地域とともに歩む:西区役所との協働で実現した「リバーフェスタ」と「もくいく」参加レポート

はじめに:四方継が大切にする「四方良し」の精神

私たち株式会社四方継は、神戸市西区を拠点に、ものづくり工務店「つむぎ建築舎」の運営と、地域活動拠点「つない堂」を展開しています。

会社の理念として掲げているのが「人、街、暮らし、文化を継ぎ、四方良しを実現する」という言葉です。

この「四方良し」とは、作り手、住み手、協力会社、そして地域社会の四者すべてが幸せになることを意味しています。特に地域社会は、私たちが責任を持って関わるべき重要な存在だと考えています。

私たちのビジョンは「人を繋ぎ、ご縁を紡ぎ、いい街を継ぐ」こと。最終的には「インターネット検索を必要としない安心安全な循環地域型社会のハブ」となることを目指しています。

このビジョンを実現するには、地域社会の中核を担う行政機関との連携が欠かせません。そして地域住民の皆さまとの顔の見える交流が何より大切です。

2025年9月20日に開催された「伊川リバーフェスタ」と、翌21日の「西区もくいく」への参加は、私たちが地域の一員として公にデビューする記念すべき機会となりました。

この記事では、これらのイベントへの参加を通じて、地域行政である西区役所との連携が、私たちの地域社会への関わりをどのように深めているのかをご報告します。

西区役所からのお声掛け:信頼の証としてのデビュー

行政からの招待が持つ意味

2025年9月20日と21日に開催された「伊川リバーフェスタ」と「西区もくいく」への参加は、私たちにとって非常に意義深いものでした。

何より特筆すべきは、どちらのイベントも西区役所の方から直接お声掛けをいただいてデビューを果たしたという点です。

行政機関は、地域住民の生活に深く関わる事業者を慎重に選びます。その行政から直接お声掛けをいただいたことは、私たちが日頃から地域に根差した活動を通じて培ってきた信頼が、公的に認められた結果だと受け止めています。

私たちは、地域とのご縁を大切にする理念を掲げてきました。今回、西区役所とご縁をいただき、地域社会での活動を公の場で展開できたことは、この理念が着実に実現に向かっていることの証明です。

チーム体制で臨んだイベント参加

「伊川リバーフェスタ」および「西区もくいく」への参加は、四方継とTEARDROPのチーム体制で取り組みました。

この体制は、私たちの事業が建築だけでなく、地域活動を通じた交流にも深くコミットしていることを示しています。

「もくいく」というイベント名から、木に触れる体験やものづくりを通じた教育活動を披露しました。私たちは普段から、子どもたちにものづくりの楽しさを伝える活動に注力しています。

例えば、2025年8月2日に開催した「ちびっこ応援!木工教室」では、午前の部に3家族様にご参加いただき、インテリア棚やキーフックといった実用的な作品を製作していただきました。

作業場の暑さ対策として冷風機を投入するなど、安全管理にも細心の注意を払っており、この経験を地域イベントでのブース運営にも活かしています。

これらの地域イベントへの積極的な参加は、私たちが目指す「モノづくりの担い手を子供の憧れの職業にすること」というビジョンを地域社会全体で実現するための重要なステップとなっています。

地域に根差した活動の積み重ね

エニシミーツへの参加とご縁の深まり

西区役所との連携は、今回が初めてではありません。私たちは地域社会との「ご縁」を紡ぐことを大切にし、行政主催のイベントにも積極的に参加してきました。

2025年1月19日には、西区役所主催のイベント「エニシミーツ」に参加しました。このイベント名は「E-NISHI(いい西)と縁(エニシ)を掛けている」とのことで、私たちはこのご縁を深めることを重視しています。

