はじめに:これからの住まいに必要な視点とは
こんにちは。神戸市西区でものづくり工務店「つむぎ建築舎」を運営する株式会社四方継です。
私たちは「人、街、暮らし、文化を継ぎ、四方良しを実現する」という企業理念のもと、お客様が今だけでなく、将来にわたって豊かで安心できる暮らしを送れる住まいづくりを追求しています。
最近、お客様との打ち合わせで特に多くご相談いただくのが「老後のことを考えた家づくり」と「毎日の家事を楽にする工夫」です。人生100年時代と言われる現在、住宅の設計においても長期的な視点が欠かせません。また、共働き世帯が当たり前となった今、いかに日々の家事負担を減らせるかも重要なテーマです。
こうした背景から、住宅業界では二つの大きなトレンドが生まれています。一つは「老後を見据えた平屋」、もう一つは「室内干しをメインにした間取り」です。
本記事では、なぜこの二つが注目されているのか、そして私たちがどのような技術と経験をもとにこれらの住まいを提供しているのかを、具体的な事例を交えながらご紹介します。
平屋が選ばれる理由:階段のない暮らしがもたらす安心
将来を見据えた設計の重要性
平屋住宅の最大の特徴は、何といっても「階段がない」ということです。若いうちは気にならない階段の上り下りも、年齢を重ねると大きな負担になります。
実際、私たちのお客様の中には「両親が二階建ての家で暮らしているけれど、階段が辛そうで心配」というお声をよくいただきます。足腰が弱くなってから慌ててリフォームを検討するより、最初から階段のない平屋を選ぶことで、長期的な安心が得られるのです。
平屋なら、将来的に車椅子や歩行補助が必要になった場合でも、大がかりな改修工事をせずに対応できます。段差をなくすバリアフリー設計も容易で、住み慣れた我が家で最後まで暮らし続けられる可能性が高まります。
毎日の家事動線が劇的に楽になる
平屋のメリットは老後だけではありません。実は、今現在の暮らしにおいても大きな利点があります。それが「家事動線の効率化」です。
二階建ての場合、洗濯物を二階のベランダに干しに行ったり、掃除機を持って階段を上り下りしたりと、意外と体力を使います。特に重い洗濯物を抱えて階段を上るのは、毎日のこととなると相当な負担です。
平屋なら、生活、家事、睡眠といった全ての機能がワンフロアに集約されます。洗濯機から物干しスペースまでの移動も平面で完結し、掃除もスムーズです。共働きで忙しい毎日を送るご家庭にとって、この時短効果は計り知れません。
実際、私たちが手がけた平屋のお住まいにお引越しされたお客様からは「家事が本当に楽になった」「時間に余裕ができて家族との時間が増えた」といった嬉しいお声をいただいています。
光を操る設計技術が快適性を左右する
平屋の設計で私たちが特に重視しているのが「採光」です。二階建てと違い、上からの光を取り込みにくい平屋では、いかに明るく開放的な空間をつくるかが設計者の腕の見せどころとなります。
窓の配置、天窓の活用、吹き抜けの検討など、土地の条件や周辺環境を考慮しながら、最適な採光計画を立てます。光の入り方によって、同じ間取りでも住み心地は大きく変わります。
また、平屋は家族構成の変化にも柔軟に対応できる設計が可能です。例えば、子育て期には広々としたリビングとして使い、将来的には間仕切りを設けて個室を増やすといった変更も比較的容易です。
私たちが手がけた「賑やかで楽しい3人の女の子と、おしゃれなご夫婦」のお住まいでは、現在のライフスタイルを満喫しながらも、将来の変化に備えたフレキシブルな空間設計を行いました。こうした長期的な視点での提案ができるのも、豊富な経験を持つ専門家ならではです。
室内干しメインの間取り:家事ストレスを減らすサバイバルツール
なぜ今、室内干しが注目されているのか
「洗濯物は外に干すもの」という常識が変わりつつあります。特に共働き世帯にとって、天候に左右されない室内干しは、もはや生活必需品とも言えるシステムです。
外干しの場合、急な雨で濡れてしまったり、仕事で帰りが遅くなって取り込めなかったりといったストレスがあります。また、花粉やPM2.5などの環境問題、防犯面の不安から、最初から室内干しを選ぶご家庭が増えています。
室内干しをメインとした間取りは、まさに「家事ストレスを軽減するサバイバルツール」として、現代の住宅設計に欠かせない要素となっています。
