本当に頼れる情報とは限りません。
つない堂が掲げるビジョンは「信頼の輪を広げ、検索不要の安心安全な地域社会を作る」というものです。これは決してインターネットを否定するものではありません。むしろ、情報が溢れる時代だからこそ、本当に信用できる人やサービスへのアクセスを容易にし、地域住民の皆さんが安心して暮らせる社会を作りたいという想いから生まれました。
本記事では、つない堂の活動内容と、私たちが目指す「信頼の輪」の構築について、詳しくお伝えします。
つない堂が生まれた背景:「四方良し」の理念から
すみれ暮らしの学校からの歩み
つない堂の活動は、2015年に開講した「すみれ暮らしの学校」が原点です。「住環境に食、学びを通して日々の暮らしを豊かにしよう」をコンセプトに、地域の皆さんと共に学び、成長してきました。
そして2020年、創立20周年を迎えたタイミングで、私たちは大きな決断をしました。社名を「有限会社すみれ建築工房」から「株式会社四方継」へと変更したのです。この変更には、単なる名称変更以上の意味がありました。
四方継に込めた想い
新しい社名「四方継」には、「人、街、暮らし、文化を継ぎ『四方良し』を実現する」という理念が込められています。四方良しとは、作り手、住み手、協力会社、そして地域社会のすべてが満足する持続可能なモデルのことです。
この理念は、近江商人の「三方良し」の精神を現代に引き継ぎ、さらに発展させたものです。建築事業を通じて利益を得るだけでなく、その活動が地域社会全体の幸せにつながる。そんな循環を作りたいと考えました。
すみれ暮らしの学校の活動は、この新しい理念のもと「つない堂」として生まれ変わりました。単なる名称変更ではなく、地域を守り、次世代に継なげる事業として、より明確な目的を持って再スタートを切ったのです。
リアルネットワーク構築の実践:つない堂の活動内容
信頼できる人と事業所を発掘する
つない堂の活動の根幹は、地域の中にいる「本当に頼れる人」「優れたサービス」を発掘し、それらをネットワークで繋ぐことです。
具体的には、あらゆる分野で卓越した知見を持つ人や事業所を見つけ出し、実際に足を運んで話を聞き、関係を築いていきます。この過程で大切にしているのが「リアルな繋がり」です。
インターネット上の情報だけでは、その人の本当の人柄や、サービスの質の高さは分かりません。実際に会って、話をして、時には一緒に活動することで、初めて「この人なら信頼できる」という確信が生まれます。
地域イベントへの積極的な参加
私たちは地域で開催されるイベントに積極的に参加しています。2024年9月には、西区役所の方からお声掛けをいただき、「伊川リバーフェスタ」と「西区もくいく」に連続して参加しました。
これらのイベントは、つない堂にとって「デビュー」となる大切な機会でした。行政からの信頼をいただけたことは、私たちの活動が地域から必要とされている証だと感じています。
また2025年1月には、西区役所主催の「エニシミーツ」というネットワーキングイベントにも参加しました。このイベント名は「E-NISHI(いい西)」と「縁(エニシ)」を掛けたもので、地域における「縁」の重要性を象徴しています。
自社イベントの開催
2024年10月には、初めての自社主催イベント「tunaido*ワークショップマルシェ」を開催しました。
このイベントの準備は、正直に言って想像以上に大変でした。スタッフは「今の自分の全力を出し切れ!」という意気込みで取り組みましたが、同時に「世の中の皆さんは色んなことを1人でこなしてすごいなぁと、今さらながら自分の能力不足が身に染みています」という言葉も漏らしていました。
この経験は、私たちにとって大きな学びとなりました。イベントを開催する側に立つことで、地域で活動する他の団体や個人事業主の苦労も理解できるようになったのです。
情報発信媒体「つないどう?」の役割
地域メディアとしての責任
つない堂のメイン業務の一つが、情報発信媒体「つないどう?」の制作です。これは単なる地域情報誌ではありません。地域の皆さんが本当に知りたい情報、役立つ情報を厳選してお届けする、信頼のメディアを目指しています。
地域の話題はもちろん、時には広域的な視点からの特集も組んでいます。2025年5月号では、「能登半島輪島市黒島地区【重要伝統的建築物】修復レポート」を特集しました。
これは、私たちの大工である石田氏が泊まり込みで実施した修復活動のレポートです。災害復興や文化の継承という、社会的に重要なテーマを取り上げることで、地域の皆さんに広い視野を持っていただく機会を提供しています。
建築会社ならではの専門性
私たちのルーツは建築にあります。この強みを活かし、「つないどう?」では建築や住環境に関する専門的な情報も分かりやすく発信しています。
例えば、耐震性能の話や、省エネ住宅のメリット、リフォームのタイミングなど、住まいに関する情報は多くの方が関心を持つテーマです。専門家の視点から正確な情報を提供することで、地域の皆さんの住環境向上に貢献したいと考えています。
しずく学習塾への支援:次世代への投資
地域の子どもたちの学びを支える
つない堂の活動で特に力を入れているのが、「しずく学習塾」の運営支援です。これは単なる資金援助ではありません。私たちは運営の様々な側面に深く関わっています。
まず、事務的な業務として、新年度対応や年度末の助成金報告、次年度の助成金申請などを担当しています。また、教室の引越しに伴うホームページやチラシの更新、写真や地図の刷新といった広報面もサポートしています。