こうした継続的な参加が、今回の「リバーフェスタ」と「もくいく」へのお声掛けにつながったと考えています。

イベント運営を支えるスタッフの献身

地域イベントの準備や運営には、多くの労力と時間が必要です。

10月13日の「tunaido*ワークショップマルシェ」の大詰めを迎えるにあたり、担当スタッフは「胃が痛い」と感じるほどのプレッシャーを感じながらも、「今の自分の全力を出し切れ!」という強い気持ちで取り組んでいます。

また、年度末には助成金の報告・申請、学習塾の引っ越しなど、なんとなくてんやわんやな状況の中でも、地域活動を止めることなく継続しています。

こうしたスタッフの地道で献身的な努力こそが、私たちが地域社会から得ている揺るぎない信頼を支えています。

スタッフ一人ひとりの頑張りが、会社全体の地域での評価につながっていることを実感しています。

つない堂での多様な活動展開

「つない堂」は、単なる拠点ではなく、地域の人々が集まり、交流し、学び合う場所として機能しています。

ここでは様々な地域イベントやワークショップを開催し、世代を超えた交流を生み出しています。

こうした日常的な地域との関わりが、行政からの信頼獲得につながり、今回のような大きなイベントへの参加機会を生み出しています。

しずく学習塾:地域の子どもたちへの投資

地域学習支援の運営実績

地域の子どもたちへの投資は、未来の地域社会への最も重要な貢献の一つです。私たちは「つない堂」の活動を通じて、地域学習支援「しずく学習塾」を運営しています。

しずく学習塾は水曜日の授業日に、新二年生、三年生の申し込みをいただき募集人数いっぱいになるほどの盛況ぶりです。

これは、私たちが建築業の枠を超えて、地域の子育て世帯から厚く支持され、信頼されていることを示しています。

学習塾という形で地域の教育に貢献することで、私たちは地域社会の一員としての責任を果たしています。

透明性の高い運営と地域とのつながり

2025年3月29日には、運営スタッフ、ボランティア、卒業生、在校生総勢18名で、テラスを利用した卒業パーティーを行い、盛り上がりました。

また、運営継続のための「ご支援のお願い」ページを新たに作成し、銀行振込やカード決済での支援を募るなど、透明性の高い運営を心がけています。

こうした取り組みは、地域の皆さまに私たちの活動をより深く理解していただくための努力です。

「リバーフェスタ」や「もくいく」への参加は、これらの地道な地域活動の延長線上にあります。顔の見える活動を続けることで、私たちは地域社会のハブとしての役割を確実に果たしつつあります。

建築専門性が支える地域活動の質

マイスター高等学院:次世代の職人育成

私たちが提供する地域活動の質と専門性の高さは、未来の「作り手」育成に注力している企業であることによって担保されています。

2023年4月に開校した「マイスター高等学院」は、高校卒業の資格を取りながら大工などの技術を身につけることができる通信制高校です。

これは「職人不足の世の中、通常の高校では隠れてしまっている才能を見つけ、開花させる学校」として設立されました。

若い世代に職人という仕事の魅力を伝え、実際に技術を身につける機会を提供することは、建築業界全体の未来を支える取り組みです。

職人起業塾の全国展開

2013年に開講した「職人起業塾」は、2016年に一般社団法人として法人化され、全国展開しています。

この塾は、職人のイントラプレナーシップ、つまり社内起業家精神の醸成を目的としており、業界全体の質を高める役割を担っています。

イントラプレナーシップとは、組織の中で新しい価値を生み出す起業家的な姿勢のことです。職人一人ひとりがこの精神を持つことで、業界全体が活性化します。

このような教育事業を展開している企業が地域活動を行うからこそ、「もくいく」のようなイベントで提供されるものづくりの体験は、単なる遊びではなく、未来のキャリアにつながる本質的な価値を持つと認識されます。

確かな建築技術と丁寧なものづくり

地域社会からの信頼は、私たちが提供する建築サービスの質の高さにも裏付けられています。

私たちは「受け継がれる価値のある丁寧なものづくり」をビジョンとして掲げています。女性建築設計士と大工による細やかなコミュニケーションと、専門家としての提案・計画から施工プロセスの見える化を徹底しています。