洗濯動線を最短にする設計の工夫
室内干しメインの間取りで最も重要なのが、洗濯に関わる一連の動作をいかに効率化するかという点です。
洗濯の流れを考えてみましょう。「洗う→干す→乾かす→畳む→しまう」というステップがありますが、これらの動作場所がバラバラに配置されていると、無駄な移動が発生します。
私たちが提案する「ワンストップランドリー」という考え方では、洗濯機、乾燥機、室内干しスペース、そしてファミリークローゼットを可能な限り近接させます。理想的には、洗濯室兼ファミリークローゼットとして、一つの部屋で全てが完結する設計です。
こうすることで、洗濯物を持って家中を移動する手間が省け、家事時間を大幅に短縮できます。特に共働きで忙しいご家庭では、この効率化が生活の質を大きく向上させます。
収納設計にも専門技術を活かす
室内干しスペースと同じくらい重要なのが、収納の設計です。ただクローゼットを設けるだけでなく、使い勝手を考えた造作収納が効果的です。
例えば、あるお客様のお住まいでは、シナの共芯合板を使ってコンパクトなワークデスクを造作しました。限られたスペースを有効活用し、多目的に使える工夫です。
こうした造作家具を製作する際には「木取り」という技術を用います。これは、3×6判の合板1枚から、できるだけ無駄なく部材を取り出す技術です。材料を効率的に使うことで、コストを抑えながら質の高い家具を提供できます。
このような細かな技術の積み重ねが、お客様の暮らしやすさにつながっていくのです。
快適な室内干しを実現する高性能住宅
湿気対策が室内干し成功の鍵
室内干しメインの間取りを採用する際、最も懸念されるのが「湿気」と「カビ」の問題です。実際、性能の低い住宅で室内干しをすると、結露やカビの原因となり、住宅の寿命を縮めてしまいます。
だからこそ、私たちは高い断熱性能と効率的な換気システムを備えた「GX志向型住宅」を推進しています。GXとは「グリーントランスフォーメーション」の略で、環境に配慮しながら快適性も追求する住宅のことです。
高い断熱性能により、室内の温度差が小さくなり、結露が発生しにくくなります。さらに、高効率な換気システムにより、室内干しによる湿度上昇を抑え、常に清浄な空気環境を保つことができます。
国土交通省認定の技術力
私たちの技術力は、公的機関からも認められています。2012年には、私たちが開発した「高性能ゼロエネルギー住宅SUMIKA-ZERO」が、国土交通省のゼロエネルギー推進化住宅に認定されました。
これは、高い断熱性能と高効率設備の導入により、一次エネルギー消費量を大幅に削減できることが評価されたものです。この技術があるからこそ、私たちは自信を持って室内干しメインの間取りをお客様に提案できるのです。
省エネ性能が高い住宅は、光熱費の削減にもつながります。室内干しのための乾燥機や除湿機を使っても、全体としてはエネルギー消費を抑えられるため、家計にも環境にも優しい住まいとなります。
見えない部分にこそこだわる職人の技術
断熱気密工事の重要性
住宅の快適性と耐久性を左右する重要な工事が「断熱気密工事」です。これは完成後には見えなくなってしまう部分ですが、住宅性能を決定づける非常に重要な工程です。
私たちが手がけた「スキップの家」の現場では、すき間から空気が漏れないよう、職人が丁寧に施工を行いました。この見えない部分への徹底したこだわりが、長期的な快適性と省エネ性能を保証します。
断熱気密性能が低いと、夏は暑く冬は寒い家になるだけでなく、結露やカビの原因にもなります。また、冷暖房効率が悪くなり、光熱費も高くなってしまいます。
伝統技術を大切にする姿勢
愛知の歯科クリニックの現場では、左官の下地である「木摺り(きずり)」という伝統的な技法を用いました。木摺りとは、細い木材を隙間を開けて並べ、その上に土壁を塗る際の下地として使う技術です。
最終的には壁の内側に隠れてしまい、完成後は見えなくなってしまいます。それでも、職人は「隠れてしまうのがもったいないくらい」美しい仕上がりを追求しました。
このように、見えない部分にも妥協しない姿勢こそが、長く安心して住める家をつくる基盤となります。私たちは、こうした職人の技術と心意気を何よりも大切にしています。
技術を次世代に継承する取り組み
職人起業塾での人材育成
質の高い住宅をつくり続けるには、優れた職人の育成が欠かせません。私たちは2013年に「職人起業塾」を開講し、2016年には一般社団法人として全国展開しました。