さらに、新たに「ご支援のお願い」というページを作成し、銀行振込やカード決済でご支援いただける体制を整えました。これにより、より多くの方に学習塾の活動を知っていただき、支援の輪を広げることができています。
体験を通じた学び
しずく学習塾では、通常の学習支援だけでなく、様々な体験の機会も提供しています。
2025年3月には、テラスで卒業パーティーを開催しました。運営スタッフ、ボランティア、卒業生、在校生の総勢18名が集まり、賑やかな会となりました。子どもたちが安心して学び、成長できる場所があることの大切さを、改めて実感した瞬間でした。
夏には「ちびっこ応援!木工教室」も開催しました。冷風機を導入しながら、小さな大工さんたちがインテリア棚やキーフックを一生懸命作る姿は、私たちスタッフにも大きな感動を与えてくれました。
私たちは「人生を変える体験が人生を変える」という理念を持っています。子どもたちに多様な体験の機会を提供することで、彼らの可能性を広げ、将来の選択肢を増やしたいと考えています。
募集人数いっぱいの申し込み
嬉しいことに、しずく学習塾への申し込みは募集人数いっぱいとなることが多く、場所を広げて受け入れ人数を増やしたいという状況が続いています。
毎週水曜日の授業日には、多くの子どもたちが集まり、真剣に学習に取り組んでいます。この光景を見るたびに、地域の子どもたちの未来を支えることの重要性を感じています。
「検索不要の安心地域」が意味するもの
情報過多時代の新しい解決策
現代は情報過多の時代です。インターネットで検索すれば、あらゆる情報が手に入ります。しかし、その中から本当に信頼できる情報を見つけ出すのは、実は非常に難しいことです。
特に、地域密着型のサービスや、専門性の高い分野では、検索結果の上位に表示されているからといって、それが最適な選択肢とは限りません。口コミも操作されている可能性があり、何を信じればいいのか分からなくなってしまいます。
つない堂が目指す「検索不要の安心地域」とは、こうした問題を解決する新しいアプローチです。インターネット検索をしなくても、地域の中に信頼できる人やサービスのネットワークが既に存在していて、困った時にはそこにアクセスすれば安心。そんな社会を作りたいのです。
見えないセーフティネット
私たちが構築する「信頼の輪」は、地域全体を包み込む「見えないセーフティネット」のようなものです。
例えば、水道が壊れて困った時、インターネットで業者を探して不安になる必要はありません。つない堂のネットワークを通じて、事前に専門性や人柄が保証された業者を紹介できます。
子どもの教育について悩んだ時も、しずく学習塾を始めとする信頼できる教育機関や専門家を紹介できます。健康や介護の相談も、信頼できる医療・福祉の専門家に繋ぐことができます。
このように、生活のあらゆる場面で「安心」を提供できるネットワークこそが、現代社会において最も価値あるインフラだと私たちは考えています。
持続可能な地域社会の実現に向けて
次世代に継ぐということ
「いい街を継ぐ」というビジョンには、現在の地域を良くするだけでなく、それを次世代に引き継いでいくという意味が込められています。
しずく学習塾への支援は、まさにこの理念を体現する活動です。今の子どもたちが将来、地域を支える大人になった時、彼らもまた次の世代のために行動してくれる。そんな循環を作りたいのです。
また、能登半島の伝統的建築物の修復活動への参加も、文化を次世代に継ぐという視点からの取り組みです。災害で傷ついた建築物を修復することは、技術の継承であり、文化の継承でもあります。
四方良しの実現
私たちの活動は、「四方良し」の理念に基づいています。つない堂の活動を通じて、地域社会の安心・安全を高めることができれば、そこに住む人々の生活基盤が強化されます。
それは結果として、私たちの建築事業「つむぎ建築舎」への信頼にも繋がります。しかし、これは単なる企業の宣伝活動ではありません。本当に地域のためになる活動をすることで、自然と信頼が生まれ、それが事業にも良い影響を与える。この循環こそが、持続可能なビジネスモデルだと考えています。
協力会社の皆さんとも、この理念を共有しながら活動しています。作り手である私たち、住み手である地域の皆さん、協力会社、そして地域社会全体。この四者すべてが幸せになれる関係性を目指しています。
おわりに:共に紡ぐ未来
つない堂の活動は、まだ始まったばかりです。すみれ暮らしの学校から数えても10年、つない堂としては数年の歴史しかありません。
しかし、その短い期間の中で、私たちは確かな手応えを感じています。地域イベントへの参加を通じて繋がった人々との関係、しずく学習塾で成長する子どもたちの姿、情報発信媒体「つないどう?」への反響。一つひとつの活動が、確実に「信頼の輪」を広げています。
私たちが目指すのは、インターネット検索を必要としないほど、高度に信頼され、自律的に機能する地域社会です。困った時に頼れる人が身近にいて、子どもたちが安心して学び成長できる環境があり、文化や技術が次世代へと継承されていく。そんな社会を、地域の皆さんと共に作っていきたいと考えています。
つない堂の活動に興味を持ってくださった方、一緒に活動したいと思ってくださった方、ぜひお気軽にお声掛けください。人を繋ぎ、ご縁を紡ぎ、いい街を継ぐ。この活動は、私たちだけでできるものではありません。地域の皆さん一人ひとりの参加があってこそ、実現できるものです。
共に、未来へと続く「信頼の輪」を紡いでいきましょう。