2012年には、高性能ゼロエネルギー住宅SUMIKA-ZEROが国土交通省のゼロエネルギー推進化住宅に認定されました。環境と経済を両立させる住宅の実現に必要な専門性を有しています。

さらに2009年からは「すべてのお客様に生活の安心・安全を」を合言葉に、無料巡回メンテナンスサービスを本格化させています(神戸近郊に限る)。

地域住民にとって、長期にわたって生活の安心を守る企業であるという実績と信頼が、地域行政との協働の土台となっています。

地域メディアとしての情報発信

つないどう?を通じた専門情報の提供

「つない堂」は、地域を繋ぐメディアとしての役割も果たしています。

情報誌「つないどう?」では、大工が泊まり込んで行った「能登半島輪島市黒島地区【重要伝統的建築物】修復レポート」のような、専門的かつ社会性の高い情報を特集しています。

このような情報発信は、単なる地域情報の提供にとどまらず、建築の専門家としての視点から社会に貢献する姿勢を示しています。

能登半島の伝統建築物の修復という重要な仕事に携わった経験を共有することで、地域の皆さまに建築という仕事の奥深さや社会的意義を理解していただく機会を創出しています。

質の高い情報提供への責任

地域メディアとして情報を発信する以上、その内容の質と正確性には責任を持たなければなりません。

私たちは建築の専門家として、確かな知識と経験に基づいた情報提供を心がけています。

こうした姿勢が、地域住民の皆さまからの信頼につながり、行政との協働関係の構築にも寄与していると考えています。

これからの地域との関わり方

インターネット検索を必要としない安心地域へ

私たちが目指す「インターネット検索を必要としない安心安全な循環地域型社会のハブ」とは、どのような姿でしょうか。

それは、何か困ったことがあったとき、わからないことがあったとき、ネットで検索するのではなく、地域の中で信頼できる人や場所に相談できる社会です。

顔の見える関係性の中で、安心して暮らせる地域コミュニティを形成することが目標です。

今回の「リバーフェスタ」と「もくいく」への参加は、このビジョン実現に向けた大きな一歩となりました。

地域行政との協働を深める

西区役所からのお声掛けをいただき、公的なイベントに参加できたことは、私たちにとって大きな励みとなっています。

今後も行政との良好な協力関係を維持し、地域社会のために何ができるかを常に考え、実行していきます。

地域イベントへの参加はもちろん、行政が抱える地域課題の解決に向けて、建築の専門家として、そして地域活動の実践者として、積極的に協力していく所存です。

子どもたちが憧れる職人の姿

私たちが最も大切にしているビジョンの一つが「モノづくりの担い手を子供の憧れの職業にすること」です。

木工教室やイベントでのものづくり体験を通じて、子どもたちに職人という仕事の魅力を伝えていきます。

実際に木に触れ、自分の手で何かを作り上げる喜びを体験することで、ものづくりへの興味を育てていきたいと考えています。

マイスター高等学院や職人起業塾での取り組みと合わせて、次世代の職人育成に全力で取り組んでまいります。

おわりに:ご縁を紡ぎ、いい街を継ぐために

「リバーフェスタ」と「もくいく」への参加は、私たち株式会社四方継が「地域を守り次世代に継なげる事業」を推進する上で、極めて重要な経験となりました。

西区役所からのお声掛けという形で公にデビューできたことは、日々の地道な地域活動、子どもたちへの教育支援、そして建築における確かな専門性が地域社会から信頼を得た証であると確信しています。

私たちは、今後も「つない堂」の活動を通じて、地域行政や地域住民の皆さまとご縁を紡ぎ続けます。

子どもたちがものづくりに憧れ、安心して暮らせる地域社会の実現に向けて、四方良しの理念を胸に、一歩一歩前進してまいります。

地域の皆さま、西区役所の皆さま、これからも変わらぬご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

ページの先頭へ