はじめに：sumikaに込められた想い
私たち株式会社四方継が提供する規格化注文住宅sumikaは、2007年に「すべての人に夢のマイホームを」という合言葉のもとに誕生しました。
住宅業界で長年仕事をしていると、多くのご家族が「理想の家は欲しいけれど、注文住宅は高すぎる」「建売住宅では自分たちの暮らしに合わない」という悩みを抱えていることに気づきます。そんな声に応えたいという想いが、sumikaという商品を生み出す原動力となったのです。
この記事では、sumikaがどのように生まれ、どんな価値を提供しているのか、そして私たちがこれまで歩んできた道のりについてお話しします。
創業から規格化住宅開発までの道のり
大工集団としてのスタート
私たちの歴史は、1994年に神戸市西区大津和で大工集団「高橋組」として創業したことに始まります。当初は大手住宅メーカーの特約工務店として、現場での施工技術を磨き続けました。
この時期に培った「職人としての確かな技術」が、今のsumikaの品質を支える土台となっています。どんなに設計が優れていても、それを形にする職人の腕がなければ、本当に良い家は建ちません。私たちは創業以来、この「ものづくりの基本」を大切にしてきました。
法人化と事業の転換期
2002年、事業の拡大に伴い有限会社すみれ建築工房として法人化しました。この時に一般建設業の許可を取得し、元請として新築工事を本格的に受注するようになります。代表取締役に高橋剛志、取締役工務部長に酒井康博が就任し、経営体制を強化しました。
2003年には大きな転機が訪れます。リフォーム事業に進出したところ、職人による直接施工というスタイルが市場で大きな反響を呼んだのです。お客様から「職人さんと直接話せて安心できる」「中間マージンがない分、適正な価格で工事ができる」という声をたくさんいただきました。
この成功をきっかけに、下請け中心だった事業構造を元請中心の営業へと大きく転換しました。お客様と直接コミュニケーションを取ることで、現場の専門知識とお客様のニーズを直結させることができるようになったのです。
設計力の充実と規格化住宅への準備
2005年には二級建築士設計事務所登録を行い、確認申請業務や設計業務を充実させました。大工としての技術力に加えて、建築士としての設計力を組み合わせることで、本当の意味での「住まいづくりのプロフェッショナル」になれると考えたからです。
2006年には本社社屋が竣工し、神戸市西区池上に本店を移転しました。この新しい拠点は、次のステージへ進むための準備でもありました。
そして2007年、ついに規格化注文住宅sumikaの開発・販売事業がスタートします。
なぜ「規格化」という選択をしたのか
注文住宅の課題と建売住宅の限界
住宅業界で仕事をしていると、お客様が抱える悩みが見えてきます。
完全な注文住宅は、確かに自由度が高く理想の家を建てられます。しかし、設計から施工まですべてがオーダーメイドになるため、どうしても費用が高額になってしまいます。また、打ち合わせに時間がかかり、完成までに1年以上かかることも珍しくありません。
一方、建売住宅は手頃な価格で購入できますが、間取りや仕様がすでに決まっているため、自分たちの暮らし方に合わせることができません。特に共働きのご夫婦や小さなお子様がいるご家庭では、生活動線や収納計画が重要になりますが、建売住宅ではそこまで配慮されていないことが多いのです。
規格化がもたらす3つのメリット
私たちがsumikaで採用した「規格化」という方法には、大きく3つのメリットがあります。
まず1つ目は「品質の安定」です。規格化することで、職人が同じ工程を繰り返し施工できるため、技術が磨かれ、品質が安定します。毎回違う設計図と格闘するのではなく、熟練した手順で丁寧に作り込めるのです。
2つ目は「コストの適正化」です。材料の一括発注や効率的な施工計画により、無駄なコストを削減できます。これにより、注文住宅の品質を保ちながら、より手の届きやすい価格で提供できるようになりました。
3つ目は「設計の洗練」です。何度も同じ規格で建てることで、そのプランの良い点と改善点が明確になります。お客様からのフィードバックを次の設計に活かし、常にブラッシュアップしていけるのです。
時代のニーズを取り込む柔軟性
規格化というと「選択肢が少ない」というイメージを持たれるかもしれません。しかし、sumikaの規格化は決して自由度を奪うものではありません。
たとえば、近年は共働き世帯が増え、「ラク家事」ができる住宅プランのニーズが高まっています。洗濯物を室内干しできるスペース、買い物から帰ってすぐに収納できるパントリー、料理しながら子どもの様子を見守れる対面キッチンなど、時短につながる工夫が求められているのです。
sumikaでは、こうした時代ごとのニーズを効率的に取り入れることができます。規格化されたベースプランがあるからこそ、本当に必要な部分に集中して設計を最適化できるのです。
「四方良し」の理念とsumikaの価値
すべての関係者が幸せになる住まいづくり
私たち四方継は「人、街、暮らし、文化を継ぎ四方良しを実現する」という理念を掲げています。この「四方良し」とは、作り手、住み手、協力会社、地域社会の四者すべてが満足し、利益を享受できる持続可能なビジネスモデルのことです。
作り手である私たち職人や設計士にとって、規格化は最も得意とする丁寧なものづくりに集中できる環境を提供してくれます。無駄な手戻りがなく、技術を継承しながら、より高い品質を追求できるのです。
住み手であるお客様には、世代を超えて受け継がれる価値のある安心・安全な住まいを提供します。まだ気づいていない潜在的なニーズまで形にするサービスを心がけています。
協力会社の皆様とは、長期的なパートナーシップのもと、信頼できる関係を構築しています。安定した発注により、協力会社も計画的に事業を運営できるのです。