この塾では、技術の習得だけでなく、社内起業家精神(イントラプレナーシップ)も育成しています。自ら考え、行動できる職人を育てることで、建築サービスの品質を永続的に保証する基盤をつくっています。
マイスター高等学院の設立
2023年には「マイスター高等学院」を設立・開校しました。この学校では、高校卒業資格を取得しながら、大工などの専門技術を身につけることができます。
若い世代に技術を継承することは、業界全体の未来を守ることにつながります。私たちは、目先の利益だけでなく、長期的な視点で業界の発展に貢献したいと考えています。
引き渡し後も続く安心のサポート
無料巡回メンテナンスサービス
私たちは2009年より「すべてのお客様に生活の安心・安全を」を合言葉に、無料巡回メンテナンスサービスを実施しています(※神戸近郊に限ります)。
住宅は引き渡して終わりではありません。長く快適に住み続けていただくためには、定期的な点検とメンテナンスが必要です。十数年にわたってこのサービスを続けてきたことで、お客様との強い信頼関係が築かれています。
実際のメンテナンスでは、屋根や外壁の状態確認、設備機器の動作チェック、気になる箇所のご相談対応などを行います。小さな不具合を早期に発見することで、大きなトラブルを防ぐことができます。
透明性の高い施工プロセス
私たちは「施工プロセスの見える化」を徹底しています。例えば、地鎮祭では建築吉日を選定し、神主様に四方を祓っていただくなど、伝統的な儀式も大切にしています。
また、材木を製材・プレカットする「しそうの森の木」さんへ、お客様と一緒に見学に行くこともあります。実際に使う木材を見て、触れていただくことで、安心感が生まれます。
こうした透明性の高いプロセスを通じて、お客様に「見て安心、さわって安心」していただける家づくりを心がけています。
地域とともに歩む企業として
四方良しの理念
私たちの企業理念「四方良し」とは、住み手良し、つくり手良し、地域良し、未来良しという四つの視点を大切にするということです。
住み手であるお客様の満足はもちろん、協力会社や職人たちが誇りを持って働ける環境、地域社会への貢献、そして未来世代への責任。これら全てがバランスよく実現されることを目指しています。
偶数月に開催する「継塾」では、社会課題解決型ビジネス(CSVモデル)について議論を重ね、サプライチェーン全体の質の向上を追求しています。
地域活動拠点「つない堂」
私たちの地域活動拠点「つない堂」は、「インターネット検索を必要としない安心安全な循環地域型社会のハブ」となることを目指しています。
地域の子どもたちへの学習支援「しずく学習塾」は、水曜日の授業日には募集人数いっぱいになるほど好評をいただいています。また、西区役所からのお声掛けで「伊川リバーフェスタ」や「西区もくいく」にも参加し、地域とのつながりを深めています。
こうした地域活動を通じて、住まいづくりだけでなく、地域全体の暮らしやすさ向上に貢献したいと考えています。
未来創造企業としての認定
2022年には、一般社団法人日本未来企業研究所より「未来創造企業」として認定されました。これは、社会的な責任と倫理観を持ち、持続可能な事業運営を行っていることが評価されたものです。
この認定は、お客様が安心して長期的な住まいづくりを任せられる、健全な企業であることの証明となります。
まとめ:世代を超えて住み継げる家づくりを
老後を見据えた平屋と、室内干しメインの間取りは、単なる流行ではありません。人生100年時代を見据え、共働き世帯の家事負担を軽減し、誰もが長く安心して暮らせる住まいをつくるための、合理的な選択肢です。
私たち株式会社四方継は、国土交通省認定の高性能ゼロエネルギー住宅の技術力、2009年から続く無料巡回メンテナンスサービス、そして職人の丁寧な技術をもとに、「受け継がれる価値のある丁寧なものづくり」を実践しています。
女性建築設計士と大工による細やかなコミュニケーションを通じて、お客様がまだ気づいていない潜在的なニーズまで汲み取り、最適な提案を行います。
これから家づくりをお考えの方、将来を見据えた住まいづくりに興味がある方は、ぜひ一度、私たちにご相談ください。あなたとご家族が、今も未来も安心して暮らせる住まいを、一緒につくっていきましょう。