そして地域社会には、良い街を次世代に継ぐための安心安全な地域づくりに貢献しています。
お客様のまだ見ぬ望みを形にする
sumikaのサービス設計で最も重視しているのは、お客様がまだ気づいていない、知らない望みを形にすることです。
たとえば、初めてお会いしたご夫婦が「普通の家が欲しい」とおっしゃったとします。しかし、詳しくお話を伺っていくと、奥様は料理教室を開きたいという夢をお持ちだったり、ご主人は週末に趣味のDIYを楽しみたいと考えていたりします。
こうした潜在的なニーズを引き出すために、私たちは女性建築設計士と大工が連携し、細やかなコミュニケーションを大切にしています。経験豊富な専門家として、お客様の未来を見据えた提案を行うのです。
また、建築途中の工程も透明化し、お客様に「見て安心、さわって安心」を感じていただいています。完成してから見えなくなってしまう部分こそ、しっかりとお見せすることで信頼を築けると考えています。
sumika誕生後の進化と挑戦
無料巡回メンテナンスサービスの開始
sumikaの開発から2年後の2009年、私たちは新たな挑戦を始めました。それが「すべてのお客様に生活の安心・安全を」を合言葉にした無料巡回メンテナンスサービスです。
家は建てて終わりではありません。むしろ、お引き渡し後からが本当のお付き合いの始まりだと考えています。神戸近郊のお客様を対象に、定期的に訪問してメンテナンスを行うこのサービスは、長期にわたって住まいの質を守るという私たちのコミットメントです。
小さな不具合も早期に発見して対処することで、大きな修繕を防ぐことができます。また、定期的に訪問することで、お客様の暮らしの変化に気づき、必要なアドバイスをすることもできるのです。
ゼロエネルギー住宅への挑戦
2012年には、さらに大きな一歩を踏み出しました。高性能ゼロエネルギー住宅SUMIKA-ZEROの開発です。
この住宅は国土交通省のゼロエネルギー推進化住宅に認定され、高い断熱性能と高効率設備の導入により一次エネルギー消費量を大幅に削減しました。太陽光発電などを取り入れ、環境負荷を減らしながら快適な暮らしを実現するグリーントランスフォーメーション志向型住宅として進化を続けています。
同じ年にマーケティング事業部を設立し、電磁波対策の取り組みも開始しました。目に見えない部分にも配慮し、本当の意味で健康的な住まいを提供したいという想いからです。
このSUMIKA-ZEROは、現在のサステナブルな住まいづくりの潮流の先駆けとなりました。環境への配慮と経済性の両立という、これからの時代に必要な住宅のあり方を示しています。
未来を見据えた取り組み
職人育成という社会的使命
良い家を建て続けるためには、優れた職人の存在が不可欠です。しかし、日本の建築業界は深刻な職人不足に直面しています。
この課題に真正面から取り組むため、2013年に職人起業塾を開講しました。これは社員大工のキャリアアップと地域の職人の活性化を目的とした教育事業です。単に独立開業を支援するのではなく、社内起業家精神を持った職人を育てることを目指しています。
2015年にはJBN京阪神木造住宅協議会の研修事業として展開し、2016年には一般社団法人職人起業塾として法人化し、全国展開を果たしました。
さらに2023年には、マイスター高等学院を設立しました。この通信制高校では、高校卒業資格を取得しながら、大工など建設業における職人としての技術を身につけることができます。通常の高校では見過ごされがちな才能を見つけ、開花させる場を提供することで、未来の建築業界を担う人材を育成しています。
地域社会とのつながり「つない堂」
2020年、創立20周年を機に社名を株式会社四方継に変更しました。この時に明確に打ち出したのが「人、街、暮らし、文化を継ぎ四方良しを実現する」という理念です。
この理念を具現化する活動が「つない堂」です。つない堂は、あらゆる分野で卓越した知見を持つ人、事業所、サービスを発掘し、リアルなネットワークを構築しています。
インターネット検索を必要としない安心な循環地域型社会のハブとなることを目指し、信頼を軸に人と人をつなぎ、ご縁を紡いでいます。具体的には、ワークショップマルシェの開催、西区役所主催のエニシミーツへの参加、伊川リバーフェスタや西区もくいくへの参加など、地域に根ざした活動を展開しています。
また、しずく学習塾の運営支援など、教育分野での地域貢献も行っています。家を建てることは、その地域に根を下ろし、コミュニティの一員になることでもあります。だからこそ、地域全体が安心して暮らせる環境づくりに取り組んでいるのです。
これからのsumikaと私たちの想い
規格化注文住宅sumikaは、2007年の誕生から今日まで、多くのご家族に「夢のマイホーム」を提供してきました。しかし、私たちが提供しているのは単なる「家」という建物ではありません。
それは、世代を超えて受け継がれる価値ある住まいであり、家族の暮らしを支える基盤であり、地域社会の一部となる存在です。
天然乾燥の愛知県産杉材を使った歯科クリニックの工事や、日本国内でも3棟目となる新しい構法を用いた住宅プロジェクトなど、私たちは一般住宅だけでなく、特殊な建築や最先端の構法にも挑戦し続けています。
これらの経験は、sumikaの設計思想にもフィードバックされ、常に進化を続けています。時代とともに変化するライフスタイルに寄り添い、お客様にとって本当に価値ある住まいを提供し続けること。それが私たちの使命だと考えています。
「すべての人に夢のマイホームを」という合言葉は、2007年から変わることなく、私たちの活動の原点であり続けています。これからも、確かな技術と真摯な姿勢で、一軒一軒の住まいづくりに取り組んでまいります。